「りんご病」って、なんだか可愛らしい名前ですよね。でも、甘く見てはいけません。子供にとってはありふれた病気ですが、大人がかかると重症化することがあります。また、特に東京都では2015年、定点当たりの報告数が過去5年平均を超えました。今回は、警戒されているりんご病についてご紹介します。

目次

りんご病ってどんな病気?

りんご病の正式名称は、「伝染性紅斑」といいます。春から夏にかけて流行がみられる病気で、病原体は、ヒトパルボウイルスB19という微生物です。

症状としては、7~16日間の潜伏期間の後、皮膚に発疹ができ、頬がりんごのように赤くなります。これが、「りんご病」と呼ばれる由来です。

頬に発疹が出現する約1週間前に、微熱や風邪に似た症状が現れることがあります。この時期に最もウイルスの排出が多くなるため、周りの人に感染しやすくなります。

発疹が現れた時にはウイルスはほとんど排出されないため、感染力もほとんどありません。発疹が現れる前の時期のエチケットが、感染拡大の予防になります。

大人がかかるととっても辛いりんご病

大人

りんご病にかかるのは、多くが2歳から12歳の子供です。子供の場合、りんご病にかかってもそれほど重症化することはなく、発疹も7~10日程度で治まります。しかし、りんご病は大人が感染すると重症化することが多い病気です。大人では発疹の現れる頻度が低く、関節痛や頭痛などを訴え、関節炎症状により約2日歩行困難になることもあります。合併症を起こすことは少なく、ほとんどは自然に回復します。しかし、りんご病に感染したお子さんの看病をしているうちに、両親が感染するケースもあるので注意が必要です。

特に注意が必要な人は?

妊婦さんが感染した場合、お腹の中の赤ちゃんが重度の貧血を起こしてしまうことがあります。その結果、胎児水腫(全身のむくみ・心不全などの症状)を引き起こし、流産や死産につながる場合もあります。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、できるだけ患者さんとの接触を控えた方が良いでしょう。

あわせて注意が必要なのは、赤血球が破壊されることで起こる溶血性貧血の患者さんです。溶血性貧血の患者さんがヒトパルボウイルスB19に感染した場合、急激に貧血が起こる貧血発作や、関節炎・関節リウマチ血小板減少症といった重篤な状態を引き起こすことがあるのです。

りんご病はマスクと手洗いうがいで予防しよう!

マスクの小学生

りんご病の原因となるヒトパルボウイルスB19は、やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染と、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染でうつります。りんご病には予防のためのワクチンがないので、マスクをしたり、手洗い・うがいを丁寧に行ったりすることが予防策となります。

手洗いのポイントは、指や爪などの細かいところまで石鹸などの泡で1分間は洗うことです。感染症予防のためには、いつもよりも丁寧に手を洗うことが必要です。正しい手洗い・うがいの方法については、「夏風邪予防にも大切。正しい手洗い・うがいの方法ご存知ですか?」をご覧ください。

もしもりんご病にかかってしまったら?

りんご病に感染してしまった場合も、特効薬はありません。かゆみが出ている場合はかゆみ止めを使うなど、対症療法が基本となります。

発疹以外は症状が出ないことが多いため、発熱など他の症状が見られない限りは学校や幼稚園を休む必要はありません。

まとめ

りんご病は子供だけの病気ではありません。成人の約半数は子供の時に獲得した免疫があるのでりんご病を発症することは希です。しかしながら、成人が発症するとその症状は重症化する傾向にあります。また、特に妊婦さんは、りんご病にかかると流産の危険性も出てきます。マスクや手洗いの習慣をきっちり作って、日常生活での感染を防いでください。