風邪をひいて咳が止まらなくて困った…という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。咳にもいろいろあり、コンコンする咳とゴホゴホする咳では原因が異なります。この記事では、咳止め薬の選び方と咳エチケットをご紹介します。

目次

あなたの咳はどのタイプ?

かぜは、鼻やのどの粘膜に風邪ウイルスまたは細菌が感染し発症します。本来、咳というのは生体防御反応(せいたいぼうぎょはんのう)の結果です。生体防御反応とは、病原体や異物から自己を守るための体内のシステムです。

乾いた咳が続くときは風邪じゃないかも

コンコンというの絡まないいわゆる「乾いた咳」は、風邪のひきはじめに見られ、次第に痰の絡んだ咳に変わっていきます。

もしも乾いた咳が続く場合は、風邪ではないケースがあるので注意が必要です。心臓血管系・消化器系・婦人科系・泌尿器系・神経系の病気や精神的な不安・ストレスなどが隠れている可能性があるため、早めに受診し原因を調べたほうがいいかもしれません。

湿った咳は、痰を出すための反射

ゴホゴホという痰のからんだいわゆる「湿った咳」は、痰を出そうとして起こる生理的な反射です。気道には繊毛(せんもう)という微細な毛が生え、普段から分泌物を気道の外に押し上げ気道を清潔に保つために働いていますが、炎症により痰の分泌が増加すると咳反射を起こして痰を排出します。

風邪の咳は止めないほうがいい?

風邪で痰が絡んだ湿った咳は、安易に薬で止めないほうがいいようです。分泌された痰を気道に留めてしまうと、痰に含まれる細菌やウイルスが炎症を強くし、気管支炎や肺炎などの合併症を引き起こす可能性があります。

しかし、咳のスピードは毎秒50~120mとも言われ、咳を1回するだけでと約2kcalのエネルギーを消費し体力を消耗します日本医事新報より)。時には肋骨を骨折させてしまうほどの力が咳にはあります。そのため、風邪で体力が落ちている時に強い咳が出る場合には、身体への負担を考え薬で咳を抑えたほうがいいという見方もあります。

病院で風邪薬を処方してもらったりドラッグストアで咳止めを購入する際には、医師や薬剤師に相談しご自身の状況に合ったお薬を手に入れましょう

咳止め薬の選び方のポイント

咳を鎮める薬のこと鎮咳剤(ちんがいざい)といいます。鎮咳剤には、その作用の仕方により幾つかの種類があります。風邪による咳を止める場合、鎮咳剤と去痰剤・抗ヒスタミン剤など組み合わせて使用したり、市販の風邪薬には生薬が配合されている場合があります。

中枢性鎮咳剤(ちゅうすうせいちんがいざい)って?

中枢性鎮咳剤は、脳の枢に作用し脳神経から咳反射を止める指令を出す薬です。中枢性鎮咳剤は風邪による咳の場合にはあまり使用しないほうがいいという意見もありますが、処方は医師の判断によります。

  • ジヒドロコデインリン酸塩(商品名:リン酸コデイン)…麻薬性の薬で、咳中枢の興奮を抑えて咳を止める
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩(商品名:メジコン)…咳中枢に作用し咳を止める
  • ヒベンズ酸チぺピジン(商品名:アスベリン)…痰を切り咳を鎮める

湿った咳には末梢性鎮咳剤(まっしょうせいちんがいざい)を

中枢性鎮咳剤以外の咳止め薬を末梢性鎮咳剤と呼びます。痰が絡んだ咳に対しては、気道を広げ呼吸を楽にする作用のある鎮咳剤が向いています。痰が絡みゼロゼロした状態では、咳を止めることよりも痰を出すことが優先するので、去痰剤の併用が効果的です。

  • メチルエフェドリン塩酸塩(商品名:メチエフ)…気管を広げて咳を止める
  • ジプロフィリン(商品名:ネオフィリン)…気管支を広げる

咳が出たら、咳エチケットを!

マスク-写真

咳エチケットというのは、厚生労働省が推奨する感染防止対策のひとつで、本来インフルエンザの拡大を防ぐために考案されたものです。風邪も咳やくしゃみで人から人に感染しますから、うつしたりうつされたりしないために咳エチケットを守ることは公共のマナーと言えるかもしれません。

咳エチケットの4つのポイント

咳やくしゃみが出たらマスクの着用を!

咳やくしゃみの中には、多量のウイルスが含まれています。医療用のサージカルマスクはウイルスをシャットアウトする効果が高いようです。

マスクをしてない時は人と距離をとって!

マスクをしていない状態で咳やくしゃみをしたり、至近距離で会話をすると、ウイルスが飛び散り人から人に感染しやすくなります。手やティッシュで口を押さえる・顔をそむける・1m以上距離をとるようにします。

汚れたティッシュはゴミ箱に!

唾や鼻水痰などをぬぐったティッシュには、ウイルスがたくさん含まれていますので、きちんとゴミ箱に捨てます。また家庭の中では、ごみ箱の中のティッシュからウイルスが浮遊する可能性もあるので、蓋つきのごみ箱やビニール袋で速やかにティッシュを密閉することもいいでしょう。

咳をしている人にマスクの着用を促す

マスクをしても完璧にウイルスを防ぐことは不可能ですが、市販されている「かぜ用」のマスクは、0.1~0.3μのウイルスを通さないバリア力があります(JHPIAより)。

まとめ

風邪をひいて咳が出ると、とてもつらいですね。咳止め薬にもいろいろな種類がありますから、ご自身の状態に合ったものを選びましょう。また、風邪をひいた時に咳エチケットを守ることも大切です。