常に息苦しさ、息切れを感じて悩んでいないでしょうか?しっかり呼吸ができないと日常生活を送る上で大きな負担になってしまいます。慢性的に呼吸困難が出た場合は死亡につながる病気もあり、怖い症状でもあります。今回はそんな常に呼吸が苦しいときに考えられる病気を紹介していきます。

目次

息苦しさ、息切れが続く病気は?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、タバコの煙など有害物質を長期的に吸い込むことで、気道や肺胞が炎症を起こします。咳や痰も生じ、気管支が細くなり、空気の流れが悪化して酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなってしまいます。

COPDの症状は体を動かすたびに息切れを起こし、慢性的な咳を出すことです。主な原因はタバコの煙で、患者の約9割が喫煙者です(「全部見える呼吸器疾患」p.174より)。長期的にタバコを吸っていて、息切れなどの症状が出ていたらこの病気を疑います。

肺が悪くなるだけでなく、骨粗しょう症筋力低下食欲不振などを伴うことがあります。治療によって完治することはなく、平成27年の死亡原因では老衰や不慮の事故、自殺を除くと第7位になっています(厚生労働省より)。まずは禁煙し、薬で症状を和らげ、悪化させないことを目指します。

間質性肺炎

医薬品や膠原病、放射線治療、粉塵の吸入(塵肺)などによって引き起こされる病気が間質性肺炎です。肺胞を取り囲んで肺を支える間質に炎症と線維化が起き、肺胞の壁が厚くなります。そうして形が悪くなり、肺全体が硬くなって肺が膨らみにくくなります。肺活量がダウンし、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。

原因となる放射線治療は医師と相談し、ステロイド薬免疫抑制薬、自宅で酸素を取り込む酸素療法などが必要となることもあります。喫煙者は禁煙が求められます。

特発性間質性肺炎

間質性肺炎の中でも、原因が分かっていないものが当てはまります。以下2つを紹介します。

特発性肺線維症(IPF)

間質性肺炎の中で最も頻度が高く、肺がんを合併している割合が20~30%に及びます(「全部見える呼吸器疾患」 p.204より)。

乾いた咳がみられ、徐々に息切れが悪化していきます。医師が聴診したときに呼吸の最後のほうでパチパチ、パリパリした音がして、画像診断(胸部CT像)で肺の内部の形が蜂の巣状になるのも特徴的です。有効な治療法はなく、症状を改善していくためにステロイド免疫抑制薬を使用しましたが、効果が乏しいため、IPF慢性期には、N-アセチルシステイン吸入療法の他、2008年からpirfenidone、2015年からnintedanibが保険適応になり、肺機能低下の抑制、急性増悪の抑制、生存期間の延長が期待されております。それでも在宅酸素療法が必要になったり、肺移植の適応にもなったりする難病です。50歳以上の男性で喫煙者に多いです。

非特異性間質性肺炎(NSIP)

動くときの息切れや乾いた咳が出ます。胸部を画像検査したときにスリガラス模様や不規則な線状の陰影がみられます。

特発性肺線維症とは異なり、肺内部は崩れ方が均一になっています。ステロイドを単独で使うほか、免疫抑制薬と併用して治療していきます。非喫煙者の女性で、50代によくかかりやすいです。

肺を浮かせるスーパードクター-写真

慢性好酸球性肺炎

アレルギーに関わる好酸球(白血球の一種)が肺に炎症を起こすとかかる肺炎のうち、原因不明のものが当てはまります。その中でも急激に起こらず、数週から数カ月かけて症状が現れていくものを慢性好酸球性肺炎といいます。呼吸困難や咳、発熱、倦怠感など全身に症状がみられます。

血液検査で好酸球やCRPの値を調べて判断します。状況によって、気管支鏡検査で、気管支肺胞洗浄や経気管支肺生検で診断します。ステロイド薬を使って治しますが、自然に回復することもあります。ただ再発する可能性は高いです。アレルギー性疾患にかかったことがある中年女性にみられる病気です。

びまん性汎細気管支炎(DPB)

気道の防御機能が弱っているため様々な菌に感染しやすく、その結果気管支の一部が慢性的に炎症を起こした病気です。咳や痰が長引き、息切れがみられます。痰は一日に200~300ミリリットル出ることがあります。少量のマクロライド系抗生物質を長期間服用することで症状は良くなっていきます。

はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的な要素が関わっている可能性があります。慢性副鼻腔炎を合併・既往している確率が高いのも特徴です。

まとめ

長引く息切れや息苦しさは命に関わる病気があります。呼吸器だけでなく全身に影響を及ぼすものも多くあるため、注意が必要です。ただCOPDや一部の間質性肺炎は喫煙が原因となっているため、生活習慣を改めることでリスクは減っていきます。症状を悪化させないためにも健康としっかり向き合っていきましょう。