皆さんは舌痛症という病気を聞いたことがありますか?文字通り舌が痛くなったり、しびれが出たりする病気のことです。痛みの程度は時に日常生活に支障が出るほど強い場合があり、起きている間続きます。ところが見た目に異常はないため他人に理解してもらいにくく、悩む人にとって精神的にも辛い病気です。

舌痛症は心の問題と体の症状が大きく関わる心身症の一つといわれています。今回はその特徴や具体的な症状などについて説明していきます。

目次

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どんな人が舌痛症にかかりやすいの?

閉経後の女性

舌痛症は人口全体の0.7-3%に発症するとされています。特に更年期障害の女性(40-50代)に多くみられ、閉経後の発症頻度は12-18%にのぼるともいわれています(日本歯科医師会 テーマパーク8020より)。ホルモンバランスの崩れや自律神経の乱れに関連があるのではと思われています。

精神的なストレス

日々溜まるストレス、過去に起きた辛い出来事や環境の変化(定年、リストラ、家族との死別など)をきっかけに舌痛症を発症する場合があります。もともとストレスは慢性痛と関係があるといわれていて、慢性痛を抱えやすい遺伝子があることも明らかになっています。

また、この精神的なストレスに関連し、テレビや家庭用の医学書などを見て「自分はがんではないか?」と気にし過ぎるがん恐怖症の人にもこの病気が多い傾向があるようです。

舌痛症の症状は?

一般的に舌の先や縁がヒリヒリ、ピリピリして痛くなり、ヒリヒリと持続した痛みが出たりもします。睡眠前には痛みが増す場合があります。口の乾燥を訴える患者も多いです。

舌痛症、どんな症状が出る?

舌が痛くなる他の疾患(口腔カンジダ症)や物理的刺激、亜鉛不足といった原因が全て否定された場合、舌痛症が疑われれます。次のような症状、特徴のある舌の痛みは、舌痛症が原因となっているかもしれません。

  • 火傷のような痛み、しびれるような感覚がある
  • このような痛み、感覚は、慢性的に長い期間続く
  • 何かに集中しているときは痛みを忘れることがある
  • 赤くなったり、炎症を起こすなど見た目の変化はない。
  • 他の病気、またその影響で起こっているのではない。

舌痛症はあくまでも、原因疾患がない場合に診断される病気です。そのため、上記の症状にあてはまるからといって、必ずしも舌痛症が診断されるわけではありません。他に原因となっている病気がないか、調べる必要があります。

全身性疾患と区別するために血液検査をすることもあります。また、口腔粘膜を拭って細菌検査をすることもあります。

原因と治療は

悩む女性

原因は

明らかな原因ははっきりとわかっていません。基本的には心、精神の状態が影響を及ぼすものだと捉えられています。一方で「神経痛」に近い病気で、舌の痛みを感じる神経に異常が起こるためだとする研究も出てきました。ただ研究自体日が浅く、実態の解明までは進んでいません。

治療は

悩みや不安が原因と考えられる場合、抗うつ薬抗胃潰瘍薬、精神安定剤が有効に働くことがあります。副作用が心配なときは漢方薬を服用します。

そのほか痛みをコントロールする方法を学んだり、リラックスできる方法を知る認知行動療法に取り組んだりして改善する方法もあります。

まとめ

見た目に異常がないだけに、痛みを訴えても「異常はないから大丈夫」といわれる舌痛症。かかっている本人にとっては他人に理解してもらいにくく、また解決の糸口が見えない、とても苦しい病気です。

まずはこのような病気があることを知って落ち着きましょう。もちろん他の原因また病気の可能性もありますから、早めに歯科を受診してください。

舌の痛みを引き起こすほかの病気については「「気のせい」ではない舌の痛み 治らないとあきらめないで」で解説しているので、合わせてご覧ください。