インフルエンザの治療薬といわれて一番身近なのはタミフルではないでしょうか。また最近では吸入のリレンザやイナビルなども使用した方もいらっしゃるかもしれません。
ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物)はインフルエンザの点滴薬であり、病院でのインフルエンザの治療に用いられています。そこで今回はこのラピアクタについて詳しく見ていきたいと思います。
「ラピアクタ」ってどんな薬?
ラピアクタはA型またはB型インフルエンザウイルス感染症に効果がある点滴薬です。
1回15~30分かけて点滴静注を行います。
ラピアクタはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼというウイルス増殖に関与する酵素を阻害してウイルス増殖を抑える効果があります。
そのためウイルスが増殖してしまった後では薬の効果は発揮できず、発症後48時間以内に使用する必要があります。
「ラピアクタ」の効き目は?

ラピアクタはタミフルやリレンザ、イナビルと同様のノイラミニダーゼ阻害薬に分類され、似たような作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑えます。
インフルエンザによる熱性けいれんを起こし入院した小児患者に対して、タミフルとラピアクタの解熱作用について比較した結果、薬の投与から解熱までかかった時間は、タミフルを投与した患者で1.5日、ラピアクタを投与した患者で1.0日と、ラピアクタの方が早い解熱作用があることが判明しました(日経メディカルより)。
「ラピアクタ」はどのような場合に使われるのか?
リレンザやイナビルは吸入の薬であるため、10歳未満の子供では上手に吸入できなかったり、タミフルは粉薬・カプセルであるため服用することが困難な症状・状況の場合があります。
そのため熱性けいれんなどで入院してきた乳幼児や、入院中にインフルエンザにかかってしまった高齢者で服用困難な場合にこのラピアクタの点滴がよく用いられます。
実際にラピアクタは10~64歳のあいだでは使用率は3~4%と低いですが、10歳未満では7.4%、65歳以上の高齢者では21.2%と使用率が上がっていることがわかっています(日経DIオンラインより)。
しかし添付文書ではタミフルのような経口剤や、リレンザ・イナビルのような吸入剤などの他の抗インフルエンザ薬の使用を十分考慮したうえで、ラピアクタの投与を検討するようにと書かれているため、経口や吸入可能な患者にはあまり使われません。
「ラピアクタ」の副作用
ラピアクタの主な副作用として一番多いのが下痢です。6.3%の方に下痢が発生しています。(ラピアクタ添付文書より)
また他の抗インフルエンザ薬同様、投薬後に異常行動や精神症状が生じたといった報告がされています。
そのため、小児・未成年者についてはこの異常行動による転落などを防ぐために、投与から少なくとも2日間は保護者が様子を見て、小児・未成年者が1人にならないよう注意する必要があります。ラピアクタを投与される場合は入院している場合が多いので、大丈夫だとは思いますが注意して様子を見ましょう。
またその他の重大な副作用として、以下のようなものが報告されています。
アナフィラキシー、ショック
稀ではありますが、発疹・血圧低下・呼吸困難などがあらわれる恐れがあります。またこのような副作用が2013年以降8例報告され、そのうちの1人は死亡しています(日経メディカル|ラピアクタの副作用に「アナフィラキシー」追加より)。
アナフィラキシーは、多くの薬剤に起こり得る副作用です。頻度は決して高くありませんが、リスクがあることを知り、服用によるメリットとデメリットの両方を理解した上で判断してください。
白血球減少好中球減少
1~5%にみられ、免疫が落ち、病気にかかりやすくなるなどの症状があらわれます。
肝機能障害
肝機能障害による黄疸などが投与翌日などに見られることがあり、だるさなどの症状があらわれます。
まとめ
普段の生活ではあまり目にかかることはない薬ですが、いざ自分の子供や親がインフルエンザになってしまい入院した場合、ラピアクタが使われるかもしれません。
事前にどのような薬なのかを知っておくことで、少し不安も和らぐでしょう。
またインフルエンザの時期は手洗い・うがいなどしっかり行い、うつされないよう意識して生活しましょう。