日本人はがんで亡くなる人が4人に1人といわれています。そのうち、大腸がんで亡くなる人は、全体の第3位です。とくに、女性では第1位となっており、大腸がんで亡くなる方が多くなっています。大腸がんは早期に発見できると100%治癒するといわれていますが、どのようなメカニズムで起こるものなのでしょうか?

目次

大腸がんとは

大腸の役割は、水分の吸収を行い、便を作ることです。大腸は、盲腸、結腸(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)、直腸に分けられます。大腸がんは、大腸の粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、次第に大腸の壁に深く広がって進行していく病気です。その進行は比較的ゆっくりですが、進行するにつれてリンパ節や肝臓などの別の臓器に転移していきます。

大腸がんの発生が多い場所は、直腸、S状結腸、上行結腸、横行結腸、盲腸、下行結腸の順となっています。直腸は、肛門に一番近い場所にあるため、大腸に便がとどまる時間も一番長くなりやすくなります。そのため、便に含まれる発がん性物質の影響を受けやすいと考えられています。

大腸がんの原因

食生活の欧米化

日本では、米や野菜中心の食生活でしたが、近年の食生活では急速に欧米化しており、肉や油などたんぱく質や脂肪分の多い食事に変化しています。たんぱく質やカロリーの高い食事を取ると、便が大腸に留まる時間が長くなり、便に含まれる発がん性物質も長い時間留まります。そのため、がんが発生しやすくなります

煙草

煙草は大腸だけでなく、肺や胃などの消化器系の臓器へ影響を与えやすいといわれています。大腸に煙草の煙が直接触れることはありませんが、発がん性物質を身体に取り込むため、吸わない人に比べると約7倍大腸がんになりやすいといわれています。

過度の飲酒

沢山のお酒を摂取することは明らかなリスク要因として分かっています。欧米人に比べて日本人のほうがアルコールの影響を受けてがんになりやすいと報告されており、男女ともに適度な飲酒に留めることが必要です。

運動不足

運動が大腸がんのリスクを軽減することは、米国国立がん研究所から報告されています。特にデスクワークの多い人が大腸がんになりやすいともいわれていますので、意識して身体を動かすことが有効です。

肥満

特に男性において肥満が関係するといわれています。BMI27以上で、大腸がんになる可能性の確実な上昇がみられると報告されています。

遺伝

大腸にポリープができやすい体質の人がおり、遺伝的要因のひとつとして考えられています。

初期症状

大腸がんの発生部位によって異なりますが、多くは以下の症状です。

便に関する症状が多く、毎日排便があること、排便の状態が良いことが大切です。毎日、排便の状況を把握することを心掛けましょう。

大腸がんでは、特に血便の頻度が高くなるといわれています。しかし、痔などでも同じように血便が起こることがあり、特に女性ではになりやすいという傾向がありますから、痔だと思い血便を放置していたらがんであったということもあります。血便がみられたら、直ちに病院を受診して検査をすることが大切です。

まとめ

大腸がんは日本人にとって身近な病気であり、女性ががんで亡くなるとき一番多いのは大腸がんです。原因は、食生活の欧米化・たばこ・過度の飲酒・運動不足・肥満・遺伝などです。初期症状には、便に関するものが多く、便の状態を毎日確認することが大切です。血便があったら直ちに、その他にも便に異常があればできるだけ早めに病院へ行くようにしてください。また、大腸がん検診は市町村の助成を受けられますので、確認してみるとよいでしょう。

国立がん研究センターがん対策情報センターの「2016年のがん罹患数、死亡数予測」「がん登録・統計「最新がん統計」「予防研究グループ「肥満指数・身長と大腸がんの関係について」「飲酒と大腸がんリスク」も、あわせてご覧ください。