目やにが出ても「そのうち治るから」と、あまり気にしないかもしれません。ただ、なかには早期に治療しないとしつこく続いてしまう疾患もみられます。今回は目やにが出る病気について紹介します。
目やにって何?なぜ出るの?
目やには医学的に「眼脂(がんし)」と呼ばれます。
起床した時に目やにがついていることは珍しくありませんが、この目やには眼に入ったホコリや脱落した古い細胞などの老廃物です。眼の表面は常に涙の膜で覆われていて、瞬きする事で涙の膜も入れ替えられます。このとき老廃物も一緒に涙道を通って鼻から喉へと流れていきます。しかし、睡眠中はまぶたが閉じられるため涙のクリアランス(涙が眼の表面を洗い流すこと)が乏しく、目やにが溜まります。
上記の生理的に出る目やに以外に、眼の疾患が原因で目やにが出ることもあります。
目やにが出る原因
目やにが出る代表的な疾患を紹介します。
結膜炎
白目とまぶたの裏側を覆っている結膜に炎症が起き、その刺激で目やにが出てきます。
結膜炎は原因が様々で、細菌やウイルス、アレルギー反応によるものなどです。なかでもウイルスが原因の結膜炎は、目やにの量が多くなります。
結膜炎について詳しくは「眼の病気の代表格・結膜炎。その種類や症状は?」をご覧ください。
春季カタル
春季カタルは、アレルギー性結膜炎が重症化したものです。
目やにの他、まぶたの裏側の粘膜がボコボコと隆起状に変化する石垣状乳頭増殖やかゆみなどがみられます。また、眼の周囲にアトピー性皮膚炎を合併するケースもあります。
春季カタルについて詳しくは「春先の目の違和感、春季カタルが原因かも。症状と、似た病気との見分け方」をご覧ください。
涙嚢炎
涙は、上瞼(うわまぶた)にある涙腺(るいせん)で常に作られています。分泌された涙は眼の表面を潤してから鼻の奥へと流れていきます。眼と鼻の間には涙道という涙の通り道があり、涙小管(るいしょうかん)、涙嚢(るいのう)、鼻涙管(びるいかん)の3つの部分に分けられます。
このうち何らかの原因で鼻涙管が詰まってしまうと、上位にある涙嚢で感染が起きて炎症を起こし(涙嚢炎)、溜まった膿が逆流して目やにとして出てくる場合があります。悪化した場合は目頭付近が炎症で腫れて痛み、押すと膿が出たり、頬の辺りまで炎症による腫れが広がって痛みで眠れなかったりするなどの辛い症状が出ることもあります。
涙嚢炎について詳しくは「赤ちゃんに多く見られる?涙嚢炎ってどんな病気」をご覧ください。
赤ちゃんの目やにの原因は「先天性鼻涙管閉塞」かも
赤ちゃんに目やにがみられる場合は、生まれつき涙の通り道の一部が閉じている「先天性鼻涙管閉塞」が原因かもしれません。
涙道が開通しておらず閉じたままだと、涙が鼻に流れず溜まってしまいます。このため細菌感染を起こしやすく、目やにが出てきます。成長に伴い自然と開通する場合も多いですが、開通しない場合は処置が必要になります。
まとめ
大量の目やにがみられた場合、何か眼にトラブルが起きているかもしれません。気になるほどたくさんの目やにが出たり、痛みやかゆみなどの症状が伴ったりした場合は自己判断せず、眼科を受診することをお勧めします。