食物アレルギーは、乳幼児に多いと言われていましたが、最近では成人になってから大豆製品によるアレルギーを発症する方も増えてきました。症状も比較的軽いものから命に関わる重大なものまで、多種多様です。多様化している食物アレルギーの中で、今回は大豆アレルギーについて、ご説明致します。

目次

編集部より

アレルギーの症状は個人差が大きいため、自己判断は危険です。
本記事は医学的見地にもとづいて執筆していますが、実際のお子さんの症状に関しては必ずかかりつけ医に相談するようにしてください。

なぜ大豆アレルギーが起こるの?

人間には、外敵(異物)から身体を守る免疫反応が備わっています。しかし、この免疫反応が反対に身体に有害な反応を起こしてしまうことを、アレルギー反応と呼んでいます。大豆アレルギーの原因となるものは、大豆に含まれているタンパク質です。大豆アレルギーの人が大豆を食べると、小腸から大豆のタンパク質が吸収されて、血管を通って全身に運ばれます。大豆アレルギーの方の場合、身体が大豆のタンパク質を外敵だとみなし、退治しようと攻撃をしかけます。それが様々な症状となって身体に現れるのです。

大豆アレルギーの症状は?

など

大豆アレルギーの症状には2種類の出方がある

大豆

大豆アレルギーでは、主に湿疹の症状が出る人とじんましんや喘息の症状が出る人の二通りに分かれます。

湿疹の症状が出る人

湿疹症状では、かゆみを伴った赤いブツブツが身体の一部に現れ、数日から1週間以上症状が続きます。同じ大豆製品でも、加工方法によってアレルギーの症状の度合いが異なります。

このパターンの人では、大豆油はアレルギー反応を起こすことがあります。油はタンパク質ではないですが、酸化すると大豆油とタンパク質が結びついてアレルギーを起こしやすい形に変わるためです。特に、古い大豆油はアレルギーを起こしやすいので注意が必要です。

一方、豆腐は比較的症状が軽く、食べることができる場合があります。また、醤油、味噌もアレルゲンの活性が低く、アレルギーを起こすことは少ないとされています。

じんましんや喘息の症状が出る人

皮膚の一部に赤く小さなふくらみができてかゆくなりますが、数十分から数時間で消えることが多いです。喘息の症状や短い時間に多くのふくらみが全身に出る場合もあります。

アレルギーの症状が重い人は、豆腐、きな粉、おからや豆乳などを食べても症状が出ることがあります。

大豆アレルギーで特に注意が必要なことは?

soybeans3

大豆アレルギーの反応は個人差が強く、人によってアレルギーを起こすパターンが異なることが分かってきました。

シラカンバの花粉アレルギーがある人は大豆アレルギーを起こしやすい傾向にあります。これは、シラカンバの花粉のタンパク質と大豆のタンパク質の成分が共通しているためです。カバノキ科(シラカンバ、ハンノキなど)のアレルギーが引き金となって、豆乳によるアレルギーを発症することもあります。成人の例では、カバノキ科の花粉症を持つ方が豆乳を飲んだことによって、豆乳のアナフィラキシーが起きたことが報告されています。

 

また、同じ大豆製品でも、味噌や納豆に比べて、加工の程度が低い豆乳はアレルギー反応が起こりやすいといわれています。大豆を加熱したり発酵したりすることによって成分が変わるので、アレルギーを起こす力は弱まると考えられています。

さらに、カバノキ科の花粉症の方がモモやリンゴを食べて喉がかゆくなることがあれば、今後豆乳等によるアレルギーを発症する可能性があるので、注意が必要です。

大豆アレルギーを防ぐには?

問診、血液検査、食物除去試験などの結果から、大豆アレルギーだと分かった場合、毎日の食事から大豆や大豆が含まれている食べ物を摂らないこと(食事除去)が重要です。食事除去を行う場合には、医師の正しい判断に基づき、栄養不足にならないように気を付けます。

食品を買うときには、食品表示を確認することが大切です。大豆を使った加工食品や健康食品も数多くあるので、特に花粉症の方は食品表示をよく確認するようにしましょう。

まとめ

大豆アレルギーは、大豆に含まれているタンパク質が原因となって起こり、その症状は1週間程度をかけて湿疹の症状が出る場合と、数十分の経過でじんましんや喘息の症状が出る場合に分けることができます。大豆アレルギーで特に注意が必要なのが、カバノキ科の花粉症を持つ方です。両者に含まれるタンパク質は成分が共通しているため、カバノキ科の花粉症が引き金となって大豆アレルギーを起こすことがあるためです。

アレルギーは知らずに原因となるものを摂ってしまうと、呼吸困難など命にかかわる場合もあります。医師の正しい指導に基づき、必要な予防・対処を行う必要があります。