2015年、九州地方の20代の男性が「カフェイン中毒」で亡くなったことが報道されました。男性は深夜に働く仕事をしており、カフェインを含む清涼飲料水や錠剤を眠気覚ましのために常用していたそうで、胃の内容物や血液から高濃度のカフェインが検出されたということです。

国内で初めての例となった、カフェイン中毒死。ここでは、カフェインにどのような効果が見られるのか、またカフェインの最大摂取可能量はどのくらいなのかに迫ります。

目次

カフェインはどんな機能を持つの?

エスプレッソ

カフェインはドリンク剤のほか、コーヒー・茶葉・カカオなど、私たちが普段から口にするものにも含まれています。カフェインには、眠気覚ましなどの興奮作用や、利尿作用といった効果があります。「コーヒーを飲むと眠れなくなる」という方もいると思いますが、それはカフェインの作用です。

これ以外にも、自律神経の働きを高める・集中力を高める・運動能力を向上させるといった効果があります。また、解熱鎮痛作用もあるため、頭痛や眠気・倦怠感の症状に対して医薬品としても使用されます。

主な飲料に含まれるカフェインの量(100mlあたり)

食品名 カフェイン含有量
コーヒー 60mg
インスタントコーヒー 57mg
紅茶 30mg
煎茶 20mg

出典:食品安全委員会

カフェインが人体に与える影響って?

コーヒー豆

集中力を高めるなど、嬉しい効能を持つカフェイン。しかし、大量に摂取すると、今回のように中毒を起こすことがあります。致死量は明確なものではありませんが、内服量としては5~10g、血中致死濃度は100mg/Lとされています。

カフェイン中毒の症状には、以下のようなものがみられます。

急性作用

長期的な影響

  • 高血圧のリスクが上がる(肝機能が低下している人の場合)
  • 骨粗しょう症のリスクが上がる(カルシウムの摂取量が少ない人の場合)
  • 妊婦の場合、胎児の発育を阻害することがある

どのくらいまでなら摂取して大丈夫?

カフェインの摂取量は、日本では特に定められていません。しかし、海外では1日あたりの最大摂取量を定めている国が少なくないのです。以下の表をご覧ください。

対象 1日あたりの
最大摂取量
機関名
成人 400mg
(コーヒー6~7杯)
欧州食品安全機関、
カナダ保健省
妊婦 200mg
(コーヒー3~4杯)
英国食品安全庁、
欧州食品安全機関
300mg
(コーヒー5杯)
カナダ保健省、
オーストラリア保健・食品安全局
子供 3mg/kg 欧州食品安全機関
2mg/kg カナダ保健省
4~6歳 45mg
(紅茶1.5杯)
カナダ保健省
4~9歳 62.5mg
(紅茶2杯、コーヒー1杯)
カナダ保健省
10~12歳 85mg
(紅茶2~3杯、コーヒー1.5杯)
カナダ保健省

参照:神奈川県保健福祉局生活衛生部食品衛生課茅ヶ崎駐在事務所

カフェインを摂取する際は、この摂取量を参考にし、摂りすぎには注意してください。

まとめ

眠気覚ましや集中力アップに使用する人も多いカフェイン。薬としてだけでなく、嗜好品としても多くの人に愛されていますが、過剰に摂取すると思わぬ症状が出る場合があります。

カフェインを取りすぎると中毒症状を起こしたり、依存症になってしまった場合は頭痛や倦怠感などの離脱症状(禁断症状)を起こしたりする場合があります。最悪の場合、死に至ることもあるのです。お子さんや妊婦さんなど、カフェインに対して敏感な方は、特に過剰摂取に注意してくださいね。