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一般的に胃痙攣(胃けいれん)と呼ばれる症状は、様々な病気のサインとして現れます。ただし、「胃痙攣」という病名はありません。胃以外にも、あちこちの異常が原因で症状がみられることがあります。

いずれにせよ、検査で原因をはっきりさせることで、病気を早く発見することができます。胃痙攣と感じる症状があれば放置せずに、病気の早期治療を行いましょう。この記事では、胃の辺りに異常が起こったときの対処法や、検査と診断、そして治療について詳しく説明します。

胃痙攣や上腹部痛が起こったら、何科を受診するの?

胃痙攣は、胃や腸の病気の症状として現れていることがあります。まずは総合内科や消化器内科を受診しましょう。

内科で検査をしても異常がみられない場合、精神的ストレスが原因と考えられます。精神的緊張やストレスが原因の場合は、心療内科を受診するとよいでしょう。胃痙攣を引き起こす病気については「胃痙攣・上腹部痛が原因となる6つの病気。受診する時は何を伝えるべき?」の記事をご覧ください。

胃痙攣上腹部痛の検査や診断は?

胃痙攣や上腹部の痛みを引き起こす病気は数多くあります。症状を詳しく伝えることで、病気の可能性を絞り、スムーズに検査が行えます。受診をする際には、医師に症状を正確に伝えることが大切です。

診察では、以下のような症状を伝えると良いでしょう。

  • 痛みの部位
  • どのような痛みか?(キリキリする、ズキズキする、刺すような痛み…など)
  • 痛みはどれだけ続くか
  • いつ頃痛みがみられるか(空腹時、食後、緊張した時…など)
  • 痛み以外の症状
  • 食生活
  • 吐き気や嘔吐はあるか
  • 黒い便は出ていないか
  • 体重減少はないか

胃痙攣に関連した病気の疑いがある場合、消化器内科では以下のような検査を行い、診断をします。検査の特徴や注意点をチェックしましょう。

血液検査

血液検査を行うことで、内臓の炎症や、全身の機能を知ることができます。運動後や、体にストレスがかかっているときに血液検査を行うと、正確な結果が得られないことがあります。血液検査の前日・当日は激しい運動を避けましょう。

腹部超音波検査

お腹に超音波の装置をあて、臓器や血管の状態をみる検査です。胃ではなく、ほかの臓器をみるために行われます。

腹部超音波検査では、胆石症、肝臓・腎臓・膵臓の悪性腫瘍(がん)などを発見できます。検査は10分~20分程度で行われ、痛みもありません。この検査には放射線を使用しないため、被ばくの心配もなく安全です。

上部消化管X線造影検査(バリウム検査)

造影剤(バリウム)と発泡剤(胃をふくらませる薬)を飲んだ後に、X線で胃や食道を撮影する検査です。この検査は、食道・胃・十二指腸の病気が疑われるときに行います。検査前日の夕食後から検査が終わるまで、食事・水分摂取が禁止です。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

一般的に胃カメラと呼ばれている検査です。口や鼻から、内視鏡のついた細い管を挿入し、食道・胃・十二指腸を撮影します。他の検査で病気が疑われたときに、診断のために行われます。胃がんや胃・十二指腸潰瘍などを早期に発見できます。

管を挿入するときに痛みを伴うことがあります。状況に応じて、検査の前に麻酔薬や鎮静剤(緊張をやわらげる薬)が使用されます。また、検査前日の夕食後から検査後まで、食事は禁止です。

この検査で、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染も確かめることができます。ピロリ菌の検査に関しては「ピロリ菌に感染したら?治療と除菌の方法とは」をご覧下さい。

胃痙攣の治療は?

医師-写真

先にも書いた通り、胃痙攣そのものが病気というわけではありません。病気が原因で胃痙攣を引き起こしている場合は、病気の治療を行うことで胃痙攣も治まります。病気によっては、悪化すると外科的手術が必要な場合もあります。早めに検査を受けましょう。

胃痙攣の症状そのものは、胃腸のけいれんを抑える薬を飲むことで、痛みを和らげることができます。胃痙攣の痛みを和らげる際、ブチルスコポラミン臭化物が成分に含まれる薬が使用されます。胃・十二指腸潰瘍や慢性胃炎では、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が認められることがあります。ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療が有効です。

ストレスが原因の胃の異常はどうしたらいいの?

内科を受診して検査をしても病気が見つからない場合や、原因がはっきりしないことがあります。その場合、ストレスや緊張により胃痙攣を起こしている可能性が高いでしょう。

ストレスが原因で体に異常がある場合は、心療内科で治療が行われます。心療内科では症状に合わせた薬物治療や、カウンセリング療法を行います。日常生活で気を付けることは、休養や睡眠をしっかり取ることです。また、暴飲暴食も胃に負担がかかるので控えましょう。

まとめ

胃痙攣や上腹部痛は、体と心の不調のサインです。軽い痛みでも放置をせずに、受診をして早めに対処をしましょう。対処法や治療は、原因によって変わってきます。検査で原因をはっきりとさせ、病気の早期発見・治療につなげていきましょう。ストレスを溜めないことや、健康的な食事を心がけることで、胃に負担をかけないことも大切です。