「脳震盪(のうしんとう)」という言葉自体は、聞いたことのある方が多いかと思います。スポーツでの接触や、転倒事故のニュースで耳にしたことがあるかもしれませんね。

では実際に脳震盪とは一体どのような状態なのか、症状と起こりうる後遺症について説明していきます。

目次

脳震盪とは?

脳震盪とは、転倒や外傷など頭部への衝撃により脳が大きく揺さぶられ、一時的に起こる脳の機能障害のことです。

転倒などの事故のほか、ラグビーやアメリカンフットボール、ボクシングなどの身体の衝突や衝撃を避けられないスポーツなどでよく起こります。

脳震盪の症状は?

脳震盪といえば頭への衝撃の後、意識を失った状態をイメージするかもしれませんが、厳密には意識を失っていなくても脳震盪が起きている可能性があります。実際に脳震盪で意識を消失するのは10%以下と言われています。

脳震盪の症状として具体的には下記が挙げられます。

意識の混濁・失神・記憶喪失・頭痛・めまい・ふらつき・おう吐・反応が鈍い・集中力がない・物が二重に見える・ぼやけて見える・混乱して取り乱す・けいれん・光や音に敏感・いらいらする・悲しい・不安・霧の中にいる気分など、さまざまです。

脳振盪が疑われる場合は、たとえ症状が消えていても、医師の診断と指導を受けることが推奨されています。

脳震盪を起こすと後遺症が残る?

CT検査

一般的には、脳震盪の症状は安静により自然に回復し、重大な後遺症は残さないと言われています。

しかしながら、軽度の脳震盪であっても脳が完全に回復していない状態で、2回目の打撃や衝撃が加わった場合、脳へさらに重大なダメージを与え致命的な損傷が起こることがあり、セカンドインパクト症候群と呼ばれています。

これは、短期間のうちに繰り返し頭部を打撲することで急性脳腫脹や急性硬膜下血腫を生じるためであると言われています。このセカンドインパクト症候群を避けるためには、頭痛やめまいが完全に消失し脳が回復するまで一定期間の安静が必要であるといわれています。

スポーツによって脳震盪を起こした場合は、原則として、ただちに競技・練習への参加を停止し、競技・練習への復帰は、脳震盪の症状が完全に消失してから徐々に行うことが推奨されています。

少しでも症状が残っている状態で運動や試合に復帰することはセカンドインパクト症候群の危険性が高くなると考えられています。

まとめ

脳震盪が生じても、症状が軽ければ、すぐにスポーツを再開したり、そのまま様子を見たりする傾向がありますが、これは非常にリスクの高い行為です。脳へのダメージは後に命の危険に関わることもあるため、症状の軽い重いに関わらず、安静および医療機関への受診が必要であると言えます。