黄疸の症状は、血液中のビリルビンが増加して皮膚や目が黄色くなることが有名です。

黄疸は肝臓が急激に炎症を起こしたり、がんなどによる閉塞で、ビリルビンの排泄がうまくいかなかったりした時に生じます。つまり、黄疸の時には緊急で治療が必要なことが多いです。今回は、そんな黄疸の症状から原因となる病気についてまとめます。

目次

黄疸とは

黄疸とは血液中のビリルビン濃度が上昇し、結果的に全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態のことです。

ビリルビンは、古くなった赤血球を破壊する時にできる黄色い色素のことで、血液から肝臓に運ばれて胆汁の成分になります。その後は十二指腸や小腸を循環して、最終的に尿や便として排出されていきます。ビリルビン濃度の上昇は、赤血球の破壊亢進肝臓の障害胆道閉塞などの時に起きます。

つまり黄疸は、本来であれば代謝されるべきビリルビンが多く産生されすぎたか、うまく排泄しきれない時に起こると言えます。

胆汁の流れとはたらき

胆汁の流れ-図解
胆汁は、脂肪を消化するために必要な緑色の液体です。1日におよそ500mlの胆汁が分泌されます。

肝臓によって作られた胆汁は、食事をしていない時に肝臓から出て胆のうに溜まります。体内に入ってきた食べ物が十二指腸に着くと、胆のうに蓄えられているうちに成分が濃縮された胆汁は十二指腸へと流れていきます。この胆汁の通り道のことを、胆道といいます。

黄疸の症状とは

正常のビリルビン濃度は1.0mg/dL以下と言われていますが、3.0mg/dL以上になると様々な症状が出ます

ビリルビン濃度が上昇すると、まず眼球の白目の部分や皮膚が黄色くなります。この症状は自分でも周囲の人も気付きやすいので、病院に来るきっかけになります。

尿の色が濃い黄色に変化したり、便の色が灰色っぽくなることもあります。

他には、全身倦怠感食欲不振も起こります。発熱や風邪のような症状を自覚することもあります。

ビリルビンが皮膚に溜まると痒みを伴います。

黄疸の原因となる病気は?

黄疸の原因となる病気は大きく分けて4つあります。

①溶血性貧血

赤血球が壊される(溶血する)とビリルビンが産生されます。

赤血球は正常でも一定の周期で破壊されて、新しいものが作られていますが、破壊が亢進する溶血性貧血や大量輸血の時にはビリルビンが過剰に産生されて黄疸になります。

②肝細胞性黄疸・肝内胆汁うっ滞型黄疸

肝細胞が急激に破壊されるときにビリルビンが上昇します。代表的な病気は急性肝炎です。

急性肝炎は、ウイルス(A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスなど)、薬剤、アルコール、自己免疫など様々な原因で起こります。

慢性肝炎はゆっくりと症状が進行していくので、通常は黄疸を起こしません。

肝炎が進行し、肝臓が硬くなり機能が落ちていることを肝硬変といいます。

肝硬変で黄疸を認めた場合には肝細胞の機能がかなり低下していることを意味します。

③閉塞性黄疸

消化のために必要な胆汁は、ビリルビンを含んでいて肝臓で産生されます。

結石や腫瘍(がん)が原因となって、胆汁の排泄路である胆道が狭くなってしまい黄疸が起こります。便の色が灰色っぽくなるのが特徴です。

④体質性黄疸

遺伝的にビリルビンの代謝がうまくできないため、黄疸をきたします。

疲れたり風邪をひいたりするとビリルビンが上昇する体質で、健診などで偶然に指摘されます。一時的なもので、症状に気付かないことも多いです。

黄疸に気づいて病院に行くと聞かれることは?

体重の変化

必ず聞かれる項目の一つです。高齢で体重が減っている場合には、がんを疑います。体重が増えている場合やもともと多い場合では、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)などが考えられます。

生もの摂取の有無

生ガキはA型肝炎による急性感染を起こす可能性があります。また、他の生ものでも肝炎ウィルスが含まれている場合があるので、周囲の人に同じ症状がないかも含めて聞かれます。

海外渡航歴

住血吸虫やマラリアなどによる感染でも急性肝炎による黄疸を起こすため、流行地域への渡航の有無を聞かれます。

家族歴

自己免疫性肝炎や体質性黄疸の場合に、家族に同じ症状がないか聞くことで手がかりがあることがあります。また、閉塞性黄疸の原因になる肝臓がん胆嚢がん胆管がん膵臓がんなどを患っている家族がいないか聞かれます。

性交渉の有無

主に、不特定多数との性交渉があったかを確認します。性感染症でもあるB型肝炎ウイルス(HBV)により、急性肝炎を起こすことがあります。

薬剤歴薬物使用歴

全ての薬剤がアレルギーを起こす可能性があるように、急性の薬剤性肝炎を起こす可能性があります。

特に精神科で使用するお薬には注意が必要です。

また違法薬物の回し打ちなどで同じ注射針を使用していると、血液を介してB型肝炎ウィルスに感染する可能性があります。

飲酒歴

大量にアルコールを飲むとアルコール性肝炎になります。

1日に飲む量と、どれくらいの頻度で飲むかを聞かれます。

まとめ

黄疸と一言で言っても、原因となる病気は様々です。黄疸の症状に気づいた時には、緊急で処置が必要なことが多いのですぐに病院へ行くようにしましょう。