多くの人が悩まされている貧血。鉄不足によって起こる鉄欠乏性貧血の場合、食生活に気を配るだけで簡単に予防することができます。基本的には、3食きちんとバランスのとれた食事をとれば良いのですが、貧血を起こしやすい女性の場合は意識的に鉄を摂取することが大切です。今回は、毎日の食事の中で効果的に鉄を摂取する方法をご紹介します。鉄不足がどうして貧血に繋がるのかについては、「特に女性は要注意。貧血の原因と治療方法まとめ」の記事をご覧ください。

目次

1日に摂取する必要がある鉄の量は?

厚生労働省が定める鉄の食事摂取基準は以下のようになります。

鉄の食事摂取基準(mg/日)

※上図は、クリックまたはタップで拡大してご覧いただくことができます。

(出典:厚生労働省|鉄の食事摂取基準を参考にいしゃまち作成)

月経のある女性はかなり多くの鉄を摂取する必要があります。特に筋肉や血液がたくさん作られる成長期や、妊娠中・授乳中は多くの鉄を必要とするので、意識的に鉄を摂取しましょう。

最も鉄が必要とされる12~14歳で月経がある女性の推奨量である14.0mgの鉄を摂取するためには、豚レバーの串焼きでおよそ3.5本、ほうれん草でおよそ3束を食べる必要があります。

鉄には2種類ある

一口に「鉄」と言っても、実は「ヘム鉄」「非ヘム鉄」の2種類があります。

ヘム鉄は肉や魚といった動物性食品に含まれる鉄であり、体内への吸収率が高いです。一方、非ヘム鉄は植物性食品や乳製品、卵に含まれており、吸収率は低いです。非ヘム鉄の吸収率を上げるためには、良質なたんぱく質ビタミンCを多く含む食品とともに摂取することが必要です。

ヘム鉄を多く含む食品

レバー

ヘム鉄を多く含む食品の代表格が、レバーです。特に豚肉のレバーに多くのヘム鉄が含まれています。

ただし、レバーには脂溶性ビタミンであるビタミンAも豊富に含まれています。ビタミンAは過剰摂取すると胎児の奇形に繋がるおそれがあるため、妊婦の方や妊娠の予定がある方はあまり食べ過ぎない方が良いでしょう。

そのほか、イワシカツオなどの魚や、レバー以外の赤身肉にもヘム鉄は豊富に含まれています。

非ヘム鉄を多く含む食品

ほうれん草

非ヘム鉄は、ほうれん草小松菜ひじき大豆ドライフルーツなどに含まれています。

非ヘム鉄はそのままだと吸収されにくいため、食べ合わせが重要になってきます。ビタミンCを豊富に含む野菜果物、良質なたんぱく質を含む牛乳を合わせて摂取するのが良いでしょう。

レバーが苦手な人や妊娠・授乳中の方は、食べ合わせに気を配りながら非ヘム鉄を摂取するのがおすすめです。

造血効果のあるビタミンも摂りましょう

鉄以外に貧血に効果のある栄養素としては、造血効果を持つビタミンB12葉酸があります。レバーやほうれん草は、このビタミン12や葉酸も豊富に含んでいるため、しばしば「貧血に効く」食品として挙げられるのです。

その他、ビタミンB12は魚介類、卵黄、チーズなどに、葉酸は大豆やブロッコリーに多く含まれます。

一番大切なのはバランスのとれた食事

鉄は、他の栄養素と組み合わせて摂取することで効率よく吸収されるということがお分かりいただけたでしょうか。

また鉄は摂取しすぎると胃腸障害などの症状の原因となることがあります。しかし、これは鉄剤のサプリメントを自己判断で飲みすぎた場合に起こることが大半で、通常の食事で鉄の過剰摂取を起こすことはほとんどありません。ですから、まずは日頃の食事の中で鉄の摂取を意識することが大切です。
表には「耐容上限量」として1日にこれ以上摂取してはいけない量も記載しました。サプリメントを服用する際には必ず、この量以下になるように調節して下さい。

貧血の症状は辛いですが、きちんとした食生活をしていれば鉄欠乏性貧血になるのを防ぐことができます。
意識的に鉄を多めに摂取しても貧血の症状が出るようであれば、鉄欠乏以外の原因で貧血を起こしているかもしれません。必ず、医師に診察してもらう ようにしましょう。