そろそろ今年の花粉が気になる時期…。寒い冬の終わる頃からくしゃみ鼻水鼻づまりに悩まされる方も多いのではないでしょうか。花粉が体内に入ることで一体どのようなことが起き花粉症を発症するのでしょうか。今回は、花粉症が起きるメカニズムについてご説明します。

目次

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<【図解】「花粉症のメカニズム・早わかり」はこちら>

花粉症とは

花粉によって身体に起こるアレルギー疾患のことを、花粉症と呼んでいます。

花粉症では、主にアレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎の症状が現れます。アレルギー反応の起こり方には、即時相(そくじそう)反応遅発相(ちはつそう)反応があります。

即時相反応

花粉が鼻に入ると、くしゃみ鼻水が出て、その後少し遅れて鼻づまりが起こります。このときの鼻の粘膜は、風邪にかかったときのように赤く腫れています。そのため、初めて花粉症にかかったときは、検査をしなければ風邪と間違うこともあります。

目に花粉が入ると、早い段階で目のかゆみ充血や涙などの症状が現れます。症状が強いときは、花粉が鼻から喉に流れて喉のかゆみやを引き起こします。その他、頭痛、微熱やだるさなどの症状に悩まされることもあります。

遅発相反応

花粉がない家の中では、花粉を繰り返し吸うことによって起きた鼻づまりが続きます。身体の中の物質が神経や血管を刺激することによって症状が起こります。

身体の免疫システムとは

アレルギーを考えるときに重要な手がかりとなるのが、身体の免疫システムです。

私たちの身体には、自分を外敵から守る防御システムが働いています。「免疫」とは、自分を構成している細胞の成分と自分以外の外界から侵入してくる物質(異物)を区別して、異物を排除しようとする身体の働きです。この免疫システムのおかげで、私たちは細菌やウィルスなどから身体を守っています。

昔は、身の周りにダニや寄生虫などがたくさんいました。それらが身体に入ってくるのを防ぐために、免疫システムが発達したといわれています。

免疫システムとアレルギーの関係とは

現代は昔よりも清潔になり、ダニや寄生虫と触れる機会が減りました。しかし免疫システムは残っています。そのため、花粉やハウスダストなどの無害な異物が身体の中に入ってきたときに、外敵がきたと勘違いをしてやっつけようとしてしまうのです。

免疫の仕組みが上手に働かなかったり、過剰に働きすぎたりして自分を守るどころか、逆に傷つけてしまうのが、「アレルギー反応」です。

身体が花粉を追い出す仕組み

女性の顔-写真
花粉が鼻の粘膜に入ると、異物を認識する細胞と出会い、情報がリンパ球に伝わります。リンパ球の中では、花粉にぴったり合う抗体(IgE抗体)を作ります。抗体とは、異物を感知して捕らえるセンサーのようなものです。これが「感作」と呼ばれるアレルギー反応の最初の段階です。

血液中のリンパ球でIgE抗体が作られると、毛細血管を通って組織に届き、肥満(マスト)細胞と呼ばれる細胞にくっついて、花粉が侵入してこないか見張ります。こうして細胞にくっついたIgE抗体は花粉が侵入してきたときに、追い出せるように待ち構えているのです。肥満細胞は、鼻の粘膜、目の粘膜、気管支の粘膜、腸の粘膜などにあり、花粉から身体を守るミサイルのような顆粒を持ち、センサーの役割を持つIgE抗体が様子を伺い、攻撃に備えています。

花粉症が発症する仕組み

花粉が飛散する時期になると、花粉がIgE抗体にくっつくことによって、肥満細胞の中にあるカルシウムが出て筋繊維が縮小し、蓄えていたミサイルを放出してしまいます。代表的なミサイルは、ヒスタミン、ロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)などです。

ヒスタミンはかゆみや気管支の収縮を起こす働きがあるので、鼻水やくしゃみが出たり、鼻がつまったり、目や鼻がかゆくなるといった症状が現れます。花粉との反応が繰り返されることによって、鼻では好酸球という細胞が増えてきます。この好酸球が上皮細胞を傷つけてしまうので、過敏な状態が続くのです。

どんな人が花粉症にかかりやすい?

鼻をかむ女性-写真
  • IgE抗体を作りやすい体質である
  • 身の回りに花粉が多い

IgE抗体は誰にでもあるわけではありません。人間にはIgE抗体を作りやすい体質があります。遺伝的な要素が大きいのですが、環境によっても影響を受けます。環境による影響としては、花粉が多く飛ぶ地域や大気汚染が進んでいる場所に住んでいると花粉症を発症しやすいと考えられています。

ここまでの内容を、1枚の図解にまとめました。

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花粉症メカニズム-図解

まとめ

花粉症は、花粉が身体の中に入ることによって起こるアレルギー反応です。花粉症の代表的な症状であるくしゃみ、鼻水や鼻づまりは身体の免疫システムが過剰に働くことで起こります。花粉に対抗する抗体を作る感作が起き、花粉が身体に入ってきたときに作られた抗体とくっつくことによってヒスタミンなどの物質を放出し、身体にかゆみや炎症などの症状を引き起こします。