食事をしている時に、気管に入りそうになった事はないでしょうか?元気であれば、すぐが出るので吐き出せます。でも高齢者や体力が落ちている人、赤ちゃんなどは吐き出す力が弱い為に気管に入ってしまい、肺炎の原因になります。これを誤嚥と言います。ここでは誤嚥がどうして起こるのか、また予防法などについて説明していきます。

目次

誤嚥とは?

誤嚥してしまうというのは、飲み込む動作に障害があり、気管に食べ物や唾液が入るという事です。飲み込む事を嚥下と言い、誤嚥する時は嚥下障害が起きていると言えます。

誤嚥には、食べ物を飲み込もうとする前に、先に食べ物が入ってしまう場合と、飲み込んだ時に気管に入ってしまう場合、飲み込んでしばらくしてから、咽頭などに残っていた食べ物が気管に入る場合の3タイプあります。

また食事中だけとは限らず、夜寝ている時に起きる時があります。これを不顕性誤嚥と言って、唾液が無意識の内に気管に入ってしまっており、じわじわ入るために咳が出ないままの時があり注意が必要になります。

誤嚥の原因について

誤嚥は、飲み込む時の反射に障害がある時飲み込む力が弱い時食道に問題があり通過できない時などに起こります。

機能的な原因

⇒喉の動きに問題がある場合

  • 脳腫瘍・脳血管障害・パーキンソン病などの脳の病気
  • 筋委縮性側策硬化症や多発性硬化症、脊髄小脳変性症、その他筋肉や神経の病気

器質的な原因

⇒喉の構造に問題がある場合

  • 口内炎・扁桃腺炎・咽頭炎などの口腔、咽頭の病気
  • 食道炎・食道の奇形・食道癌などの食道の病気
  • 甲状腺・頚椎症などの病気

加齢によるもの

病気などがなくても、老化により咀嚼する機能や嚥下する機能が低下し、また集中力などが落ちる為に、誤嚥が起こりやすくなります。

むせて咳が出るなどの反応がない場合でも誤嚥している事があり、痰が多く喉がゴロゴロ言う、食事に時間がかかる、元気がなくだるそうにしている、微熱等を出しやすいなどの症状に気付けば、肺炎などになっている可能性があり、一度医師に診てもらう必要があります。

誤嚥を予防する為には?

1.食事内容を考える

誤嚥を予防する為には、まず食事の形態を考えてみましょう。

硬いものが食べにくくなっているようなら、煮込んだ柔らかいものに変える必要があります。もしくは刻んだり、押しつぶしたりして、食べやすいものにしてみてください。液状のものは誤嚥しやすい為、とろみをつけてみましょう

流動食などでも誤嚥する時は、胃ろうの造設なども考慮することがあります。

誤嚥しにくい食べ物

  • 固形物ではゼリー・プリン・卵豆腐・具のない茶碗蒸しなど
  • 液体状のものではポタージュやシチュー・とろみをつけたもの・ペースト状のもの

注意が必要な食べ物

  • 弾力性のある餅やこんにゃくなど
  • 水分が少なくパサついているゆで卵やふかしイモ
  • 水分が多い汁物やお茶、ジュース
  • 酸味のきつい酢の物
  • 粒が残りやすいナッツ類やおせんべい

2.食事をする時の姿勢

頭がのけぞった状態や寝たままの姿勢では、食べものを飲み込みにくく、誤嚥を招く恐れがあるため危険です。

ベッドをギャッジアップ(背上げ)してから食事をしましょう。座位が保てないなら、電動や手動で背上げができるベッドが必要になります。ベッドの角度は30度以上になるようにし、座位が保てるならできるだけ前屈みになるようにしましょう。また、食べてすぐベッドに横になるのは良くありません。30分程は座ったままの状態にしてください。

3.口に運ぶ量とスピード

口に運ぶ量を加減しましょう。一口が多いと、中々飲み込めず誤嚥の元になってしまいます。

また、食べるスピードに合わせて口へ運びましょう。テレビなどを見ながら食べると誤嚥しやすくなるので、食事に集中できるようにしましょう。

4.嚥下機能を上げるリハビリを行う

唇や舌、頬などを動かす運動をする事で、誤嚥を予防します。唇を尖がらせたり、舌を突き出すとか上唇や下唇につけてみる、頬を膨らますなどの運動をします。

また歯ブラシを使って、口の中をマッサージするのも良いです。

5.口の中を清潔にする

誤嚥による肺炎を予防する為にも、口の中を清潔にしておきましょう。口の中は細菌が繁殖しやすく、唾液に菌が付いたまま誤嚥すると、肺炎になってしまう恐れがあります。

歯だけではなく舌も磨き、うがいができるなら行いましょう。また入れ歯があれば、外して洗浄します。

まとめ

肺炎を起こしてしまう事もある誤嚥ですが、むせたりしない場合もあり、重症になるまで気付かないとなると危険です。食事の様子に充分注意し、どこかおかしいと気付けば早めに病院で検査を受けてみてください。
その人にとって食べやすい方法や量を知ることは、介護の負担を減らすことにもなります。