年とともに悩まされることの多いシミ。シミには様々なタイプがありますが、中でも肝斑は日本人の皮膚にできやすいといわれています。

美白目的の化粧品は色々とありますが、実は皮膚科や美容クリニックで肝斑の治療として処方されるトラネキサム酸という「飲む」薬があります。
トラネキサム酸はアミノ酸の一種で、メラニンの生成を抑制する作用、炎症を抑える作用などがあり、肌荒れや肝斑、そばかすを改善し予防する効果があるといわれています。

ここでは、トラネキサム酸について詳しくご紹介します。

目次

トラネキサム酸とは?

トラネキサム酸は人工的に合成されたアミノ酸で、血栓を溶かしたり炎症を引き起こす生体内の酵素「プラスミン」を抑制する抗プラスミン作用を持っています。

この抗プラスミン作用によりトラネキサム酸は抗炎症・抗アレルギー効果や止血効果があり、口内炎やのどの痛み、湿疹・じんましんの治療や出血を止める目的などで昔から医療の現場で用いられています

そしてトラネキサム酸に肝斑の改善効果が見られることが1979年に報告され、2002年には厚生労働省から正式に「美白効果のある成分」として承認されています。

そもそも肝斑って何?

肝斑は治りにくいとされるシミの一種で、原因や治療法などが、他のシミと異なります。

症状

肝斑の大きな特徴は、ほほ骨や額、口の周辺に左右対称にほぼ同じ形、大きさで現れることです。比較的広い範囲に、輪郭がはっきりしない形でモヤッと広がります。目の周囲にはできず、色が抜けたように見えることもあります。

加齢とともに増えるシミが多い中、肝斑は30~40代の女性に多く見られます。その後閉経とともに薄くなり、高齢者では肝斑はほとんど見られなくなります。

原因

太陽に手をかざす-写真
原因は、女性ホルモンが関連していると言われています。妊娠や経口避妊薬によりできることもあり、ストレスによりホルモンバランスが崩れることで発症することもあります。

また、紫外線にあたりやすい部位に症状が現れやすいため、発症の原因として紫外線が重要であると考えられています。

トラネキサム酸が肝斑に効く仕組み

肝斑の正体は、皮膚に存在するメラニンという色素です。肌が女性ホルモンや紫外線などの刺激を受けると、メラノサイト(メラニン細胞)活性化因子が生成され、メラノサイトに作用してメラニンが産生されることで肝斑が発症するといわれています。

トラネキサム酸はこのメラノサイト活性化因子の一つであるプラスミンの作用を阻害して、肝斑の発生を抑えることができると考えられます。

肝斑には女性ホルモンが大きく関わっているといわれますが、トラネキサム酸は女性ホルモンに働きかける薬ではないので、安心して使うことができます。

副作用は?

トラネキサム酸は比較的安全な薬なので、副作用はほとんどありません

ただし、まれに食欲不振、胸やけ、嘔吐、眠気、発疹などが見られます。また、止血作用があるため、血栓のできやすい人は服用を控えましょう

その他、別の止血薬であるトロンビンとは併用できません。両方を服用することで、血栓ができやすくなってしまうためです。トロンビンは、胃薬としても処方されることがあるため、内科でトロンビン、皮膚科でトラネキサム酸を同時に処方されることのないように注意してください。

心筋梗塞や脳血栓などを起こす恐れもあるので、持病を持つ人は自己判断せず、医師に相談をして服用するかどうかを決めてください。

どこで購入できる?

トラネキサム酸は、病院で処方してもらえます。皮膚科や美容クリニックで相談してください。
また、市販薬としてドラッグストアなどで購入することもできます。

まとめ

トラネキサム酸は、女性ホルモンに直接的な影響がなく肝斑の治療ができる薬です。

副作用は非常に少ないですが、止血作用があるため、もともと血栓症のリスクのある方は注意してください。