明日は大事な予定があるのになかなか眠れない、旅行先で寝具が変わると眠れるか不安…このような一時的な不眠に対しては、睡眠改善薬が有効です。

睡眠改善薬は市販されているため簡単に購入できる利点もありますが、「睡眠」の薬ときくと飲み合わせなどが心配です。市販の睡眠改善薬について、飲み方や服用時の禁止事項などについて解説しています。

目次

薬局で購入できる!睡眠改善薬の種類

睡眠改善薬は、病院で医師から処方される睡眠導入薬とは異なり、薬局などで購入することができます。

  • カローミン(大昭製薬株式会社)
  • グ・スリーP(第一三共ヘルスケア株式会社)
  • スリーピン(薬王製薬株式会社)
  • スリーペイド(岩城製薬株式会社)
  • ドリエル(エスエス製薬株式会社)
  • ドリーミオ(資生堂薬品株式会社)
  • ナイフル(日邦薬品工業株式会社)
  • ネオデイ(大正製薬株式会社)
  • デイトナS(ノイロンムーンS)(オール薬品工業株式会社)
  • ハイヤスミンA(大昭製薬株式会社)
  • ヨネール(米田薬品株式会社)
  • リポスミン(皇漢堂製薬株式会社)

種類にもよりますが、就寝の30分くらい前に服用します。

基本成分と作用

上であげた睡眠改善薬には、いずれも基本成分としてジフェンヒドラミン塩酸塩が含まれています。

ジフェンヒドラミン塩酸塩は第一世代抗ヒスタミン薬に分類される成分で、アレルギー薬のほか風邪薬酔い止め薬として使われています。

花粉症の薬として使った経験がある方はご存知かもしれないですが、抗ヒスタミン薬は副作用として眠気を引き起こします。特に第一世代抗ヒスタミン薬では眠気の副作用が強いことで知られ、現在は副作用の軽い第二世代抗ヒスタミン薬が花粉症薬としては多く使われています。

睡眠改善薬では、抗ヒスタミン薬のもつ副作用を利用しています。

ヒスタミンはアレルギー症状などにかかわる物質です。視床下部後部にはたらくことで脳を興奮状態にさせ、覚醒を促す作用があります。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、ヒスタミンの作用を邪魔することで眠気を引き起こし、睡眠を促す効果を持ちます。

不眠症の人はNG?睡眠改善薬を服用してはいけない人

次にあたる人は、睡眠改善薬の服用ができません。

  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • 15歳未満の人
  • 日頃から不眠の人
  • 不眠症の診断を受けた人

睡眠改善薬にもかかわらず、不眠症の方が服用できないのはなぜでしょうか?

医師から処方される睡眠薬は、比較的長期にわたる服用を前提に、薬剤の耐性・安全性・有効性などが確認されています。しかし、ジフェンヒドラミン塩酸塩の睡眠改善薬は短期的な効果はわかっているものの、長期の服用についてはからだへの影響がわからない部分もあります。

そのため、添付文書には「一時的な不眠に使用すること」と記載されています。一時的な不眠とは、翌日のプレゼンのために緊張して眠れない・旅先などいつもと異なる環境で眠れないといった、病的な原因のない一過性の不眠を指します。

不眠の症状が数日間続く場合には、病的な原因のある不眠の可能性があるので、病院にかかるようにしましょう。

服用の前に、医師・薬剤師に相談する人

ベッド

また、次の場合にあてはまる人は、服用の際に医師・薬剤師に相談してください。

  • 医師の治療を受けている人
  • アレルギーを起こしたことがある人
  • 高齢者(眠気が強く出たり、神経が高ぶったりなどの症状が出ることがある)
  • 排尿困難の症状がある人
  • 緑内障前立腺肥大症の診断を受けた人

ジフェンヒドラミン塩酸塩には、抗コリン作用と呼ばれる作用があります。副交感神経を抑制することで、口渇、眼圧上昇、排尿障害、頻脈・動悸、記憶障害などの症状をきたす場合があります。

緑内障の方は、眼圧が上がることで症状を悪化させてしまう可能性があります。また、排尿困難前立腺肥大症の方も、尿量を低下させる恐れがあります。

また、緑内障前立腺肥大症高齢者に多い病気のひとつです。診断されていない方の中にも、潜在的にこれらの疾患を抱えている可能性があるため、服用の際は注意が必要です。

禁止事項

以下、共通して書かれている禁止事項です。

  • 他の催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬を含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、乗り物酔い薬、アレルギー薬等)と同時に服用しないこと
  • 服用後の運転はしないこと
  • 授乳中の人は服用しないこと
  • 服用前後は飲酒しないこと
  • 連用しないこと

一緒に飲めないとされている薬には、睡眠改善薬のジフェンヒドラミン塩酸塩と同様の成分が含まれていたり、その他に眠気が出る成分が含まれていたりする場合があります。

また、効果としての眠気のほか、副作用としてめまいや注意力低下などの症状がみられることがあります。そのため、服用後の運転はできません。また、翌日まで眠気・だるさが続く場合にも、こうした症状が消えるまでは運転を控えましょう。

副作用

副作用としてあげられている症状です。これらの症状が出た場合には服用を中止し、すぐに病院にかかりましょう。

部位 症状
皮膚 発疹・発赤
かゆみ
消化器 胃痛・吐き気・嘔吐
食欲不振
精神神経系 めまい
頭痛、起床時の頭重感
昼間の眠気
神経過敏
注意力の低下
ねぼけ
判断力の低下
言動の異常
循環器 動悸
泌尿器 排尿障害
その他 倦怠感

グ・スリーPドリエルなど添付文書より)

まとめ

睡眠改善薬は、慢性的な不眠症を解消してくれる薬ではありませんが、一時的に眠れない夜を乗り切るためにはとても便利です。副作用や飲み合わせなどに注意して服用しましょう。