食べ過ぎた後や飲み過ぎた後に、胃に不快感を覚えることや、それによって食欲が低下してしまうことは珍しくないことです。それには胃が分泌する胃酸が関与していることが明らかになってきているようです。今回は胃もたれのメカニズムとその原因となる生活・食生活に関してご説明します。

目次

胃もたれと胃酸の関係

従来から、胃もたれや早期膨満感など、食事に関連する症状は「胃の運動不全」が原因と考えられてきました。しかし、最近では「胃の運動不全」に酸が関与していることが定説となってきています。

胃酸は非常に強力な酸(pH1~2)で、胃酸分泌が過多になることで、胃の排出能および拡張能が低下し、それに対応して胃もたれや吐き気胃痛といった症状が生じます。

胃酸の分泌が多くなる食事

脂肪分の多い食事

では、胃酸の分泌が多くなりすぎてしまうような食事内容、食事の摂り方はどのようなものでしょうか。

1.食べ過ぎ

食事量が増えることで、胃での消化時間が長くなります。つまり、胃酸の分泌の刺激が長時間続くことになります。同様によく咀嚼せずに飲み込んでしまうと、その分胃や腸での消化時間が通常よりも必要となってしまいます。

2.脂肪分の多い食事

食べ物には、消化しやすい物と消化しにくい物がありますが、肉類や揚げ物など、脂肪分の多いものは消化に時間を要し、胃にかかる負担も大きくなるため、胃もたれが起こりやすくなります。脂質は胃の中に長時間溜まりやすいからです。

日本人の食事が欧米化してきたことにより、最近は脂肪分の多い食事を摂る方が増えています。高脂質の食事による問題は肥満だけにとどまらないことが分かります。

その他の原因

胃酸の量とは別に、以下のことも胃もたれに繋がる原因となります。

1.アルコール過剰摂取

アルコールを過剰に摂取することにより、胃酸による自己消化を防ぐ胃の粘膜防御機構が壊れてしまいます。これが更に胃の機能不全、胃もたれへと繋がります。

2.遅い時間の食事

就寝中に消化器官の働きは低下するため、寝る直前に食事を摂ってしまうと、翌朝に胃もたれを起こしやすくなります。遅い時間での食事が避けられない場合、脂質の多い食事は避けたほうが良いでしょう。

3.ストレス

胃に限ったことではなく、消化活動をコントロールしているのは自律神経です。自律神経はストレスによってその働きが非常に左右されやすいので、ストレスが続くような生活は胃の機能低下や消化不全の原因となります。

さらに、大きなショックを受けた時などは、いきなり胃粘膜や十二指腸に潰瘍ができ、吐血や腸管を通過してタールのようになった便が出るケースも少なくありません。

最後に

胃のような消化器官系のトラブルは、食事の量・内容・時間が原因となることが多いです。胃の不快感を覚えることが多い方や、胃がもたれやすい方は是非これらのポイントを踏まえて食生活の見直しをしてみてください。