ブルガダ症候群かどうか心電図検査で調べる様子

突然死のリスクも…心電図の異常で分かる「ブルガダ症候群」とは

自分の体におかしいところがないかチェックする健康診断で、心電図に異常がみられる場合があります。その異常の原因として考えられる一つに「ブルガダ症候群」があります。聞き慣れない病名ですが、ブルガダ症候群を疑われる人は0.1~1%の割合でいます(鹿児島大学保健管理センターより)。今回は症状や原因、特徴などについて説明します。

ブルガダ症候群とは

「ぽっくり病」の原因とも

突然死する恐れがある心臓病の一つです。1992年にスペインの循環器内科医ブルガダ兄弟が報告したことから、この名で呼ばれています。

日本人を含むアジア人に多く、男女の比率は9:1で特に成人男性に多く認められる疾患です(難病情報センターより)。

日本では「ぽっくり病」として知られてきた突然死の多くはこの病気が原因だったのではないかと考えられています。

心電図にみられる特徴

心電図からブルガダ症候群を疑うのは、胸のやや右側から左脇にかけてつけた電極6つのうち、右半分3つ(V1、V2、V3)のデータです。

ST上昇という特徴的な波形を示すため、ブルガダ心電図、ブルガダ波形と呼ばれます。ブルガダ波形は主にコーブド型(弓型)とサドルバック型(鞍型)の2種類あります。

ただブルガダ波形の人が全員突然死するわけではなく、全く心臓発作を引き起こさない無症候性ブルガダ症候群の人がほとんどです

危険な症状「心室細動」

症状の特徴として挙げられるのは、死に至る不整脈として知られる心室細動が突如起こることです。

心室細動は夜間に起きやすく、失神することがあります。その他に痙攣、呼吸がおかしい、呼吸をしていないといった症状もみられます。心室細動で病院に運ばれて蘇生された経験を持つ人もいます。

ブルガダ症候群の原因は?

遺伝子の異常が原因と考えられています。心臓の細胞の中と外にはナトリウム、カリウム、カルシウムがあり、それらが出入り口となる物質(イオンチャネル)を通過すると電気が発生し、心臓が動きます。ブルガダ症候群ではこのイオンチャネルの働きをコントロールする遺伝子に異常が起きていることが報告されています。

ブルガダ症候群で発症しやすい人とは

心肺蘇生の練習

一度でも心肺蘇生を受けたことがある人は、一年以内に再び心室細動を起きる可能性が高くなります。またブルガダ症候群は遺伝子異常との関連が指摘されているので、家族で特に若い人が突然死したケースがあると発症するリスクがあります。

また実際に心電図で異常がみられた場合、コーブド型の人は心室細動を発症しやすいことが分かっています。またサドルバック型の人でも検査で薬剤を使った負荷試験を行うとコーブド型に変化した人は要注意です。

どうやって詳しく調べる?

ブルガダ症候群の可能性がある場合は循環器内科を受診します。検査は以下のとおりです。病院や検診の結果によって内容は異なってきます。

12誘導心電図

健診と同じ心電図で、両手足に一か所ずつ、胸に6か所の電極を置くタイプです。

ホルター心電図

4~10個の電極を胸に貼りつけて24時間心電図を測ります。食事や入浴、就寝など日常生活で心電図がどう変化するかチェックします。

薬剤負荷試験

12誘導心電図をつけたまま、薬の影響で心電図が変化するかを観察します。ブルガダ症候群患者は不整脈治療に使う薬(フレカイニドやピルジカイニド)でブルガダ波形や不整脈が出やすくなります。

心エコー

心臓超音波検査のことです。心臓の動きや血液の流れを画面で見る事ができます。

心室細動は防げる?治療法は?

確実に心室細動を防ぐ薬はありません。現在では植込み型除細動器が最も有効な治療法とされています。

植込み型除細動器は心室細動を感知すると、心臓に電気ショックを与えて心室細動を止めます。ただ定期的に通院や5~7年ごとの電池交換が必要で、生活もある程度制限(自動車の運転、電磁波を出す器具との距離など)されます。

そのためブルガダ症候群と診断された人でも特に突然死の可能性が高い人が植込み型除細動器を勧められます。以下に条件を紹介します。

絶対適応(植込み型除細動器を必ずつけた方が良い人)

  • 心停止し、蘇生された経験がある人
  • 自然に(薬剤による刺激なしに)心室細動の発症が確認されている人

相対適応(植込み型除細動器を植え込んだ方が良い人)

  • 失神したことがある
  • 家族の中で突然死した人がいる
  • 病院の誘発検査で心室細動を発症した人

植込み型除細動器をつけた状態で心室細動の発作が何度も起こると電池の消耗は激しく、なにより苦痛です。ベプリジル、シロスタゾール、ジソピラミドなどの内服薬、イソプロテレノールという点滴で発作を減らすことも重要です。

まとめ

健康診断でブルガダ症候群を疑われたら、まずは循環器内科を受診しましょう。症状は出ない人が大半です。仮に症候性ブルガダ症候群と診断されても、適切な治療で突然死を避ける手立てはとれます。家族に突然死した人がいないか、失神したことがないか確認することも重要になります。