頭痛が長引くと、生活に大きな支障をきたしてしまいます。「体質」と割り切ってしまわず、可能性のある病気について知っておきましょう。
頭痛の正体3つ
頭痛が起こると「脳に異常があるのかも?」と心配される方も多いと思います。しかし実は、頭痛の原因は脳ではありません。頭痛の主な原因は、血管、筋肉、三叉神経にあると考えられます。
血管
脳には、様々な血管が網の目のように走っています。この血管が広がることで神経を刺激したりすると頭痛が起こることがあります。
血管が原因で起こる頭痛は、血管の状態が改善するまでズキズキと続きます。
筋肉
次に注意したいのが筋肉の痛みです。
人間の頭は、非常に多くの筋肉で覆われています。筋肉に血流障害や炎症が起こると、頭痛が出現することがあります。
三叉神経
もう一つ、厄介なのが三叉神経の痛みです。
三叉神経は顔や頭の知覚に関与している神経です。何らかの理由でこの神経に刺激が加わると激しい痛みが起こります。
頭痛を引き起こす病気

ここからは、慢性的な頭痛の原因となる病気をいくつか紹介します
片頭痛
片頭痛は、慢性頭痛の原因となる代表的な疾患の一つです。主にこめかみから側頭部にかけてズキズキとした脈打つ痛みが出現します。三叉神経の炎症や血管の拡張が原因と考えられています。
20~40代の女性に特に多く見られ、視野にキラキラとした光がちらつく(閃輝暗点)などの前兆の後に脈打つような痛みが発生することもあります。頭痛は体を動かすことで増悪し、しばしば吐き気を伴います。また、光がいつもより眩しく感じたり(光過敏)、音がうるさく感じたり(音過敏)します。頭痛が出現しているときは、「暗く静かなところで目をつぶって動きたくない」と感じる方が多いようです。
片頭痛にはトリプタン製剤という薬が効果的です。早期に内服することで、痛みを最小限に抑えることができます。また片頭痛の回数が多い場合には、頭痛の頻度を下げるような予防薬を内服することもあります。
生活習慣の見直しも重要です。十分な睡眠時間を確保し、ストレスを避けましょう。またワインやチョコレート、チーズなどの食品も片頭痛の誘発因子となるので、注意しましょう。
群発頭痛
群発頭痛は、非常に痛みが強い頭痛として知られています。典型的には群発期(頭痛が毎日起こる期間)と非群発期(頭痛のない期間)が存在し、群発期には目の周りや奥を中心に激しい痛みが毎日特定の時間帯に起こることが多いです。
痛みが出ているときには涙が出てきたり、目の結膜が充血したり、鼻水が垂れてきたりと様々な症状を伴います。これらは自律神経の異常によって起こるものです。
群発頭痛は未だに原因が明らかにされていません。三叉神経血管系の炎症や興奮、視床下部の機能異常などが原因として推測されています。
発作時には酸素吸入や、一部のトリプタン製剤(片頭痛で使用される薬)が有効であるといわれています。また群発期の頭痛を予防するような予防薬を内服することもあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、比較的遭遇することの多い頭痛で、頭が重く締め付けられるような頭痛です。頭全体に起こることもあれば、首の付け根から後頭部にかけて限局的に起こることもあります。人によっては肩の筋肉に痛みを伴います。この頭痛ではあまり激しい痛みは出現せず、片頭痛で出現する光がチラつくような前兆も見られません。ふわふわしためまいを伴う場合もあり、めまいが強い場合は吐き気が出現します。
原因は未だ不明な点が多いのですが、筋肉の過緊張や血流の障害が一因と考えられています。
ストレッチや痛み止めの服用、姿勢の見直しなどで症状が改善することもあるので、肩こりがひどい人や、首周りに負担がかかりやすい仕事(事務・パソコン作業など)をしている人は注意しましょう。
三叉神経痛
三叉神経に物理的な刺激や炎症が加わると、顔面や前頭部に鋭い突発的な痛みが出現するようになります。痛みの持続は数秒から数十秒で、周期的に出現します。洗顔や髭剃りなどの動作によって誘発されることもあります。
比較的強い痛みであるため、くも膜下出血など危険な頭痛を否定することが重要です。
治療は、神経の過敏性を抑えるカルバマゼピンという内服薬がよく効きます。
また、三叉神経の近くは多くの動脈が走行していますこのため、生まれつき神経と血管の位置関係が悪く、血管の拍動が神経に伝わってしまうこともあります。この場合は、手術で三叉神経と血管の位置関係を改善し、三叉神経痛の再発を防ぐことができます。
まとめ
突発的な頭痛は時に非常に重大な病気が引き金となることがあります。
一方で、慢性的な頭痛はすぐに生命には直結しないものの、日常生活の質を大きく低下させてしまいます。このため、頭痛の種類や原因をしっかりと把握し、適切な治療を行うことが重要です。もし頭痛で悩まれているのであれば、神経内科や脳神経外科、頭痛外来などの医療機関で一度相談してみることをお勧めします。