突然死の原因にもなる心筋梗塞は心臓の血管が詰まる病気です。平成26年に心筋梗塞で亡くなった人の数は38,991人(男性:21,801人、女性:17,190人)でした(厚生労働省より)。心筋梗塞は生活習慣病にも深く関わっている病気です。どのような症状がみられるのか、原因、合併症について詳しく解説していきます。

目次

心筋梗塞の症状

胸の重苦しい痛みや肩や背中、首まで広がる痛みが数十分にわたって長く続きます。動悸息切れ・呼吸困難不整脈吐き気冷や汗、顔が青白くなる、奥歯の痛みなどの症状もみられ、そのまま突然死することもあります。

心筋梗塞が好発する年齢

心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患は65歳以上の方に特に多くみられますが、15~34歳が1,700人であることに対し、35~64歳では64,000人と35歳以上から注意したい疾患です(厚生労働省より)。生活習慣病がみられる年齢と重なっており、心筋梗塞と生活習慣病とは深い関わりがあることがわかります。

心筋梗塞が起こる仕組み

年齢を重ねると心筋梗塞になる方が増えるのはなぜでしょうか。

血管もだんだん老化していき、弾力のあった血管は硬く脆く傷つきやすくなっていきます。そこに、肥満LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高い高血圧などの症状が重なると血液が脂肪分でドロドロになり、傷ついた血管の壁に脂肪が溜まっていきます。脂肪が壁にへばりついて厚さを増すと血管の内側の幅が狭くなり、血液の流れが悪くなります。この血管の状態を動脈硬化と言います。動脈硬化が起こると血液が流れにくくなるので、血管の中で血の塊を形成することがあります。この血の塊は血栓と呼ばれます。

心臓の血管に動脈硬化が起こって血栓ができ、それが心臓の血管に詰まると、詰まった先の血管には血液が流れなくなり、心臓の筋肉に栄養や酸素が運ばれないため心臓の筋肉が死んでしまい、心筋梗塞となります。

心筋梗塞が起こる原因

心筋梗塞が起こる前には心臓の血管の動脈硬化が起こっています。動脈硬化が起こるのは、年をとること、脂肪分の多い食事、アルコールの飲み過ぎ、喫煙、ストレス、運動不足、肥満などの生活習慣と深く関わっています。心臓の血管に動脈硬化が起こると、まず、血液が流れにくくなって、胸の痛みや動悸、息切れなどの症状を繰り返して起こす狭心症が見られます。急な運動や力んだ時、急に体が冷える冬場のお風呂場などで心臓の血管が縮まると、動脈硬化で狭くなっている血管がさらに狭くなり、一気に血栓が詰まって狭心症の症状がみられないまま心筋梗塞を起こす場合もあります。

心筋梗塞の合併症

パズル

心筋梗塞では心臓の筋肉が死んでしまうことによる合併症がみられます。

うっ血性心不全

心臓の筋肉の一部が死んでしまうことによって心臓の機能が著しく低下し、肺への血の巡りも悪くなって肺に水が溜まり、呼吸困難、息苦しさ、息切れなどの症状がみられます。

不整脈

心臓の筋肉が壊れて心臓の拍動のリズムが崩れると、心室頻拍、心室細動などの頻脈(脈が通常よりも早く打つ状態)や洞不全症候群や房室ブロックなどの徐脈(脈が非常に遅く打つ状態)等の不整脈がみられます。

心破裂

心臓の筋肉が死んでしまった部分に圧がかかり、心臓が破れてしまう状態で、早急に治療しないと死に至ります。

まとめ

心筋梗塞は動脈硬化から引き起こされる突然死の原因ともなる恐ろしい病気です。肥満やコレステロールの多い食事、喫煙、過度のアルコール摂取、ストレス、運動不足、高血圧、糖尿病などの生活習慣から動脈硬化になるリスクは高くなるので、日頃から栄養バランスのとれた食事と適度な運動、ストレスフリーの生活を心掛けましょう。また、早めに検査、治療を開始することで最悪な状況を防ぐことができます。胸の違和感などがあれば、我慢せずに循環器内科や心臓血管外科(内科)などを早めに受診するようにしましょう。激しい胸の痛みが続く場合は119番して救急車を呼びましょう。