皮膚がかゆいから掻く、搔くとさらにかゆくなる…というように、湿疹(皮膚炎)は「かゆみ」という症状によって悪循環に陥ってしまうことがあります。また治療が長期にわたると、今後の不安や生活の質の低下などで大きなストレスになることもあります。

少しでもストレスをなくして回復を目指すために、今回は慢性的に起こる湿疹の治療についてご説明します。湿疹の症状や種類については、「湿疹にも種類があります!代表的なもの5つを解説」をご覧ください。

目次

湿疹の治療

皮膚科での湿疹の治療は、基本的に薬物療法が中心です。

ステロイド外用剤

慢性的な湿疹に対して使われます。ステロイドとは腎臓の上にある副腎といわれる部分から分泌されているホルモンです。免疫のはたらきや炎症を抑える作用があります。

副作用や効果の強いイメージがあるかもしれませんが、正しく使用すれば効果が期待できますし、決して危険な薬ではありません。症状に合わせて薬効の強さや量を調整するなど、医師の指示のもと使用するようにしましょう。

抗ヒスタミン薬

かゆみを抑える成分が入っている薬です。かゆみを抑えることで、引っ掻いてしまうことによる悪循環を防ぎます。

ヒスタミンはかゆみを起こす化学物質として知られており、アレルギーの原因となる物質が身体に入ってくると、その刺激によって細胞から放出されます。このヒスタミンの働きを抑えるために抗ヒスタミン薬を使います。

湿疹のセルフケア

シャワー-写真

湿疹やかゆみの症状があるときは、こうした症状を悪化させないように生活習慣を見直してみましょう。外用剤を使いながら自宅でも行えるケアを続けることで、症状の緩和を目指します。

かゆいときは?

かゆみを感じたとしても、かゆい部分を爪で引っ掻いてしまうことは厳禁です。掻くことによって傷ついた皮膚は空気や他の刺激を受けやすく、かゆみも強くなります。

かゆみの緩和には、患部に冷水や氷をあてるなどして冷やすことで一定の効果が期待できます。皮膚を冷やすことは血の巡りや神経伝達を遅らせることに繋がるためです。

また、寝ているときなどに無意識に掻いてしまうときのために、爪はいつも短く切っておき皮膚が傷つくのを防ぎましょう。

加えて、寝るときは皮膚の熱がこもらない程度の肌触りのよい長袖、長ズボンなどを着用して皮膚と空気などの刺激を減らしましょう。

ブツブツが出たときは?

皮膚に湿疹が出たときは、ぶつぶつしている部分を洗い流すことで、皮膚の表面に付いたものを洗い流しましょう。皮膚を刺激する物質、汗や汚れなどを取り除くことができます。

しかし、洗いすぎなどにより皮脂(皮膚表面を覆う油分)を洗い流してしまうと、肌のバリア機能が弱まりかえって悪化させてしまうことがあります。特に、お湯や石鹸は油分もいっしょに流してしまうため、洗いすぎに注意してください。

また、湿疹が出たときにも有効なのが冷やすことです。皮膚の下の血管が拡がっていたり、かゆみを起こす神経が刺激されているときは、皮膚を冷やすことで沈静を図ります。

身体に熱や湿気がこもると皮膚のバリア機能が低下します。部屋の換気や衣服に注意をして風通しの良い状態を作りましょう。

皮膚の症状の多くは、診察をするときには変わっていたり消えていたりすることがあります。余裕があれば湿疹の写真を撮って医師に見せましょう。経過を見てもらえることが診察にも役に立ちます。

注意することは?

血流がよくなって体が温まるとかゆみが増します。湿疹ができているときは、長風呂したり、運動したり、アルコールを飲むなど血流がよくなることは避けましょう。

皮膚にかゆみや湿疹があるときは、刺激や化学物質に対するバリア機能が低下しています。症状が落ち着くまでは、洗濯に気を付けて衣服に化学物質が残らないようにしましょう。洗濯のすすぐ回数を増やす、柔軟剤を使用しない、など工夫することが大切です。

食品添加物は消化のときに身体に負担がかかり、かゆみに影響することがあります。食品添加物を含む加工品(ハム、ラーメンやお菓子など)は可能な範囲で減らしましょう。

加えて、規則正しい生活を送ることで身体の自律神経が整います。早寝早起きをする、睡眠を十分に取るなどを意識して生活のリズムを整えることも大切です。

まとめ

湿疹の治療にはステロイドや抗ヒスタミンなどが処方されます。ステロイドは医師の指示を守って使えば問題がない薬だと考えられています。薬物療法と合わせて自宅でも湿疹の症状を和らげるためのセルフケアを行います。症状が出ている部分を洗い流す、冷やすなどが効果的です。

また、病気にならない、悪化させない身体を作るには自律神経を整えることが大切です。忙しい毎日でもなるべく規則正しい生活を送ることを意識してみましょう。