のどは、口や鼻から食物や外気が直接入ってくる場所で、外部からの刺激を最初に受ける部位です。風邪などを引いた時には、まずのどの痛みやイガイガなどが出現し、その後に咳や熱といった症状が出る方も多いでしょう。
しかし、もし原因や他の症状もなく「のどのつかえ感」が現れた時には、どんな病気が疑われるのでしょうか。今回は、のどのつかえ感や違和感、異物感が生じたときに考えられる病気について解説します。

目次

のどのつかえ感の原因になり得るのはどんな病気?

のどに異物感があるときには、下記のような場合が考えられます。

  • 口から食道にいたる通り道のどこかに実際にある腫瘍などにより狭くなっている場合
  • 飲み込む際に関連する筋肉や神経に障害がある場合
  • ストレスなどにより消化管の運動が低下している場合

必ずしも何かが詰まっていたりできていたりするのではなく、別の原因で違和感が起こることもあるのです。

自律神経失調症

ストレスがかかり、全身の器官をコントロールしている自律神経のバランスが崩れると、焦燥感不安感が起きます。

重症化すると身体症状として、のどのつかえ感や異物感、飲み込みにくさなどの症状が出現する方がいます。このほか、疲れやだるさ、めまい・立ちくらみ、動悸、ほてり、不眠など、多様な症状が起こります。

異物を誤飲した

食道の入り口部分など狭くなっている場所に飲み込んだものがつかえてしまう場合があります。

乳幼児はおもちゃやボタン・ピーナッツなどを詰まらせることが多く、高齢者は入れ歯や薬のシートごと誤飲してしまうことがあります。

特に高齢者は、飲み込む力が弱ることで餅などをのどに詰まらせることが多いので、注意が必要です。

気管支炎や喘息

アレルギーによる喘息発作や、風邪などの症状が気管支に波及して起こる気管支炎では、気道が狭くなって、呼吸が苦しくなる場合があります。

気管支炎や喘息発作が起きている時は、ゼイゼイやヒューヒューという呼吸音がして、咳や痰の量が多くなり呼吸苦が伴います。このとき、のどのつかえ感を訴える方もいます。

胃食道逆流症

胃から食道へと胃酸が逆流する病気を胃食道逆流症(GERD)といいます。胃酸により食道やのどが痛めつけられ、炎症を起こします。胸焼け口の中に酸っぱい水が上がる感覚(呑酸)のどがつかえたような感覚を訴える人が多いです。

暴飲暴食やお酒などを好む人に多く発症します。加齢や肥満も、胃食道逆流症の原因になりやすいといわれています。近年、若い患者さんも増加傾向にあるようです。

咽頭炎

のどにウイルスや細菌などが侵入し炎症を起こすと、赤く腫れたり痛みが出たりするほか、のどのつかえ感発熱が出現する場合があります。

急性咽頭炎を繰り返すと慢性咽頭炎に移行する場合があります。慢性化すると痛みや発熱はなくなり、のどに異物感やつかえ感が続くようになります。

扁桃炎

細菌感染によりのどの奥の扁桃腺が真っ赤に腫れあがり激しい痛みと高熱・のどのつかえ感などが現れます。炎症がおさまれば、症状は消失します。

腫瘍

のどの通り道に腫瘍(甲状腺腫、リンパ管腫など)があり、食物が通過しにくくなった場合に、つかえ感が起きます。腫瘍を取り除く等の治療を行わなければ症状は改善しないため、つかえ感が長く続く場合は腫瘍の疑いがあります。

がん(咽頭がん、食道がんなど)でも、のどが詰まったような感じを覚えることはあります。ただし、のどのつかえが気になったときにがんが原因になっているケースは稀です。

うつ病

特別な原因も病気もないのに意欲が低下し、気分が落ち込んだり、全身の倦怠感などと共に食欲低下や睡眠障害、集中力の低下などが現れたりする病気です。

うつ病は心と体に様々な症状が現れますが、その一つとして消化管の動きが悪くなり、のどや食道の動きの低下からのどのつかえ感を訴える方がいます。

日常生活から「のどのつかえ感」を解消する方法とは?

喉に違和感のある女性

実際に食物や外気の通り道が狭くなっている場合には、その原因となっている病気の治療が必要となります。しかし、意外と多いのはストレスなどが影響している「つかえ感」です。

ストレスや生活習慣が原因となっている場合、日々の生活を見直すことで症状の緩和が望めることがあります。ぜひ、以下のことを試してみてください。

ただし、症状が長引いたり、他の症状が現れたりした場合には病気が原因となっていることも考えられるので、医師に相談することをおすすめします。

  • ゆっくりと休息する時間を作る
  • 十分な睡眠をとる
  • 趣味活動などを通し、ストレスを解消する
  • 半身浴などで、温まり血行を良くする
  • 暴飲暴食やアルコールの多飲はしない
  • アレルギーの原因となるものは避ける
  • タバコは吸わない
  • 栄養バランスを考えた食事をとり、体力を上げる

まとめ

風邪など、のどの痛みや違和感が起きる原因が分かる場合は良いですが、原因が分からない「のどのつかえ感」がある時には、まずは生活習慣を見直してみてください。それでも症状がよくならない場合は、病気のサイン(上記で紹介した病気以外の可能性もあります)と受け止め、一度医療機関を受診した方が良いでしょう。