みぞおち(上腹部)の左側や中央が痛む原因はなに?


【監修】
高山 哲朗(医学博士)

消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。わたクリニック副院長、予測医学研究所所長。東海大学医学部客員准教授。慶應義塾大学医学部卒業後、内科医として臨床を行うと共に、難病の炎症性腸疾患研究に従事。人工知能を用いた予測や分類の臨床研究が国内外で評価されており、予測医学研究所所長として大学・企業と実臨床に応用可能な医療予測ツール開発を行っている。
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みぞおちを痛がる男性

みぞおち(上腹部)が痛いとき、どのような病気が考えられるでしょうか。今回は上腹部に痛みが生じる病気について、特に左側(左季肋部)、もしくは中央(心窩部)に痛みが生じる病気に焦点を当てて原因から症状まで詳しく紹介していきます。

上腹部の左側に痛みが生じる病気

狭心症

心臓の筋肉に栄養や酸素を送るための血管である冠動脈(かんどうみゃく)に病変が生じるものです。食生活や肥満、喫煙、ストレスなどを原因に冠動脈が狭くなって血の巡りが悪化したものが狭心症です。

症状は一時的に前胸部が痛み、その痛みがみぞおちや左上腕・肩などに広がります。また圧迫感や動悸、歯痛もあります。命に関わる病気を見落とさないよう注意が必要です。狭心症が心筋梗塞まで進行してしまうと意識を失うほどの激しい痛みに襲われ、最悪死にいたってしまいます。

 

このほか、下記の病気のこともあります。

急性膵炎

膵臓は非常に強力な消化液「膵液」を作ります。膵液は食べ物の消化や吸収で活躍します。膵管を通って消化管に送り出されますが、このとき胆嚢から胆汁が送り出される胆管と出口を共有しています。

胆嚢あるいは胆管に石が形成されてしまう胆石症によって出口が塞がれてしまうと、逃げ場を失った膵液が膵臓自身を消化してしまうことがあります。この流れによって膵炎が引き起こされます。この他、暴飲暴食、特にアルコールの多飲によって膵液の産生が促進されることで同じように膵炎が起こります。

無症状のこともありますが、上腹部の左側から背中にかけて痛みが出ることもあります。痛みは前かがみになると軽減するのが特徴です。吐き気や嘔吐、発熱に加え、膵臓を超えて周囲の臓器まで障害が及ぶと、呼吸困難黄疸(おうだん)ショック状態(急激な血圧低下による意識障害)などが生じることもあります。

脾腫の腫大

上腹部の左側には脾臓という臓器があります。脾臓では免疫力を担う白血球を作ったり、血液をろ過して不要な物質を取り除く働きがあります。感染症やがんなど、脾臓の働きがより求められるようになると、脾臓が腫大(腫れあがってしまう)することがあります。

腫大した脾臓は正確な働きが行えなくなり、正常な血球を不必要に貯蔵あるいは破壊します。その結果白血球の減少による免疫力の低下や、赤血球の減少による貧血などの症状を招きます。

この他の症状としては、脾腫によって胃が圧迫されることで食事の早期に満腹感が生じたり、周囲の臓器を圧迫することで呼吸困難や嘔吐、便秘などを示すことがあります。また、脾臓の位置に一致して上腹部や背中の左側に痛みが出ることもあります。

上腹部の中央に痛みが生じる病気

悩む男

急性胃炎

胃がピロリ菌に感染したり、薬の副作用高濃度のアルコールを摂取するなどして粘膜に炎症を起こします。このほか魚介類に寄生するアニサキスという回虫がきっかけになることもあります。心窩部痛や嘔吐、悪心(おしん)などがみられます。

胃、十二指腸潰瘍

急性胃炎と同様にピロリ菌感染薬の副作用ストレスなどをきっかけに、胃に傷が付き、その傷が深まった結果潰瘍になります。十二指腸潰瘍は弱った箇所に胃酸や自身の分泌液に攻撃されて起きます。

胃、十二指腸ともに悪化していくとついにはが開いてしまうことがあり、この状態を穿孔(せんこう)といいます。胃と比べ、十二指腸の方が壁が薄いため、穿孔の頻度は十二指腸が多いです。激しい心窩部痛や吐血、嘔吐に加え、黒色の便が見られます。穿孔が起きていると腹部の激痛もあります。

胃がん

刺激物や塩分、アルコールの過剰摂取、喫煙などによって起きた胃の炎症がきっかけです。炎症が起きた粘膜にがん(悪性腫瘍)ができます。早期の胃がんは無症状が多いですが、胸焼けやお腹の不快感、みぞおちの中央部や左側が痛くなることがあります。

まとめ

みぞおちの左側や中央部には消化器官があります。その器官から消化液が分泌され、複雑な過程を経て体内に取り入れた食物は消化されていきます。これらの消化液は決して身体にとって無害なものではなく、本来の働きから外れてしまえば自分自身を傷つけてしまいます。

原因は生活習慣の乱れなど多岐に渡ります。食生活の見直しは今すぐできることなので、油っこい食事や暴飲暴食など消化管に負担のかかる食事は避けてみましょう。

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参考文献

黒澤博身(総監修)「全部見える循環器疾患」 成美堂出版、2014 pp150~pp151、 p160

山本雅一(総監修)「全部見える消化器疾患」 成美堂出版、2014 pp12~pp13、p90、pp94~pp96、p104、p274

参考リンク

日本医師会|健康の森

メルクマニュアル|脾臓の基礎知識・脾腫

アステラス|胃潰瘍・十二指腸潰瘍

インフルエンザ特集

医師へのオンライン相談(提携サイト)

Q膵臓がん?

今年の年明け頃から、胃のむかつきや胃痛、背部痛があり胃カメラをしたところ軽い炎症?出血がみられました。今現在胃痛はありませんが、軽いむかつき、背部痛はまだあります。それと、胃カメラをした頃には気付きませんでしたが、みぞおちのあたりから右腹部にかけてポコっと出ていて見た目にも形がはっきりわかるほどです。症状から膵臓がんではと疑っています。その可能性はありますか?ちなみに背部痛が左側だと膵臓がんと聞きますが、私は中央よりやや右側が痛みます。膵臓がんで右側が痛む事はありますか?よろしくお願いします。 (30代/女性)

Q胸背中の痛みとふわふわする目眩

1、ふわふわするめまいがある。(ときどき、首筋から後頭部をギューっと引っ張られている感じや、首のこりであったり、後頭から頭上部にかけて鈍い痛みがある) 2、背中中央の鈍い痛みがある。(肩甲骨の間から拳ひとつぶんくらい下のところ、ときどき背中の全体が鈍く痛む) 3、左胸にキリキリと痛みがある。(みぞおちより3~4センチ上で、中央より3~4センチ左側) 4、ときどき吐き気があり、ひどいときには冷や汗や、息苦しさと(過呼吸になりそうになる)手足のだるさがある。(手先や足先が震えはしないが、ピリピリしたしびれ感が出るときがある、血流が悪い?) 5、上記の症状がおさまらず、はっきりした原因が分からないことによる不安がある。 ●3年前から以上のような症状が2~3ケ月に1週間程度起こり、今まで、内科、心療、整形、耳鼻科、などを受診し続けています、最近では頻度が増え、多いときには1週間で3~4日あります。 タバコと酒は2年以上やめています。ここ1ケ月は週に4~5日、30分程度ウォーキングをしています。(歩き中の心拍数は100~110ぐらいだと思います) どうすれば良くなるのか、他に病気が潜んでいるのか、他の病院を探した方がよいのかが分かりません、皆様のアドバイスをお願いします。 (30代/男性)

Q質問が分かれたので…

最近、腹部に違和感があり、強烈な痛みではなく、が左上部から違和感が特定した箇所ではなく全体をゆっくり右下部に移動し腹部中央には痛みはなくみぞおち付近で 痛いと感じます。 食欲は普通にありますが、食べ物や水分を口にするとみぞおちが痛みます。 便通は便秘でしたが、幅の狭い便が出ます。 仕事柄、水分を多く取るので今は下痢が続いております。 (30代/男性)