痩せ型の若い女性によく見られる低血圧
朝が弱い、なんとなく元気が出ず顔色が優れない…こういった症状の原因のひとつとして、血圧が低いことが考えられます。

低血圧の多くは、病気としての治療を必要としないものです。しかし、めまいふらつき倦怠感などの症状は非常に辛いものですね。ここでは、低血圧によって起こるこれらの症状を改善する方法をご紹介します。

目次

低血圧はなぜ起こる?

血圧は心臓から全身に送り出される血液の圧力の状態を示すものです。心臓の病気や全身の血管の状態、さらには血圧を調整する神経ホルモンの状態によって、血圧が高すぎたり、または低すぎたりといった異常をもたらします。

血圧が低すぎる、いわゆる低血圧にはこれらの病気がもとで二次的に起こるものや、急激な失血、外傷によってショック状態を呈する重度のものもありますが、一般的に見られる低血圧の多くは病気が原因ではありません

参考までに、WHO(世界保健機構)による低血圧の基準は収縮期血圧100以下、拡張期血圧60以下となっています。

血圧を調整する神経やホルモンは体質や生活習慣によっても変化するため、それらが低血圧の原因と考えられています。詳しくは、「低血圧がめまいや貧血を引き起こす…3つの種類とその症状・原因」をご覧ください。

低血圧を改善する方法とは?

花瓶に入った花

低血圧症状の改善には、日常生活の中でできることが沢山あります。ここで紹介する内容を、ぜひ生活に取り入れてみてください。

1.規則正しく生活しよう

何より大切なのは、規則正しい生活を行うことです。

低血圧の人は朝が弱く、家を出る直前まで寝ていて朝食もとらずに家を出る、という人が少なくありません。ですが、1日の活動に備えて正常に血圧を上昇させるためには、朝食は欠かすことのできない存在です。早寝早起きを心掛け、朝食をはじめとする1日3回の食事からしっかりとエネルギーを摂取しましょう。

適度な運動を行うことも有効です。水中ウォーキングや有酸素運動など、運動量の少ないものから、無理のない範囲で行うとよいでしょう。

2.食生活を見直そう

塩分タンパク質ミネラルビタミンをバランスよく摂ることが大切です。

塩分は血管を収縮させ、血圧を上げる作用を持っています。そのため、低血圧の人は積極的に摂取するとよいでしょう(ただし、摂りすぎると今度は高血圧やむくみの原因になるので注意が必要です)。

厚生労働省は、1日の塩分摂取量は男性8.0g未満・女性7.0g未満を推奨しています。調味料として使用する塩や味噌、しょうゆだけでなく加工食品やインスタント食品にも塩分は含まれているため、意識的に取り組まないと1日10g未満を達成することは容易ではありません。
他の病気の見られない低血圧の場合はこの目標をやや緩くし、+2~3g(目安:醤油大さじ1杯=2.5~2.8g)の摂取を目標にすると良いでしょう

タンパク質は、肉や魚介類、卵、乳製品、大豆製品などをバランス良く食べることで補います。特にチェダーチーズには、血圧を調整する成分が含まれているのでおすすめです。
とはいえ、食事では特定の食品や栄養素の効果にとらわれすぎず、あくまでも健康を維持することを目標にバランスよく摂取しましょう

また、注意が必要なのがアルコールの摂取です。お酒を飲むと血圧が上がる、というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、実はお酒を飲むと血管が広がるため、血圧自体は下がるのです。

3.食後はカフェインを摂取しよう

高齢者に多く見られる低血圧に「食後低血圧」があります。食後に血圧が下がりすぎてしまう症状のことです。

特にこの食後低血圧に有効な対処法として、食後にお茶やコーヒーを飲んでカフェインを摂取するというものがあります。カフェインは交感神経を刺激するため、血液のめぐりを良くしてくれるのです。眠れなくなってしまうなどの副作用が心配な方は、食後ではなく朝食前などに飲んでも構いません。

4.入浴時にマッサージをしよう

入浴は血流を良くする効果があります。少し熱めのお湯に、肩まで浸かってください。起きてすぐにシャワーを浴びることも、血流を良くするためには有効です。

また、マッサージ血行改善の効果があります。特に、低血圧の人の足先は血液が心臓に戻る力が弱いため冷えています。入浴後にアロマオイルなどを利用し、心のリラックスも兼ねてゆっくりマッサージすると良いでしょう。

5.こんな状況には要注意

人混み猛暑など、特定の状況において症状が現れたり、悪くなったりするという場合があります。できるだけ、その状態は割けてください。

その他、急に起き上がったり立ち上がったりすると、立ちくらみが起こる場合があります(起立性低血圧)。姿勢を変えるときにはゆっくりと動きましょう。もしもめまいがしたら、すぐに座ります。

つらい症状が続く場合は…

低血圧では、特に症状がない場合は受診の必要はありません。しかし、めまいや立ちくらみなどの症状があまりにも辛い場合は、医師に相談して診察を受けてください。生活習慣の改善とともに、薬物療法を行うことがあります。

まとめ

体質や生活習慣が影響する低血圧には、特効薬はありません。また、高血圧の人が気をつける食事や日常生活と逆のことをすれば良いわけでもありません。血流を良くし、自律神経を正常に保つ生活を心がける点では、高血圧の生活改善と共通点も多くあります。

痩せた若い頃に低血圧であっても、歳をとると動脈が硬くなり、低血圧が自然に改善されるケースも多くあります。病気が原因でない低血圧であれば症状に神経質になりすぎず、健康的な生活を送ることを心掛けていきましょう。