溶連菌感染症は、子供に多く感染する病気です。集団感染も起きる可能性があるため、しっかりと予防する必要があります。ここでは、溶連菌感染症に感染した場合に、どんな症状が起きるかを紹介するとともに、その後の治療方法、学校への登校の可否についても説明します。

目次

溶連菌感染症とは

溶連菌感染症は溶血レンサ球菌による感染症です。喉に感染することが多く、咽頭炎扁桃炎猩紅熱を引き起こす原因となります。また、皮膚に感染した場合にはとびひ(伝染性膿痂疹)の原因となることもあります。

溶連菌に感染すると、喉の痛みや発熱などの風邪に似たような症状から始まります。特にのどや皮膚への感染力が強く、特に子供において流行します。

1年の間いつでも感染が起きる可能性がありますが、冬あるいは春から初夏にかけて患者数が増えることが多いです。

溶連菌感染症の症状

発熱

溶連菌に感染すると数日間の潜伏ののちに発熱がみられます。38度を超える高熱がでる場合もしばしばあります。発熱だけということは少なく、大抵の場合は後述する喉の痛みも伴いますが、ウイルスによる風邪に比べて鼻水は少ないこともあります。

咽頭痛

溶連菌感染症の特徴としては、咽頭痛(喉の痛み)があります。喉をチェックすると真っ赤に腫れあがっており、ときに白い膿が付着している場合もあります。特に他の細菌などの感染症との違いとして、喉の奥周辺に赤く小さな点々がある場合には溶連菌感染症の可能性が高いといえます。

イチゴ舌

溶連菌感染症では、赤いブツブツしたイチゴのような見た目の症状が引き起こされることもあります。これをイチゴ舌と呼びます。ただし、この症状は溶連菌感染症だけにみられるものではなく、川崎病などでも起こることがあるので注意が必要です。

皮膚の炎症

溶連菌感染症では、発熱に伴って全身に赤い皮疹がでることがあります。一般的には、脇や肘、股関節部分などの曲げる部分に皮疹が強く出ます。特に猩紅熱では全身が日焼けしたように赤くなる場合や、赤い斑点のような点状紅斑がでる場合があります。

溶連菌感染症による合併症に気をつける

薬を飲む子供-写真

溶連菌感染症で気をつけなければならないのは、きちんと治療しないでいると危険な合併症を引き起こす点です。次に、その代表的な2つの合併症を以下に紹介します。

リウマチ熱

リウマチ熱は子供に多く発症する病気です。主に溶連菌感染症により引き起こされます。昔は合併症を引き起こす場合が多かったようですが、現在は抗生物質をしっかりと服用することで発症しにくくなっています。

リウマチ熱では溶連菌に感染した数週間後に関節痛や発熱などの症状が見られます。再発する恐れもあるため注意が必要です。

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎炎は、血尿や蛋白尿などの症状があらわれる腎臓の病気で、溶連菌に感染してから1〜2週間後に発症することが多いです。子供に多くみられます。

発症した場合、塩分や水分の制限をしたり、降圧薬、利尿薬などの適切な治療を行ったりします。安静や治療のために入院することが多いようです。

アレルギー性紫斑病

感染すると、四肢伸側(手足が折れ曲がったときの外側)の出血斑関節痛腹痛がみられます。安静にして症状に応じた治療を行いますが、症状がひどい場合には入院することもあります。

溶連菌感染症の治療法

溶連菌感染症の治療の基本は、抗生物質の服用です。しっかりと抗生物質を飲むことで、かなりの確率で合併症などを発症せずに回復できます。処方された抗生物質は、きちんと指示通りに飲みきりましょう。

一般的には、アレルギーがなければペニシリン系の抗生物質を使用しますが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンという抗生物質を使うこともあります。

もし2、3日たっても症状が改善しない場合には、病院に行き医師に相談してください。また、抗生剤を飲んで自覚症状が回復しても、体の中に菌が残っている可能性もあるため、処方されたはきちんと飲み続けると良いでしょう。

登校登園は可能か?

溶連菌は、インフルエンザのように発症したら学校を休まなくてはいけないという決まりはありません。学校保健安全法では第三種の感染症として分類されています。

通常、適切な抗生剤を内服して、24時間以上経過すれば感染力はなくなります。ただし、発熱のある期間は休ませたほうがいいでしょう。

溶連菌の予防と周囲に感染させないために

周囲の人や家族に溶連菌感染がみられた場合には、飛沫感染による感染が高いので、予防のためには手洗い、うがいをしっかり行いましょう。特に家族に感染者がいる場合には、共用のものであるコップやタオルなどは気をつける必要があります。もし、万が一同様の症状がでた場合には、すぐに病院に行くようにしてください。

まとめ

溶連菌感染症は、特に子供に多く感染する病気です。お子さんのいるご家庭では、学校などで流行していたり、近隣の地域で流行したりした場合には、きっちりとうがい・手洗いを行わせることが大切です。できる限り、人混みは避けて行動するように心がけましょう。また、万が一、症状が出た場合にはすぐに病院に行き、しっかりと指示通りに抗生物質を服用するなどの治療を受けるようにしてください。