静かな場所や人と話をしているときに突然出てしまうこともあるげっぷ。本人だけでなく周りの人にも不快となるものですが、げっぷはなぜ起こるのでしょう?げっぷが起こるメカニズムと、病気や生活習慣との関連を解説します。

目次

げっぷはなぜ起こるの?

げっぷは、胃の中にたまった空気が口から出る生理現象です。

食事や呼吸、会話などを通じて自然に体内に入った空気の一部は、一時的に胃にたまり、やがては体内で吸収されます。

しかし、胃にたまる空気の量が多くなると、空気は食道に逆流しげっぷとして排出することで、身体は胃の負担を軽減しようとします。胃に余分な空気がたまってしまうことと、胃にたまった空気が上手く体内で吸収されないことがげっぷのおもな原因です。

胃の働きとげっぷの関係

胃は食べたものを一時的に貯留し、消化液によって分解する働きをする臓器です。胃には正常な状態でもある程度の空気が入っていますが、食事をすると、口から食べ物と一緒に空気を取り込み、消化・分解の過程でもガスが発生します。

こうした働きが上手くいかなくなる原因には

  1. 胃腸の病気、不調
  2. ストレスなどの心因的要因
  3. 食事などの生活習慣

が関与しています。

1.胃腸の病気、不調

胃炎や胃十二指腸潰瘍やにより胃の働きが低下すると、消化不良の症状として胸やけを伴うげっぷが見られるようになります。また、逆流性食道炎の原因にもなる食道裂孔ヘルニアも、げっぷの原因の一つとして挙げられます。

こうしたげっぷは、空気だけでなく胃酸の逆流を伴うため、喉の刺激や異臭を伴います。

食道裂孔ヘルニアとは

胸部と腹部の間にある横隔膜には、食道・大動脈・大静脈の通る穴(裂孔)が開いています。食道裂孔ヘルニアとは、本来であれば食道だけが通るべき裂孔から、胃の一部が胸部に飛び出てしまう病気です。肥満などによりお腹の圧力が高くなること、加齢によって食道裂孔が緩くなることなどが原因で起こります。症状は人により様々で、無症状や軽い消化不良ですむ人もいますが、胸の痛みお腹の張りげっぷ嚥下困難といった症状がみられる人もいます。

食道裂孔ヘルニアでは、噴門(食道と胃のつなぎ目)がうまく作用せずに胃酸が胸の方へ上がってしまうため、食道に炎症を起こすことがあります。これが、逆流性食道炎です。

2.ストレスなどの心因的要因

呑気症・空気嚥下症

知らず知らずのうちに空気をたくさん飲み込んでしまう呑気症(どんきしょう)または空気嚥下症という症状があります。

たとえば、不安や緊張すると口が渇き、それを補うために唾液を飲み込もうとします。このときに空気も一緒に飲み込んでしまい、その空気が胃にたまります。飲んだ空気は通常腸に送られおならとなって出たり、腸から吸収されて呼気となって出ますが、不安や緊張状態は交感神経が優位となった状態のため、胃の働きは低下しており、結果、胃にたまった余分な空気がげっぷとして排出されます。

交感神経と副交感神経

人間には興奮や緊張、活動をつかさどる交感神経と、その反対の働き(リラックス)をする副交感神経があり、これらは自分の意思ではコントロールすることのできない自律神経として自動的に調整されています。

残業中の男性

歯の噛みしめ

無意識の歯の噛みしめは唾液を増やし、その唾液を飲み込むときに空気を一緒に飲み込むことからげっぷの原因となります。噛みしめもまた不安や緊張などのストレスに起因していることが多いとされています。

便秘

ストレスが引き起こす胃腸の働きの不調による便秘もまた、ガスを吸収する腸の働きを低下させるため胃の膨満感(ガスがたまり張った状態)を生じやすく、げっぷの原因となります。

3.食生活などの生活習慣

食事

脂肪やタンパク質の消化時は胃酸が多く分泌され、消化にも時間がかかるため、胃の中に長く食べ物が貯留した状態となります。

早食いや大食い、長い時間をあけてのまとめ食いも胃の負担となり、げっぷの原因となります。

また刺激の強いもの、コーヒー、アルコール飲料、炭酸飲料なども胃酸の分泌を多くします。

運動・身体の姿勢

運動不足は胃腸の働きだけでなく、自律神経の働きを乱すことで睡眠不足などのストレスの要因となることから、呑気症によるげっぷの原因のひとつとなります。また長時間のスマホやパソコンなどのうつむいた姿勢も、歯の噛みしめによる呑気症につながることから、げっぷの原因となります。

まとめ

人前でのげっぷはマナー上の問題もあります。特に欧米では、げっぷはオナラに勝るマナー違反とされています。しかし、マナーの問題だけでなく、げっぷは心身の不調のサインのひとつです。