「血圧が低くて朝がツライ」とはよく聞く症状です。
血圧は、高いだけでなく低すぎても、めまいや貧血をはじめ様々な症状を引き起こします。

血圧が低いとはどういう状態なのでしょう。そもそも、どのくらい数値が低いと低血圧なのでしょう?
血圧は私たちの身体の中でどのような機能を果たしているのでしょうか?

また、血圧が低いとどうなるのでしょう。病気との関連は?そんな気になる低血圧について解説します。

目次

【図解】「低血圧の原因と症状・早わかり」はこちら

血圧って何?身体の中でどのような働きをしているのでしょう?

血圧は、血管内を流れる血液の圧力です。
心臓のポンプ作用によって全身の血管に血液が送り出されますが、血圧は心臓自体の力、血管の状態、腎臓や副腎のホルモンなどによって調節されており、正常な状態でも身体や精神の働きによって変動しています。

血圧が低い、血圧が高いというのは、こうした心臓や全身の血管、神経の機能を示す重要な指標となります。

血圧の正常値とは

心臓が収縮するときに血液はもっとも強く押し出され、このときの血圧がいわゆる上の血圧になり、心臓が拡張し圧力がもっと低くなるときが下の血圧になります。

医学的には上は収縮期血圧、下は拡張期血圧と呼ばれ、現在の正常値は以下のようになっています。

血圧の正常値-図解

 

低血圧とはどのような状態なのでしょう?

低血圧の基準となる数値は?

WHO(世界保健機構)では、収縮期血圧100以下、拡張期血圧60以下を低血圧としています。

低血圧は高血圧ほど重要視されておらず、この数値に該当することイコール健康上の問題があるというわけではありません。
低血圧は何らかの原因によって血圧が急激または慢性的に低下した状態ですので、その原因と経過によって症状も異なります。

3つの低血圧、それぞれの原因と症状

1.症候性低血圧症(二次性低血圧症)

症候性低血圧症とは、血圧の低下を引き起こす原因となる病気がはっきりしているものをいいます。
心臓や腎臓、脳神経の病気や重い外傷、多量の出血がその原因となり、急激に発症したものはショック状態(血圧が低下し、生命の危険がある状態)や意識障害などが起こります。

慢性の心臓病や降圧剤、抗うつ剤の副作用によって低血圧となることもあり、病気よって起こる低血圧はそのもととなる病気の治療を必要とします。

症候性低血圧症の症状

  • 急性の場合:ショック症状意識障害手足のしびれ
  • 慢性の場合:めまい倦怠感など、本態性低血圧症(後述)と似たような症状

2.本態性低血圧症

明らかな病気はないのに血圧が低い状態をいいます。

痩せ型の若い女性に比較的多く、本人が何らかの症状に悩まされていない限り、基本的には治療を必要としません。
あまりに症状が重く、改善したいと考える場合、食事や睡眠を規則的にするなど、生活習慣を見直すと良い場合があります。

本態性低血圧症の症状

自覚症状のない場合もあります。

3.起立性低血圧症

急に立ち上がったときに、目の前が暗くなり血の気が引く症状を体験したことはありませんか?

それは起立性低血圧症といわれるものです。心臓から送り出された血液が心臓に戻りにくい状態に一時的に陥ることでこの症状は生じます。
高齢者に多い症状です。

普通は一過性のもので治療の必要はありませんが、まれに自律神経系の病気が原因となる場合があります。
この症状を頻繁に起こす場合は、検査の必要があります。

起立性低血圧症の症状

  • 急に座ったり、立ち上がったりした時にふらつく

 

ここまでの内容を、図にまとめました。クリックまたはタップで拡大してご覧ください。

低血圧ってなに-3つの種類とその症状と原因-図解

まとめ

朝が弱い、立ちくらみがするなどの身近の症状は、低血圧が原因で起こる場合があります。

ほとんどが体質や生活習慣によるもので、病気としての治療は必要としませんが、なかには病気が潜んでいる場合もあります。
症状の起こり方や経過に注意し、気になる場合は一度医療機関へ相談してみるとよいでしょう。