耳がかゆい、耳掃除を頻繁に行う癖がある、かゆみの他に痛みもある。耳の中は湿疹になりやすいので、耳かきなどで刺激を与えすぎると、炎症を起こすことがあります。耳がかゆいときはどんな原因が考えられるのでしょうか?今回は耳の仕組みと共にご紹介します。

目次

耳の構造は?

耳は、身体の外側から外耳、中耳、内耳に分けられます。耳の入り口から鼓膜までを外耳道といい、外側は軟骨に、奥は骨に囲まれています。鼓膜の奥の空間を中耳と呼んでいます。内耳には神経が通っていて、脳幹部を経て大脳に繋がります。

耳垢はどんな働きをしている?

外耳道の軟骨に囲まれている部分は、短い毛(耳毛)、ベトベトした分泌物を出す耳垢腺、皮脂腺などがあります。耳垢は古くなった皮膚がはがれたもの、耳垢腺からの分泌物やほこりなどが混じり合ったものです。

耳垢は、異物の侵入を防ぎ、外耳道を保護して、乾燥を防ぐ役割があります。

耳がかゆいときに考えられる病気は?

ヘッドホン

耳のかゆみの原因は、耳垢だと思っていませんか。耳垢は外耳道を保護するものなので、耳がかゆいからと言って耳掃除をしすぎると、かゆみを抑えるのではなく、かゆみを増してしまう可能性もあります。

外耳道炎

気温や湿度が高い季節は、汗をかくことによって外耳道が炎症を起こすことがあります。また、外耳道に頻繁に刺激が与えられても、皮膚が炎症を起こす原因となります。細菌や真菌などの病原体に感染することで、外耳道炎が起こります。

細菌感染の多くは、もともと皮膚に常在している黄色ブドウ球菌によるものです。

炎症が軽ければかゆみを起こし、酷くなると痛みをもたらします。耳の中がかゆくなることでさらに皮膚をかくとさらにかゆみが増していく…というような悪循環を起こすこともあります。かゆみの他には、耳の痛み耳の灼熱感の症状が現れます。

外耳道真菌症

外耳道に水が入ることによって外耳道の皮膚が湿ったり耳垢がふやけたりすると、細菌感染を起こすことがあります。また、耳かきや耳の中を触ることによってできた傷がきっかけとなり、細菌に感染することもあります。

外耳道はもともと殺菌作用のある粘液を分泌しているのですが、皮膚が傷つけられると殺菌作用が弱くなり傷からカンジダやアスペルギルスなどの真菌(カビ)が侵入してしまうのです。特に夏場は、外耳道が温かく湿り気を持つので、真菌にとっては増殖するのに最適な環境となります。

耳垢栓塞

外耳道に耳垢が大量に溜まり、耳に栓をしたような状態になると、耳垢栓塞と呼ばれ、音が聞こえにくくなることがあります。

耳垢には乾性と湿性があり、湿ったタイプの湿性耳垢は、外耳道に付いたままでいると、次第に固まってしまうのです。水が入ると、耳垢がふやけるので外耳道いっぱいに膨張してかゆみの原因にもなります。

完全に耳の穴がふさがると、音が耳に入らなくなります。

アレルギー

花粉症などのアレルギー性鼻炎によって耳の中がかゆくなることがあります。身体の皮膚が花粉などに対して過敏になっているので、顔、目、鼻の中、喉、耳の中とアレルギー症状を起こしているのです。

アレルギー性鼻炎の耳の症状は、耳のかゆみ、難聴やめまいが挙げられます。耳の中は、鼓膜までの外耳道に皮膚の成分があるので、アトピー性皮膚炎の場合も耳の中がかゆくなることがあります。その他、イヤホンやヘッドホンなどが耳に触れることで、皮膚がかぶれる接触皮膚炎によって耳がかゆくなることがあります。

まとめ

耳は、外耳、中耳、内耳に分けられ、耳がかゆいときは、外耳道が炎症を起こしていることが考えられます。原因は、外耳道炎、外耳道真菌症、耳垢栓塞、アレルギーなどが疑われます。外耳道は皮膚が薄いので、少しの刺激が炎症に繋がってしまうのです。耳垢は乾性と湿性に分けられ、外耳道を守る役割を持っています。