「ビダール苔癬(たいせん)」という病名をご存知でしょうか?ビダール苔癬は、皮膚が炎症を起こす病気です。今回は耳慣れない病気であるビダール苔癬の概要についてご説明します。

目次

ビダール苔癬とは?

ビダール苔癬は、慢性単純性苔癬とも呼ばれ、皮膚にかゆみが生じ、かくことによって湿疹が起こる病気です。かゆみが強いため、かく行為を繰り返しているとさらにかゆくなり、搔き続ける…という悪循環を起こします。

原因は?

ビダール苔癬を起こす原因についてはまだ明らかにはなっていませんが、不安障害、ストレスを持っている人に多く発症するのではないかと考えられています。

症状は?

  • 強いかゆみ
  • 皮膚の表面が厚くなり(苔癬化)、淡い赤みがある
  • 皮膚が乾いたようにカサカサしている

皮膚にかゆみが起こり、掻くことで発疹が生じます。発疹の形は、境界がはっきりした円形や楕円形が多いです。多くはうなじ(首の後ろや横)にでき、他に腕、肘、足、陰部など手の届く部位に発症します。

外陰部にかゆみを起こす病気

股間のかゆみを我慢する女性-写真

女性の場合は外陰部に症状が現れることがありますが、ビダール苔癬ではなく他の病気の可能性もあります。女性のデリケートな部位は汗腺や皮脂腺が多く、子宮や膣からの分泌物などの刺激によってかぶれやかゆみが起こることもあるからです。ビダール苔癬の担当科は皮膚科ですが、症状が外陰部に現れた場合は早めに婦人科や産婦人科を受診するようにしましょう。外陰部にかゆみを起こす主な病気をまとめます。

病気 特徴
接触性皮膚炎 下着、ナプキン、避妊用具、薬などが外陰部に触れることで刺激となって起こる
カンジダ症 膣に近づくほど赤みやただれが強くなる。
皮膚そう痒症 ぶつぶつは出ないがかゆみが強い。搔きこわすと皮膚が赤くなったりただれることがある
外陰パジェット病 閉経後にかかりやすい外陰部のがん。かゆみと熱感が強く、赤い発疹から腫瘍になることもある。慢性湿疹やカンジダ症に似ているため、症状が慢性的に起こるときは、特に注意
慢性単純性苔癬(ビダール苔癬) 皮膚が乾いて盛り上がりごわごわして固くなる。激しいかゆみ

どのように治療する?

ステロイドの外用剤が処方され、皮膚の炎症を回復させます。かゆみが強いときは、かゆみをやわらげるために抗ヒスタミン薬の飲み薬を併用することもあります。また、かゆみはかくことによって悪化するので、患部を密封することができるサージカルテープを使って皮膚をかくことを防ぎます。

まとめ

ビダール苔癬は、慢性単純性苔癬とも呼ばれる皮膚の病気です。強いかゆみが特徴的で、皮膚にぶつぶつができます。搔くことによってさらにかゆくなるので、治療にはステロイド外用剤を使ってかゆみがおさえます。女性の場合は、外陰部に発症することもあります。外陰部にかゆみを伴う病気はビダール苔癬の他にもあるので、正しい治療を行うために症状を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。