「アスピリン」どこかで聞いた名前だな?と感じられる方も多いのではないかと思います。アスピリンは昔から使われている歴史のある薬のことで、解熱鎮痛作用があり、現在でも医療用医薬品(医師が処方する薬)として、また市販薬として幅広く使われています。
今日はそんなアスピリンについて詳しくお伝えしていきます。
「アスピリン」ってどんなお薬?
アスピリンは正式名称をアセチルサリチル酸といい、熱を冷ましたり痛みを和らげたりする作用を持っています。「アスピリン」という名前からピリン系の薬剤と思われやすいのですが、非ピリン系の薬剤です。
市販の薬にもよく使われており、有名なバファリンAやケロリンなどの薬の主な成分にもこのアスピリンが用いられています。
「アスピリン」の効き目は?
アスピリンは、抗炎症・解熱・鎮痛作用があり、具体的には以下のような効き目があります。
たまに痛み止めと熱さましの薬は別だと考えられている方がいます。アスピリンなども痛み止めの効果しかなく、熱を下げるには別の薬が必要だと思っている場合がありますが、それは間違いです。アスピリンは解熱鎮痛の両方の作用が期待できます。
「アスピリン」はどうやって痛みを和らげたり熱を下げたりするのか?

腰などに痛みを感じるとき、また風邪をひいて熱が出たとき、体の中ではプロスタグランジンという痛みや熱のもととなる物質があらわれています。
アスピリンはこのプロスタグランジンができるのを阻害して、痛みを感じることや熱が出ることを防ぎます。
「アスピリン」の副作用
胃腸障害
痛み止めの副作用として一番有名なのが胃腸障害です。服用することで胃に負担がかかり、胃があれてしまう事があります。
市販のアスピリンが含まれる薬には、この副作用を抑えるためにダイバッファーHTなどの胃を守る成分が一緒に入っていることがあります。
アスピリン喘息
アスピリンやその他大半の解熱鎮痛剤を飲むと、1時間以内にゼーゼー、ヒューヒューと喘息がでてくることがあります。
アスピリン喘息が出た方はアスピリン以外の解熱鎮痛剤も飲むことを控えるか、医師に相談したほうがよいでしょう。
その他
以上の副作用があらわれた場合には、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。
「アスピリン」を服用してはいけない人
15歳未満の小児の水痘・インフルエンザの患者
ライ症候群(急性脳症による意識障害やけいれん、または肝機能障害を引き起こす命にかかわる病気)を引き起こす恐れがあるため。
解熱鎮痛剤を服用して喘息が出たことがある人
解熱鎮痛剤、または風邪薬を服用した時に喘息が出たことがある人は、アスピリンを服用することで喘息が出る恐れがあるため。
出産予定日12週以内の妊婦
妊娠期間の延長や、分娩時の出血の増加、また胎児にも影響を与える恐れがあるため。
また、出産予定日12週以内でなくても妊娠中の服用は控えるか、医師に相談する方がよいでしょう。
他の解熱鎮痛剤などを服用している人
アスピリン以外でも他の解熱鎮痛剤や風邪薬を服用している人は、成分が重複する恐れがあり、副作用などが強く出てしまう事があるので、一緒に服用しないでください。
その他に注意すべき人
- 心臓病・肝臓病・腎臓病・胃・十二指腸潰瘍等と診断を受けている人。
- その他にも医師や歯科医師の治療を受けている人。
- 薬などでアレルギー症状を起こしたことがある人。
- 高齢者(ほかに病気を持っていたり、副作用が出たりしやすいため)
- 授乳中の人(母乳中にアスピリンの成分が出てしまう恐れがある)
もう一つのアスピリンの効果
市販されているアスピリン製剤は解熱鎮痛剤のみですが、医療用のアスピリンは解熱鎮痛作用以外に、血栓(血の塊)を作るのを防ぐ作用を利用して、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓形成予防などに使われています。
この二つの効能・効果の違いにはアスピリンの服用する量が関わっており、解熱鎮痛剤として使われる場合はアスピリンを1回500mg~1500mg服用しますが、血栓形成抑制剤として使われる場合は通常、81mg(バファリンA)または100mg(バイアスピリン)を1日1回服用します。
このように、市販のバファリンAと医療用のバファリンAは使用目的が異なるため、服用量も異なります。
まとめ
よく聞く「アスピリン」という薬、その中身については知らないことも多かったのではないでしょうか?用法用量や注意をしっかり守れば、便利で使いやすい薬になると思います。服用してもよいか迷った場合は、医師や登録販売者・薬剤師などに聞いてみましょう。