寝不足のときの勉強・仕事、深夜におよぶ作業時など、我慢のできない眠気に困ることはありませんか?今回は、薬局で購入できる眠気防止薬(錠剤タイプ)について、種類や作用、服用時の注意点について紹介します。
眠気防止薬の種類
以下のような眠気防止薬が販売されており、薬局などで購入することができます。
- エスタロンモカ(エスエス製薬)
- オールP錠F(株式会社アラクス)
- カフェロップ(第一三共ヘルスケア)
- カーフェソフト錠(エーザイ株式会社)
- ダイヤルモカ(ジェーピーエス製薬株式会社)
- トメルミン(ライオン株式会社)
含まれている成分と作用
基本成分は「無水カフェイン」
これらの眠気防止薬に共通して含まれているのは、基本成分である無水カフェインです。無水カフェインとは水を含まないカフェインで、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインと同じ効果があります。
カフェインは、鎮静・睡眠作用をもつアデノシンと呼ばれる化学物質と構造が似ています。カフェインは、アデノシンが本来結合する場所にとりついて、アドノシンの作用を阻害することで、中枢神経の働きを刺激(興奮作用)し、眠気を抑えて集中力を高めてくれます。
いくつかの種類に含まれているビタミンB1
無水カフェインのほかに、チアミン塩化物塩酸塩(ビタミンB1)が含まれている場合があります。
ビタミンB1は、カフェインといっしょにはたらくことで倦怠感を除去してくれます。
服用の際に注意すること
前述のように、カフェインには中枢神経系を刺激し、過剰摂取によりめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの症状をもたらす場合があります。
特に眠気防止薬の場合、コーヒー一杯(100mlあたり60mg程度)の1.5~9倍ものカフェインを摂取することになるため、用法用量を守って使用することはもちろん、下記のような注意が必要になります(農林水産省、エスタロンモカ添付文書、カフェロップ添付文書より)。
- 服用は短期間にとどめ、連用は避けること
- コーヒー、お茶などと同時に服用しないこと
- 4時間以上の間隔をあけて服用すること
- 他の眠気防止薬との併用をしないこと
また、人によっては眠気防止薬の服用ができない場合、服用のために医師・薬剤師に相談が必要な場合があります。
眠気防止薬を服用できない人
- 胃酸過多
- 胃潰瘍
- 心臓病
- 15歳未満
カフェインには胃酸の分泌を促すはたらきがあるので、胃酸過多・胃潰瘍の人は服用ができません。また、カフェインの興奮作用は、大量に摂取することで心臓の働きにも影響があると考えられているので、心臓に病気がある人も眠気防止薬を服用することはできません。
服用の際、医師・薬剤師に相談が必要な人
- 妊娠中または妊娠の可能性がある人
- 授乳中の人
- 医師の治療を受けている人
カフェインの胎児・赤ちゃんへの影響はわかっていませんが、妊娠中・授乳中の1日のカフェイン摂取量を制限している国もあります。
WHOや海外の基準では、カフェインの1日あたりの摂取量は200~300mgまでとされています(厚生労働省より)。服用する場合には、医師・薬剤師に必ず相談しましょう。
副作用の可能性のある症状
健常な人でも、次のような症状が出た場合には服用を中止し、病院にかかりましょう。
部位 | 症状 |
消化器 | 食欲不振 吐き気 嘔吐 |
精神神経系 | ふるえ めまい 不安 不眠 頭痛 |
その他 | 動悸 |
まとめ
どうしても眠気を吹き飛ばしたい場面で、眠気防止薬は便利なものです。しかし、含まれているカフェインは大量摂取などによりからだに害になることもあるので、用法用量を守って服用しましょう。