春が近づくとテレビや新聞などでも頻繁に花粉情報が出されます。今や花粉症は現代病といっても過言ではないでしょう。花粉症の症状の一つに「目のかゆみ」があります。花粉によってアレルギー性結膜炎が引き起こされているのです。実は、アレルギー性結膜炎の原因は花粉だけではありません。今回はつらい目のかゆみを引き起こすアレルギー性結膜炎について詳しく見ていきましょう。
結膜炎の種類
結膜炎は原因によって大きく非感染性結膜炎と感染性結膜炎に分けられます。
非感染性結膜炎
非感染性結膜炎の大部分はアレルギー性結膜炎です。このほかドライアイによる乾性角結膜炎、コンタクトレンズ装用などの機械的刺激、薬剤による障害を原因とする結膜炎なども含まれます。
感染性結膜炎
感染性結膜炎にも種々あり、主なものとしては細菌性結膜炎、ウィルス性結膜炎、クラミジア結膜炎が挙げられます。細菌性結膜炎は黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などの細菌に感染することで起こります。ウィルス性結膜炎の中には、感染力の強い、いわゆる「はやり目」が含まれます。クラミジアは性行為を介して感染すると考えられています。
このように結膜炎といっても様々な種類があります。種類によって治療法も異なるので安易に自己判断はせず、症状があれば眼科医による診察を受けるようにしましょう。
アレルギー性結膜炎の原因
アレルギー性結膜炎は、目のアレルギー反応が原因で起こる結膜炎です。アレルギー性結膜炎の中にもアトピー性角結膜炎や春季カタル、巨大乳頭結膜炎などいろいろなタイプがあります。
原因を具体的に見ていきましょう。
まずアレルギーの原因となる物質をアレルゲン(抗原)といいますが、アレルギー性結膜炎のアレルゲンには以下のようなものがあります。
- 樹木や草花の花粉
- ダニ
- カビ
- ハウスダスト(ほこりの中でも1mm以下の目に見えないもの)
- ペットの毛やフケ
- コンタクトレンズの汚れ など
これらの物質は本来ならば人体にはあまり害のないものなのですが、人によっては体が過剰に反応してしまうことがあります。それがアレルギーです。このアレルギー反応が結膜に起こってしまったのがアレルギー性結膜炎です。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎になると「かゆみ」「充血」「異物感」「涙が出る」「目ヤニ」などの目の症状が現れますが、その中でも代表的な症状が「かゆみ」です。かゆみといっても目の中だけではなく、まぶたやまぶたの縁(ふち)などにかゆみを感じることもあります。
我慢できずにゴシゴシとこすってしまい、その結果余計に症状が強くなってしまうのもアレルギー性結膜炎の特徴の一つです。
細菌性・ウィルス性結膜炎でも似たような症状が現れますが、これらの結膜炎の場合はかゆみよりも目ヤニや充血の症状の方が強く出ます。目ヤニはあまり出ないがとにかくかゆみが強いという場合はアレルギー性結膜炎を疑ってみましょう。
目がかゆくなる仕組み
目のかゆみが起こるメカニズムを説明します。
花粉などのアレルゲン(抗原)が目の表面に入ってくると、アレルゲンに反応してIgE抗体というものが作られます。IgE抗体はヒスタミンなどの化学物質が蓄積されている肥満細胞の表面に付着します。
そこに再びアレルゲンが入ってくるとアレルゲンが肥満細胞表面のIgE抗体と結合します。これが引き金となって肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。それらの化学物質が、知覚神経や血管に作用してかゆみや充血を引き起こすのです。
IgE抗体は全ての人に同じように作られるのではなく、体質によって作られやすい人がいます。このような人はアレルギー体質と呼ばれ、目で反応が起きればアレルギー性結膜炎、鼻で反応が起きればアレルギー性鼻炎が起こるということになるのです。
まとめ
花粉症の人が増えるということは、同時にアレルギー性結膜炎にかかる人が増えるともいえます。アレルギー疾患は風邪などのように薬を飲んで完治するという病気ではありませんが、自分自身のアレルギーの原因をしっかりと理解し、アレルゲンを取り込まないように日常生活に気をつけることで対処することができます。目のかゆみが長引くという場合はアレルギー性結膜炎を考え、その原因などを調べてもらうことをおすすめします。