海外旅行や留学に行く前は、気分もウキウキでテンションが上がりますよね。でも、ちょっと待ってください。もしも海外で病気や怪我にあったらどうすれば良いか、きちんと理解していますか?海外での経験を楽しむためには、事前の準備が非常に大切です。今回は、海外に行く前に知っておきたいことを3つご紹介します。
1.その国、なんの予防接種が必要?

日本は予防接種が遅れているとは言われながらも、世界的に見れば飲み水や下水等、衛生状態も整っており生活上での感染症の危険は少ない国と言えるでしょう。そんな日本ではほとんど存在していない感染症や、感染のリスクが低い感染症でも、海外では予防接種が必要な場合があります。
あなたがこれから行く国はどの地域の、どこの国でしょうか?国によって蔓延している感染症の状況は異なり、必要となる予防接種も異なります。
ここで特に注意が必要な予防接種について、3つ挙げます。
A型肝炎ワクチン
A型肝炎は水や食べ物から感染する病気で、アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。重症になると1か月以上の入院が必要となる場合があります。途上国に中・長期(1か月以上)滞在する人におすすめするワクチンです。
破傷風
破傷風菌は世界中の土壌の至る所に存在し、日本でも毎年患者が発生しています。破傷風は傷口から感染します。特に途上国では、けがをしやすく、命に関わることもあるので、接種を検討してください。
発展途上国のリゾートへ旅行した際、動物に触るサービスを受けたことがありませんか?例えば、海で魚・貝・ヒトデ・亀に触る、サファリで子どものサル・ライオン・トラを抱っこして写真が撮れる等です。日本ではなかなかできない経験に興奮されるかと思いますが、これらも破傷風の感染の危険があります。このようなプランがある方は、接種をおすすめします。
黄熱
中央アフリカ、中南米では特に感染の危険がある病気です。
黄熱は蚊によって媒介されるウイルス性の感染症で、免疫をもたない渡航者などでは、死亡率が60%以上に達するという報告もあります。黄熱予防接種証明書を入国時に要求する国や、乗り継ぎの時に要求する国もありますので、旅行前に確認してください。黄熱予防接種証明書は接種後10日目から10年間有効です。
狂犬病
狂犬病は今もなお、世界中の各地で家畜や野生動物から感染がみられている病気です。ウイルスを保有するイヌやネコ、キツネ、コウモリなどに咬まれたりひっかかれたりした際に、傷口から感染します。発症すると、強い不安や一時的な錯乱、恐水症(水を見ると首の筋肉がけいれんする症状)、高熱、麻痺、全身けいれんといった症状がみられ、やがて呼吸障害などを起こして死に至ります。
発症すると治療の方法はなく、ほぼ確実に死に至る病気のため、流行地域への渡航前には予防接種を受けることが推奨されています。動物と直接接触する機会のある人や、動物が多く近くに医療機関がない地域へ行く方は、特に接種をおすすめします。
2.持参すべき常備薬とアイテム

旅先で起こる一番多い体調不良は何か知っていますか?現地の食事や水による下痢と、気候の違いやホテルの部屋の乾燥、過密スケジュールによる疲れなどからくる風邪が最も多い体調不良です。
その他にもちょっとの体調不良にならすぐに対応し、楽しく海外で過ごせるように次のものは持参して渡航したいものです。
風邪薬、解熱剤(痛み止め)、咳止め | これらの薬は、複数を併用できない場合があります。よく確認してから使用しましょう。 |
胃腸薬、下痢止め | 下痢止めは、体内に原因をとどまらせる原因となることがあります。使用の際は十分注意してください。 |
酔い止め薬 | 疲れていると、普段酔わない飛行機にも酔うことがあります。 |
応急処置用品 | 消毒薬、絆創膏、ガーゼ、包帯とテープ、綿棒、ピンセット、かゆみ止め薬、点眼液、デジタル体温計、小さなはさみなどを持っていくと良いでしょう(はさみは、機内持ち込み手荷物ではなくチェックインする荷物に入れてください)。 |
日焼け止め、サングラス | 熱帯や亜熱帯、標高の高いところ、海辺などに行く際は、日光を浴びすぎてしまうリスクがあります。日焼け止めやサングラスを忘れずに携行しましょう。 |
虫よけ | マラリアやデング熱の予防のためにも流行地域では持参しましょう。蚊取り線香も有効です。 |
常用薬と英文薬剤携行証明書 | 慢性疾患をお持ちの方は、十分な量の常用薬を持参しましょう。 また、処方された医薬品の持ち込みに際してはトラブルが発生することもあるため、英文薬剤携行証明書を持っていくと安心です。かかりつけ医か薬剤師に相談し、病気の状況や薬の内容について記載してもらい、薬と一緒に保管しておきます。 |
海外旅行中は、荷物を紛失する可能性も大いにあります。薬は十分な量を確保した上で、基本的に機内持ち込み手荷物に入れておくと良いでしょう(ただし、持ち込み禁止物はこの限りではありません)。
3.あなたは入った?海外旅行保険

異国の地で病気になるのは不安なものです。旅行が楽しめないだけでなく、帰国が難しくなる場合もあります。また海外での治療費は高額ですので、保険に入ることが必須でしょう。病気、けがの治療や後遺障害、死亡保険だけでなく、誰かにけがをさせて時の損害賠償や携帯品損害、飛行機の遅延費用等も保証対象となる場合があります。
また、主要都市であれば、大抵、提携病院があり、そこではキャッシュレスで対応でき、面倒な手続きも不要です。
クレジットカード付帯の海外旅行保険
最近、クレジットカードに入会した際、自動的に海外旅行保険のサービスが付くことが多くなってきました。何気なく入ったこの保険のおかげで、旅行先で命拾いするかもしれません。ご自分のクレジットカードの内容を確認してみてください。
空港の自販機、窓口で入れる海外旅行保険
旅行直前に、気軽に入ることができる保険です。ただ、保証は契約が成立してからになりますので、保険期間と旅行期間に多少の誤差が出てしまう点に注意が必要です。
旅行前に海外旅行保険に事前加入する
旅行日程が長い場合には、保険内容を十分に検討できるよう、事前に加入する事をお勧めします。旅行会社や保険会社、インターネット上で加入が可能です。
万が一、海外で入院治療が必要となった場合、数百万の治療費になることも珍しくありません。保証額は十分検討し、クレジットカード付帯の保険等との複数持ちにすることも可能です。
まとめ
病気の対応の基本は①感染予防、②自分でできる早めの応急処置、③緊急時の対応です。これらの対応を海外の地で行うためには、物品も情報も時間も豊富にある日本国内での十分な準備が必要です。
これを読んでいる皆さんは、海外旅行や留学、渡航を目の前に胸を高鳴らせている事でしょう。十分な事前の準備をして、安心して快適な海外生活を楽しみましょう。