大動脈解離は、大動脈に亀裂が生じ、そこから血液が入って血管内部を2層に引き裂く病気で、発症すると命の危険にも関わる非常に恐ろしい病気です。そのほとんどが、高い血圧により大動脈に亀裂を発生させてしまうとされており、今回は大動脈解離を予防する、生活での注意点を解説します。
なお、大動脈解離がどんな病気か、またその原因については、「命に関わることも…大動脈解離の原因とメカニズムとは」をご覧ください。

目次

血圧を上げない9つの習慣

血圧を上げると、血管が脆くなるのはもちろん、血管に負担がかかって血管が破けてしまったりと大動脈解離のリスクを高めてしまいます。そうならないよう普段の生活から血圧を余計に上げないような習慣が必要になります。

食事は減塩を

塩分(塩化ナトリウム)の摂りすぎは、血液中のナトリウム濃度を上げてしまいます。ナトリウム濃度が高くなると、体はそれを薄めようとして水分を血管内に取り込みます。その結果、全体の循環している血液量は増え、血圧が上昇します。

濃い味付けが好きな人は、ぜひ以下のことを気を付けてみましょう。

  • 料理の味付けは薄味を心掛ける
  • みそ汁は1日1杯まで(1日2回以上となる人はお湯で薄める)
  • 酢や柑橘類の酸味・香辛料・香味野菜を上手に取り入れる
  • だしの使用で風味をアップさせる
  • 減塩タイプの調味料を取り入れる
  • 新鮮な食材を選ぶ
  • 麺類のスープやだしは全部飲まない
  • 加工食品やインスタント食品の取りすぎに注意する
  • 卓上調味料はかけるよりつける

食べ過ぎない

食べ過ぎると肥満になります。肥満は高血圧だけではなく、様々は、小さいお茶碗を使うなどの工夫をすることをおすすめします。間食は避け、どうしても食べたいときは食後のデザートとしましょう。

また、早食いも食べ過ぎのもとです。さらに、食べ過ぎることで塩分の摂取量も増えます。

アルコールはほどほどに

飲みすぎは肥満のもとです。また、アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、飲み続けると、血圧を上げ、高血圧の原因になると考えられています。

適量は、ビール中瓶1本(約500ml)、日本酒1合(180ml)、ワイン2杯(約200ml)ほどです。また、週1日以上の休肝日を設けましょう。

たばこは止める

たばこに含まれるニコチンは交感神経を刺激し、血管を収縮させ、血圧を上げてしまいます。また、長い喫煙習慣で血管は脆くなり、動脈硬化のリスクも高めます。ニコチンガム等の使用や自分で禁煙するのが難しい人は禁煙外来の利用も効果的です。

適度な運動を心掛ける

運動は、酸素を取り込みながら行う有酸素運動が効果的です。例えば、ウォーキング、水泳、自分のペースでのジョギング、ラジオ体操、自転車などです。運動は、血液の流れを良くするのと同時に、肥満防止と気分転換にも効果があります。

※ただし、もともと高血圧や心臓病などの疾患をお持ちの方や軽い運動でも息が上がる場合は、急激に運動することで心臓や血管に負担をかけてしまうことがあります。運動を始める前に必ず医師に相談してください。

便秘を防ぎ、排便はいきまないように

便秘気味などで排便時に長く努責すると、血圧が上昇し、心臓にも負担がかかります。
便秘予防のためには「これでスッキリ!!便秘を解消するための11の方法」をご覧ください。また、便器は和式より洋式の方が急激な血圧上昇を抑えられます

寒さや温度差に注意

寒さによって血圧は上昇します。また、寒暖の差が大きいとそれだけ心臓にも負担がかかります。暖房や冷房が効いている場所から温度差のある場所へ移動するときは注意が必要です。

具体的に、冬の外出時にはマスク、マフラー、手袋などの使用で防寒対策をしっかりすることや、自宅では居間、浴室、便所の温度差が少ないよう暖房の使用や着衣に気をつけましょう。特に浴室と脱衣所の温度差に注意です。

湯船の温度はぬるめに設定

熱いお湯に入浴すると、心臓にも負担がかかり、血圧も上昇します。40度前後のややぬるめのお湯にゆっくりと入り、長湯をしないようにしましょう。心臓への負担も少ない半身浴もおすすめです。浴室もしっかり温めてから入浴すると良いです。

ストレスを解消しましょう

不安や疲労など過度のストレスを受けると交感神経が刺激され、血圧を上昇させてしまいます。規則正しい生活を送り、休養をしっかりとり疲れを残さないようにしましょう。また、過剰なストレスは、やけ食いによる食べ過ぎや喫煙量の増加、過剰な飲酒につながる場合もあります。

まとめ

以上、大動脈解離の予防法9つをご紹介しました。大動脈解離と高血圧は密接に絡み合っています。

これらに加えて、すでに高血圧を指摘されている方は、毎日体重と血圧を決まった時間に測定、記録し、その変動をチェックすることをおすすめします。血圧を上昇させ、大動脈解離に陥るリスクのある生活習慣を改善しましょう。