心症は心臓の病気の中でも頻度が高い病気です。狭心症は胸が痛くなる病気とは知っていても、その他の症状や狭心症の原因については知られていないことも多いと思います。ここでは、狭心症の原因と初期症状について、医師・安田 洋先生による監修記事で詳しく解説します。

目次

狭心症のメカニズム

狭心症のメカニズム-図解

狭心症は心臓の血管が何らかの原因で狭くなり、血流が阻害されることによっておこる一時的な心筋の虚血症状です。

狭心症のおもな原因は動脈硬化

心臓は冠動脈という血管によって栄養を送られています。その冠動脈が狭くなる主な原因は、動脈硬化です。

動脈硬化を起こした血管はアテロームと呼ばれる脂肪組織を形成し、血管の内腔に堆積していきます。このアテロームによって血流が悪くなります。また、アテロームの自然破裂によって血栓(血液の塊)が形成されることがあり、さらに血流が悪くなることがあります。

冠動脈の血流が悪くなると、心臓の筋肉に酸素の供給が不足し、胸の痛み圧迫感を生じます。この変化が数分から数十分続く一時的な状態が狭心症です。

同じく冠動脈の病気である心筋梗塞は、血栓によって完全に血流が途絶え、心筋が壊死してしまう状態です。

このように、狭心症のおもな原因は血管の動脈硬化ですが、動脈硬化以外にも攣縮(れんしゅく)によって一時的な虚血を起こすことがあります。

労作性狭心症と安静時狭心症

心臓は、運動などの労作時には安静時に比べてより多くの酸素を必要とします。動脈硬化によって狭くなった冠動脈が労作時の負荷によってさらに虚血となります。この労作によって起こる狭心症を労作性狭心症といいます。

動脈硬化の進行により冠動脈がますます狭まってくると、安静時にも胸の痛みや圧迫感が生じます。これを安静時狭心症といいます。冠動脈の攣縮が関与する場合もあります。冠攣縮は睡眠中の特に明け方に起こりやすいのが特徴です。詳しい原因は不明ですが、自律神経や神経伝達物質の関与があるとされています。

狭心症の症状

代表的な症状は胸痛

狭心症では心臓が一時的に虚血となることから、胸全体が締め付けられるような痛みが生じます。

虚血の程度によって症状の強さも様々ですが、胸の詰まる感じ締め付けられるような感じなんとなくある違和感など、初めは痛みとして自覚しない場合もあります。

胸痛以外の症状が現れることも

胃の辺りが重たい喉が詰まる左肩から腕が痛い歯が浮いた感じがする、などの症状が狭心症初期症状として見られることもあります。これらの症状から当初は狭心症とは気づかない場合もあります。

狭心症が重症化すると

救急車-写真

狭心症が重症化すると、労作に関係なく胸痛発作が頻回に起きたり、発作の時間が長くなったりし、やがては心筋梗塞に移行する不安定狭心症の状態となります。

このような状態になると、直ちに医療機関を受診しなければなりません。

痛みに気が付かないことも

糖尿病があると痛みを感じにくく、狭心症による胸痛も気付かなかったり、軽く感じてしまうこともあります。病状が進行し、強い症状によって初めて気づく場合もあるため注意が必要です。

まとめ

狭心症はおもに動脈硬化を原因として起こります。動脈硬化は血管の老化であり、誰にでも起こるものです。狭心症の症状は胸の痛みだけでないため、狭心症と気づきにくい場合もあります。

狭心症の予防には、生活習慣をコントロールすることによって動脈硬化を進行させないことも重要であり、狭心症を疑う症状が起こったら早めに医療機関を受診することが必要です。