肺がんと診断されたら、どのような治療が必要かご存知でしょうか。肺がんの治療法は進行度(ステージ)によって異なります。また、患者の体力 などの問題もありますので、全ての肺がん患者が同じ治療を受けるわけではありません。ここでは肺がんと診断された後の治療法について説明します。肺がんの予防法に関しては、「禁煙・検診が重要!肺がん予防のポイント3つ」の記事をご参照ください。

目次

肺がんの進行

肺がんは、ステージ(進行度)という物差しによって病気の度合いを表します。初期の頃のがんは3cm以下ですが、症状が進行していくと5cm以上になることがあります。そして肺門部のリンパ節に転移するなど、少しずつですが全身にがんが転移していきます。転移を防ぐためにも、肺がんは早期治療が必要な病気なのです。

肺がんのステージは、がんの大きさと浸潤(がんが周りの臓器に入り込むこと)・リンパ節転移・遠隔転移の要素を総合的に組み合わせて判断します。

  • I期(IA、IB)どこにも転移がみられないものなど
  • II期(IIA、IIB)限られたリンパ節のみに転移があるものなど
  • IIIA期:がんのある肺と同じ側の縦隔(左右の肺と胸椎、胸骨に囲まれた部分)に転移がみられるものなど
  • IIIB期: がんのある肺と反対側の縦隔に転移がみられる・食道や気管に浸潤がみられるものなど
  • IV期肝臓や骨に転移したり、胸水(胸膜腔に液体が異常に溜まった状態)が認められるものなど

なお、がんの初期症状については「止まらない咳…もしかして病気? 肺がんの初期症状と検査方法」の記事をご参照ください。また、同じく肺がんの症状と見分けが付きにくい病気については、「咳が止まらない時の原因は!? 考えられる病気の3つの見分け方」をご参照ください。

肺癌の種類

肺がんには、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

小細胞肺がん

他のがん細胞よりも小さいことからその名前がついています。主に気管支に発生することが多いといわれています。

小細胞肺がんは、進行が早く、悪性度が高いとされています。早い段階から転移が見られ、進行した状態で発見されることがほとんどです。抗がん剤での治療が有効であり、化学療法で治療が行われることが多いです。

非小細胞肺がん

腺がん、大細胞がん、扁平上皮がんの3種類に分けられます。

3種類でそれぞれがん細胞の種類が異なり、成長方法も異なります。比較的ゆっくりと進行します。

小細胞肺癌に比べると化学療法と放射線療法が効きづらいとされていますが、最近は治療の進歩が進んでいる分野でもあります。

  • 腺がん:肺がんの半分以上を占める
  • 大細胞がん:発育が比較的早い
  • 扁平上皮がん:男性に多くみられる

肺がんの治療法

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肺がんの治療には手術療法化学療法放射線療法があります。実際に用いる治療法は、肺がんの種類進行度(ステージ)などによって異なってきます。

手術療法

がんのある部位を、正常な部位も含めて切り取る手術が行われます。一般的に、がんのステージや患者の体力を考慮して行われますが、肺葉という部分の切除や片方の肺を全摘出することが多いです。

化学療法

肺だけではなく全身に転移したがん細胞の活動を抑えることを目的として、抗がん剤が使用されます。抗がん剤には副作用があるため、投与は慎重に行われます。薬剤によりますが、主な副作用としては下痢や吐き気などがあります。

小細胞肺がんへの効果が高い治療法ですが、非小細胞肺がんにはあまり有効ではありません。しかし最近は薬剤の開発が進み、遺伝子検査の結果などによっても有効な薬剤が登場しています。

放射線療法

がん細胞に直接放射線を当てることでがん細胞を破壊する治療法となります。手術療法のように肺を切り取る必要がないため、治療後の体への影響が少ない治療法です。ただし、吐き気や免疫力の低下などの副作用がありますので、注意が必要です。

セカンドオピニオンを聞く

正しい医療健康情報を見極める

肺がんの治療は積極的にセカンドオピニオンを聞くようにしましょう。セカンドオピニオンというのは、最初に病気の診断をした担当医以外の医師に再診断をお願いしたり、治療方針などの意見を聞くことです。

特に肺がんの治療法は多岐にわたっており、どの治療が自分に最適なのか不安に思うこともあるでしょう。自分自身が納得の上で肺がんの治療を受けるためにも、治療に関する疑問や不安が残さないよう複数の医師の意見を聞いてみることをおすすめします。セカンドオピニオンをしっかりと活用していきましょう。

まとめ

肺がんはステージによって手術療法や抗がん剤治療などの治療法も異なり、病状が進行していくごとにがんが全身に転移するおそれがある病気です。もしも肺がんだと診断された場合、安心して治療を受けるためにもセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。