ヨクイニンは、炎症をおさえたり、利尿作用、抗腫瘍作用、むくみにも効果があるとして昔から使われてきた漢方です。そして最近では肌荒れ改善やイボを取る効果があるとして注目を浴びています。
今回はヨクイニンについて、肌への効果を中心に概要や服用のタイミングなどを説明します。
ヨクイニンとは？
ヨクイニンは、イネ科のハトムギの皮を取り除いた種から作られる漢方薬です。食べものであるハトムギを薬にしたものがヨクイニンという認識でよいでしょう。
ハトムギ自体は昔から肌の美容に効果があることが知られており、中国では古代宮廷料理の代表的な食材として使われていました。たんぱく質、脂肪、カルシウム、ビタミンB群、鉄、カリウムを豊富に含む、栄養価の高い食材で、ウイルス性のイボや、ニキビ、アトピー、シミなど様々な症状に効果があるといわれています。
ヨクイニンの効果
皮膚の新陳代謝を活発にする
ヨクイニンには様々な栄養素がバランスよく含まれています。身体の中の水の流れがよくなり、皮膚の新陳代謝が上がるといわれています。主な効果は、以下の通りです。
ニキビ
ヨクイニンは肌の新陳代謝を活性化させるので、皮膚を新しく作りかえる効果があります。また、抗菌効果・抗炎症作用もあるため、ニキビの治療に効果的です。
アトピー性皮膚炎
ヨクイニンの免疫機能活性作用・抗炎症作用・抗アレルギー作用によりアトピー性皮膚炎の症状が改善した例があります。アトピー性皮膚炎にはステロイドによる治療が一般的ですが、ステロイドを長い間使用すると副作用が出やすくなります。ヨクイニンは副作用が少ないため、子供のアトピー性皮膚炎にも使うことができます。
水イボなどのウイルス性のイボ
水イボとは、皮膚が伝染性軟属腫ウイルスというウイルスに感染することで発生します。夏場、プールなどで感染することが多い、子供によくみられる症状です。
病院で水イボを取ることもできます。しかし、ピンセットや液体窒素で除去するため、痛みがあり、痕が残ってしまうこともあります。
そこで、水イボなどのウイルス性のイボには、抗ウイルス・抗腫瘍効果を持つヨクイニンが使われることがあります。
肌荒れしみ
新陳代謝を活性化させ、滑らかになります。また、皮膚の色素や赤みが減少し、いわゆる透明感のある肌となると言われていて、シミや肝斑にも効果があります。
むくみ
ヨクイニンには利尿作用もあり、体内に滞った水分を排出してくれるので、むくみにも効果があります。
他にも、抗がん作用、抗肥満・抗炎症作用や肩こり、冷え性の症状改善など様々な効果があります。はとむぎの有効物質は50種類以上あり、これらの有効物質の相乗効果によって、多くの作用がうまれると考えられています。
ヨクイニンの副作用は？
ハトムギは非常に安全性の高い食品です。そのためハトムギから作られるヨクイニンは副作用がほとんどありません。子供の水イボなどの治療にも安心して使うことができます。
しかし、イネ科の植物にアレルギーを持つ方は、極まれに皮膚の発疹やかゆみ、胃腸の痛みや食欲不振を招くことがあります。
また、ヨクイニン錠やヨクイニン湯として販売されている商品の中には、複数の成分が一緒に配合されているものもあります。そのため、ヨクイニンに対しては副作用がなくても、他の成分によって副作用が起こる場合もあるので、注意が必要です。
妊娠中は注意
安全性が高いからといって、胎児への影響がまったくないとは言えません。特に妊娠初期は流産の危険性も知られており、どんな薬を服用するにも注意が必要です。
動物実験では通常使用量の25～50倍の高濃度で初めて胎児への副作用報告がありますが、臨床試験で3倍量使用では副作用の報告はなされておりません。このように過度な服用をしない限り問題ないと考えられますが、妊娠中にヨクイニンの服用を考える場合は、自分で判断せず、必ず医師に相談するようにしましょう。
服用時間は
ヨクイニンは漢方生薬です。漢方は食前（食事の30分前）に服用するのがよいとされています。吸収させるということでは胃の中に何も入っていない空腹時に飲むのが効果的です。
ただし、飲み忘れてしまった場合は、食間や食後に服用しても問題ありません。
どれくらい続ければいい？
ヨクイニンは漢方生薬なので速効性はありません。時間をかけて、ゆっくり治療していくものになります。数ヶ月間服用して様子を見ていきましょう。
どこで購入できる？
ハトムギは、ハトムギ茶としてスーパーなどでも売られているので、手軽に飲むことができます。しかし、しっかりとした効果を得たい場合は、漢方薬としてヨクイニンエキスを服用する方がよいでしょう。
ヨクイニンは、ドラッグストアなどで市販薬として販売されています。また、病院で処方してもらうこともできるので、関心のある方は医師に相談してみましょう。
まとめ
ヨクイニンは、水イボやニキビ、肌荒れなど様々な症状に効果を発揮します。長期間服用しなければなかなか効果を実感できませんが、副作用もほとんどなく、安心して服用できる漢方です。
ただし、妊婦の方は注意が必要です。服用の際は医師や薬剤師に相談してください。