あなたは、健康診断や病院の検査で不整脈と診断されたことがありますか?一言に不整脈と言っても様々な種類のものがあり、全てが危険なわけではありませんが、なかには死につながる不整脈も存在します。今回は、放っておくと危ない不整脈について、解説します。

目次

放っておくと怖い不整脈とは?

心臓は、身体全体に血液を送り出すポンプの役割を担っています。
そして、この働きには心臓内に存在する“刺激伝導系”と呼ばれる電気的な興奮を伝える経路が必要不可欠です。

不整脈の中には、この経路に大きな異常を生じさせるものがあります。
すると、心臓が十分に血液を送り出せなくなって、身体全体に血流や酸素が行き渡らなくなり、めまい、失神などの症状を来します。

放っておくと怖い不整脈とは、「心臓が十分な血液を送り出せなくなる状態」を作り出す、あるいは作り出す可能性のあるものです。
次項から、怖い不整脈を具体的に見ていきましょう。

1.心室細動

これは突然死に繋がるので、緊急に治療が必要です。
心室筋が無秩序に興奮して心臓のポンプ機能が破綻した状態です。

めまい、失神を来たし、脈を触れません急性心筋梗塞や心筋症、
QT延長症候群(後述)などの基礎疾患がある人にみられやすいので、注意が必要です。

2.心室頻拍

これは心室細動に移行することがあり、突然死に繋がります。
緊急治療が必要な不整脈のひとつです。

心室から規則的な速いペースの興奮が発生して脈が速くなり、動悸息切れめまいなどを生じます。

3.心房細動

これは、心臓の上側(心房)のいろいろなところが無秩序に興奮し、興奮が正常に心筋全体に伝わらない状態です。
加齢とともに増加するといわれています。

動悸胸痛、胸の違和感などの症状が見られることもありますが、無症状のこともあります。

この不整脈の怖いところは、心房内に血栓が生じやすくなり、これが脳などの血管に飛んで塞栓症を来す可能性があることです。
心疾患がない人でも、高齢者や高血圧糖尿病などの人は塞栓症の頻度が高くなるので、注意が必要です。

4.QT延長症候群

これは、他の不整脈と比べるとちょっと異質かもしれません。
脈拍が正常なので、症状がなければ通常気づかれません。
心電図でQTと呼ばれる部分が通常より長くなっているのが特徴です。

なので、無症状の場合は健康診断で指摘されることが多いです。症状がある場合は失神発作を繰り返すことで気付かれます。

この不整脈は、心室細動に移行して突然死する可能性があるので注意が必要です。

5.上記以外で症状を伴う不整脈

脈が速い・遅いに関わらず、心臓が十分に血液を送り出せなくなると、脳など大事な組織に酸素を供給できず、めまいなどの症状を生じます。
脳は酸素欠乏に陥ると、大きなダメージを受けてしまいます。

なので、症状がある不整脈は早急に治療が必要です。

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病院に行くべき人はどんな人?

まず、狭心症や心筋梗塞、心筋症など心臓の病気をもともと持っている人は、めまいや動悸などの症状がちょっとでも見られたら、病院へ行きましょう。

次に、高齢者の方で、動悸が長引く、胸になんとなく違和感がある、という方は心房細動の可能性があるため、病院に行って精査を受けましょう。

最後に今まで大きな病気をしたことのない人についてですが、脈が1回飛んだ、一瞬動悸がしたぐらいであれば心配ありません。このような症状は生理的にも見られる現象だからです。問題となるのは、動悸が長引いたり、フラーっと目の前が真っ暗になったりする場合です。この場合はすぐに病院に行きましょう。

また、健康診断で心電図異常を指摘された人は、無症状でも大きな病気が隠れている可能性があります。必ず精査を受けましょう。

最後に

今回は、“放っておくと怖い不整脈”についてお話ししました。これらの不整脈は発見するまでの時間が生死を分けます。不安に感じる症状、健康診断での心電図異常などがあれば、ためらわずに病院に行きましょう。