顔や身体のあざ。 生まれつきのものもあれば、知らず知らずのうちにできていたり、「これってあざ?シミ?」と区別がよく分からないこともありませんか? あざは皮膚の病気なのでしょうか?それとも何かの病気のサインなのでしょうか? 気になるあざを解説します。

目次

あざにはこんな種類があります

あざは医学的には、「斑紋(はんもん)」「斑点(はんてん)」「母斑(ぼはん)」などと呼ばれます。皮膚の色調の変化を表す症状の俗称です。

色による区別

赤ちゃんの臀部(お尻)にみられる青い蒙古斑(もうこはん)や、黒いホクロ、血管が膨れたように見える赤い血管腫などがあります。

生まれつきあるものと一過性のもの

蒙古斑のように生まれたときに見られて大人になると大部分が消失するものや、顔にみられる太田母斑のように成長の過程で現れ自然に消失することはないものもあります。

また、「どこかに身体をぶつけてしまった」「強く圧迫した」というような外因による一時的な内出血(俗にいう「青たん」)も出血斑と呼ばれ、広義にはあざの一種とされています。

あざはどうしてできるのでしょうか?

メラニン色素との関係

皮膚を黒くすることで知られるメラニン色素。あざにもこのメラニン色素が影響しています。

皮膚は上(表面に近いところ)から表皮・真皮・皮下脂肪織の3層で構造されています。 通常、メラニン色素は表皮にしか存在しませんが、胎生期に何らかの異常で真皮や皮下脂肪織の血管に存在することがあります。真皮のなかでも、浅いところにあれば茶色に、深いところにあれば青に、血管内にあれば赤いあざとなります。シミは表皮にあるメラニン色素が黒くなったものとして、あざと区別されています。

内出血の場合はヘモグロビンも関与

打ち身や圧迫などの一時的な出血斑の場合、外因により真皮や皮下脂肪織に出血が起こります。血液内のヘモグロビンという赤い色素によって、受傷直後は赤くなります。時間の経過によりヘモグロビンが酸化し青から黄色に変化します。またこの過程で皮膚を守る防御反応としてメラニン色素が生成されるため、長期にわたってあざが残ることがあります

あざと病気の関係

生まれつきあるものや、成長の過程で現れるものには、胎児期の細胞の形成時に起こる奇形と考えられ、原因が特定されていないものもあります。

太田母斑とは?

顔の頬を中心に片側または両側に見られる青色の斑紋です。思春期頃から目立つようになり、男性に比べて女性の発症が多いのが特徴です。

尋常性白斑とは?

メラニン色素は皮膚を黒くするだけではなく、本来は皮膚を紫外線から守る働きがあります。このメラニン色素を作る細胞であるメラノサイトが何らかの原因によって消失してしまうことで、皮膚の一部が白く色が抜けたようになる病気が尋常性白斑です。

病気の症状のひとつとしてあざが見られることがあります

あざの原因となる「内出血」を起こしやすい病気

血管または血液の成分に異常をきたすと出血しやすくなり、また出血すると容易に止まりにくい状態となる病気があります。

特発性血小板減少性紫斑病

血液の成分のひとつである血小板が減少し、出血しやすくなる病気です。原因は不明で、国の難病に指定されています。 この病気の症状のひとつとして、皮膚に点状あるいは斑状のあざができやすくなることがあげられます。

白血病

白血病は血液の正常な細胞を破壊する「血液のがん」と言われる病気です。その症状のひとつとして出血しやすくなり、出血すると止まりにくく、皮膚にあざを生じやすくなります。

肝硬変

肝硬変は慢性肝炎などが進行し、肝臓全体が硬くなり働きが弱くなる病気です。肝臓の働きが低下すると血液を固める機能が低下し、出血しやすくなります。

内出血を起こしやすい薬もある

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心臓や脳血管疾患の治療として、血液を固まりにくくする薬(抗凝固剤や抗血小板薬)を服用することがあります。 こうした薬の副作用には「出血しやすいこと」があり、服用中は内出血に注意が必要です。

まとめ

あざには様々な種類があり、原因も様々です。 限局的で自然に治るものであれば問題はありませんが、原因が不明なもの、身体の広範囲にできるもの、悪化するもの、繰り返すものに関しては、一度皮膚科または内科医への相談が必要と思われます。