衣料皮膚炎とは衣料による皮膚障害、接触皮膚炎ともよばれ、衣料と接触した皮膚に発生する病気、かぶれなどのことをいいます。原因は意外なところに隠れていますが、その原因に接触しないようにすることで防げます。皮膚の弱い方、アレルギー体質の方、乳幼児の保護者は必見です。

目次

こんなにある!衣類かぶれの3つの原因

1.物理的な刺激

縫い目、タグ、金具、セーターの毛が皮膚にあたり痒くなったり痛くなったりすることがあります。これは皮膚が物理的に何度も刺激されることで起こります。

また、きつめの下着をつけて肌を圧迫することも原因の一つになります。ときにはかゆみに蕁麻疹(じんましん、下記説明あり)を伴うこともあります。

このほか、ブラジャー、ショーツ、靴下、時計の装着で生じることもあります。

蕁麻疹:円形、または地図上に皮膚が膨れ、腫れ、赤みなどがあらわれます。

2.化学物質による刺激

ドライクリーニング店で使われている溶剤がしっかり乾いていない場合、それが皮膚炎を起こすことがあります。化学火傷(かがくやけど)といわれるものの1つです。

また衣類の縮みやしわ、風合いの劣化を防ぐ目的でホルムアルデヒドという物質が使用されている衣類もあります。ホルムアルデヒドの濃度には使用基準がありますが、基準以下でも皮膚炎を起こす人がいるのです。特に赤ちゃんは皮膚が弱いので注意が必要です。

またホルムアルデヒドによる皮膚炎は肥満型の多汗症の女性に多いという報告もあります(衣料による皮膚障害の諸問題より)。ホルムアルデヒドを使用した下着をつけて汗をかくと皮膚炎になりやすくなります。

3.繊維の刺激

天然素材

木綿、麻による刺激、アレルギーはほとんど無いか、稀です。羊毛は毛のチクチクが物理的刺激になる場合がありますが、アレルギーはほとんどありません。

絹では、糸をつくるときに使用する薬や蚕によるアレルギーを示す人もいますが、こちらも稀です。

人工素材

レーヨン、キュプラ、アセテート、ナイロンなど素材自体が皮膚炎を引き起こす報告もありますが、稀です。しかし吸水性が悪いので汗が皮膚に付着したままになり、痒くなったり、汗疹(あせも)になったりする原因になります。

衣類かぶれを防ぐためには?

おしゃれな洋服

ドライクリーニング溶剤の対策

厚手の衣類や合成革製品はクリーニング溶剤が乾きにくいので注意が必要です。クリーニングから戻ってきたら衣類をすぐに袋から出して風通しの良い場所に陰干ししましょう。1日以上が目安です(日本化学工業協会より)。

ホルムアルデヒドの対策

ホルムアルデヒドは水に溶けやすいので、新品の服は一度洗濯してから着るようにしましょう。

乳幼児は肌が敏感なので特に注意が必要です。「ホルムアルデヒドは乳幼児の衣類から検出されてはならない」と家庭用品の法律で決められていますが、衣類はホルムアルデヒドを吸着しやすいので以下のように取り扱いましょう。

包装されている衣類を購入する

袋から出ていると他の服に付着しているホルムアルデヒドが移ってきてしまいます(移染と呼びます)。また自分でも購入前の商品を袋から出さないようにしましょう。

乳幼児の衣類は他のものと分ける

他の衣類からの移染を防ぐためです。ホルムアルデヒドは家具の接着剤にも使用されていることがあるので、新しいタンスを使用するときは、乳幼児の服はビニール袋に入れてからしまいましょう。

衣服の加工が必要な機能か見極める

UV加工、防縮加工、防菌加工、防炎加工(難燃加工)、形態安定加工など、世の中の衣類には繊維に様々な加工が施されています。

全ての加工が皮膚障害につながるわけではありませんが、体質は個人差が大きいので、他の人が大丈夫であったからと言って自分も大丈夫とはいえません。自分に必要な最低限の加工はどれなのか、今一度考えてみましょう

まとめ

数回着たことがある服でも、体調や着ている時の状況(素肌に触れているか、汗をかいているか、日焼けあとなど肌が過敏なときか、日光があたっているときか)で突然、衣類かぶれを引き起こすこともあります

かゆみやかぶれなど皮膚の異常を認めたら、原因と考えられる衣類の着用をやめましょう。症状が治まらない場合は皮膚科の受診をおすすめします。