ステージ別にみる大腸がん:病期に応じた症状・治療法は?

40代に入ったあたりから男女ともに気をつけておきたい病気の一つが大腸がんです。

臓器別のがん死亡者数(2015年)を見ると、大腸がんは、男性では肺がん・胃がんに次いで3、女性ではその2つを抑えて1と、亡くなる人も多い病気といえます。
しかし大腸がんは、早期に発見・治療を行えば高確率で治すことができる病気でもあります。ここでは、大腸がんの症状と治療をステージ別に見ていきましょう。

大腸がんのステージとは

がんは一般的に、どのくらい進行しているか(進行度)をステージ(病期)によって表します。ステージは0からIVまでの5段階で、数字が増えるほど進行した状態を示します。

大腸がんの進行度は、下記のような観点で決められます。

  • 深達度:がんが大腸の壁のどの程度外側まで入り込んでいるか
  • リンパ節へと転移しているか
  • 肺、肝臓、腹膜など他の臓器への転移がみられるか

ここからはステージごとに、大腸がんの進行度がどのようなものなのかを見ていきましょう。

ステージ0:がんが粘膜の中に留まっている状態

大腸がんは通常、大腸の最も内側にある粘膜に発生します。進行するにつれて壁の外側へと侵入(浸潤)していきますが、ステージ0はがんが粘膜のみに留まっている段階です。

この段階では通常、自覚症状は全くありません。便潜血検査(便に血が含まれているか見る検査)を行っても陽性とならないことが多いため、発見されるのはたまたま内視鏡検査を実施した時などに限られます。

ステージ0の大腸がんの場合、大腸内視鏡による切除を行います。肛門から内視鏡を入れて行うため、入院を伴わない場合が大半です。完全に切除すれば転移や再発の可能性も低いといわれています。

ステージI:がんが固有筋層に留まっている状態

大腸の壁は内側から、粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜という構造になっています。ステージ1は、がんがこの固有筋層までに留まっている状態です。自覚症状はほとんど見られず便潜血検査などによって発見される場合が大半です。

ステージ0同様、まずは内視鏡手術が考えられます。しかしこの段階のがんでは10%程度の確率でリンパ節への転移が起こるため(ガイドラインより)、病状によっては腸管切除リンパ節廓清(かくせい:切除すること)を検討します。

ステージIでの5年生存率(がんだと診断されて5年後も生存している確率)は9割を超えますガイドラインより)。

大腸がんにおいては、ステージIまでを早期がんと呼びます。

お腹に手を当てる

ステージII:がんが固有筋層の外側まで浸潤している場合

固有筋層の外や周囲にがんが広がった状態がステージIIで、大腸がんではこの病期以降を進行がんと呼びます。進行がんになると、下記の症状がみられることがあります。

  • 血便・下血(肛門からの出血)
  • 便が細くなる
  • 下痢や便秘を繰り返す
  • お腹の張り・しこり
  • 腹痛
  • 貧血
  • 嘔吐・吐き気
  • 体重減少

ただしこれらの症状は、大腸がん以外の病気でもみられることがあります。

ステージIIでは、手術による治療(腸管切除とリンパ節郭清)が行われます。

ステージIII:リンパ節への転移がみられる場合

大腸がんのステージIIIは、転移がみられる箇所の数によってaとbに分けられます。3箇所以内のリンパ節に転移がみられる場合はステージIIIa、4箇所以上に転移がみられる場合はステージIIIbと分類します。

ステージIIIでは、手術治療を行った後、再発を防ぐために化学療法(抗がん剤による治療)が行われます。これを術後補助化学療法(アジュバント療法)といいます。

ステージIV:肝臓や肺、腹膜への転移がみられる場合

大腸に存在するがんを原発巣、他の部位に転移しているがんを転移巣と呼びます。もとの原発巣が小さなものだったとしても、他の臓器(肺や肝臓など)への遠隔転移がみられた場合はステージIVとなります。

この段階では手術のみでの治療は難しいため、化学療法放射線療法を組み合わせて行います(原発巣・転移巣ともに安全に切除できる場合は、手術による治療を行います)。これらの治療を行っても効果があまり見られなかったり、これらの治療に患者さんの身体が耐えられないと判断されたりする場合には、症状をやわらげる治療が優先的に行われます。

※大腸がんは再発する?

聴診器

手術ですべてのがんを切除したとしても、再発の可能性は残ります。大腸癌研究会によると、大腸がん全体ではおよそ17の確率で再発が確認されています(ステージによりこの確率は異なり、進行するにつれて再発率は高くなります)。

再発がみられた場合も、早期に発見すれば再度の手術で治ることがありますし、手術ができなかったとしても化学療法や放射線療法が有効な場合があります。そのため、大腸がん手術後はサーベイランスと呼ばれる定期検査が欠かせません。リンパ節転移のない早期がんではサーベイランスは不要な場合も多いですが、進行がんの場合は下記のペースで検査を行うと良いでしょう。

  • 術後3年間:3カ月に1
  • 術後4年間から5年間:6カ月に1

なお、大腸がんにかかった場合、他のがんにもかかりやすくなっていると考えられます。大腸がんのサーベイランスで検査できるのは大腸がんのみですので、その他のがん健診もきちんと受けるようにしてください。

最後に

大腸がんのステージ別の症状・治療法を解説しました。ここで紹介した治療法はガイドラインに則った標準治療であり、これ以外の治療法が行われることもあります。まずは標準治療がどのようなものかを理解し、その上で、医師とよく相談して治療を受けると良いでしょう。

大腸がんのサイン・大腸がんを疑うべき症状とは?受診~治療の流れまで

参照リンク大腸癌研究会|患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版
日本消化器病学会|一般の皆様へ|ご存知ですか? 最新の大腸がん治療 手術と抗がん剤
ファイザー|大腸がんを学ぶ|大腸がんのステージ(病期)と治療方針
学校法人 日本医科大学グループ|がん特集 Part.6:大腸がん
株式会社ヤクルト|大腸がん情報サイト|大腸がんの「ステージ」