急に熱が出て、ブツブツも出るようになった。ブツブツが出たと思ったら熱も出てきた。こんな症状に悩んではいませんか?今回は発熱と一緒に発疹が出る病気について、大人に発症するものを中心に原因や症状を紹介していきます。
発熱と同時に発疹がみられる病気の代表的なものに風疹や水ぼうそうがあります。どちらも、子供がかかりやすい病気として知られていますが、これらの病気は大人になっても発症することが報告されています。
これらの感染症の他、免疫細胞が過剰に反応し、自分自身を敵とみなして攻撃してしまう自己免疫性疾患、治療のために服用を始めた薬に対するアレルギーとして発症することもあります。
発熱と一緒に発疹が出る病気
風疹
風疹ウイルスによる感染で、春先から初夏にかけて流行します。乳幼児の病気として知られていますが、子供のころ感染しなかったり、ワクチン接種を受けていない人は大人になってから発症することもあります。
症状は鼻水や咳から始まり、次に発熱とともにかゆみを伴わない発疹が出現します。発疹は顔や首、耳の後ろから全身へと広がっていきます。風疹は3日はしかとも呼ばれており、発熱や発疹は3日ほどで治まりますが、大人の場合はやや症状が重く、関節炎を伴うこともあります。
特に注意が必要なのは妊婦さんです。妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると胎児にも感染し、流産や心疾患、難聴、白内障などを引き起こします。妊娠の希望がある人やその家族は、風疹に対する免疫力を調べて抗体を持っていない場合はワクチン接種を行ってください。
水ぼうそう
水痘帯状疱疹ウイルスによる感染で、2週間の潜伏期を経て、発熱と発疹が同時に出現します。発疹は頭皮や口の中、陰部などどこにでも出現し、かゆみを伴うことが多いです。発疹は数時間のうちに紅斑(赤い斑点状の発疹)から丘疹(盛り上がった発疹)、水疱(水ぶくれ)となります。最終的に痂疲(かさぶた)になって消失するまでに7~10日間かかります。
水ぼうそうは子供の病気として知られていますが、幼少期にたまたま感染を免れていた場合、大人になってから感染・発症することもあります。
帯状疱疹
水ぼうそうに2度かかることはありませんが、幼少期に感染した水ぼうそうのウイルスは神経の中に潜んでおり、疲労や病気、加齢などで免疫力が低下した場合にはウイルスが再活性化することがあります。
同じ水痘帯状疱疹ウイルスでも、再活性化して発疹が現れたものを帯状疱疹といいます。大人が多いですが、子供でもなることがあります。ピリピリとした神経痛を前兆に、神経に沿って帯状に発疹が出現します。重症の場合、水ぼうそうと同じような経過をたどり入院が必要になることもあります。
血管炎(アレルギー性紫斑病)
ウイルス感染や薬をきっかけに免疫力が過剰に反応した結果、血管に炎症が起こることがあります。発熱や倦怠感などの全身症状に加え、血流が減少したり途絶えたりすることで、さまざまな器官で障害がみられることがあります。別名、アナフィラクトイド紫斑病、シェーンライン・へノッホ紫斑病ともいわれます。
消化管が障害を受けると腹痛や下血をきたすことがあります。皮膚の症状としては、炎症のある血管から皮下に血液がもれることでかゆみのない出血斑が主にすねや足の甲にみられます。
ときにタンパク尿、血尿などの腎炎を伴うことがあるという特徴があります。
発疹が先行、または発疹に発熱を伴う病気

カポジ水痘様発疹症
主に単純ヘルペスウイルスⅠ型Ⅱ型による感染は、狭く限られた場所に水疱が生じます。全身のどこにでも発症しえますが、Ⅰ型は唇などの上半身に多く、Ⅱ型は陰部などの下半身にできやすいです。一度感染すると、症状が落ち着いても疲労やストレスなどによる免疫力の低下をきっかけに何度でも再発します。
ここまでは単純ヘルペスウイルスによる単純疱疹の症状ですが、アトピー性皮膚炎などで皮膚が変化している人はより重症化したカポジ水痘様発疹症として発症します。カポジ水痘様発疹症では、もともとアトピー性皮膚炎などのあった部位、特に顔や首に好発して広く発疹がみられ、膿疱(膿のつまったブツブツ)や痂疲(かさぶた)に加え、発熱やリンパ節の腫れもみられることがあります。
薬疹
薬に対するアレルギーで、薬を飲み始めてから発疹がみられるようになった場合、薬疹が疑われます。多くの場合全身に紅斑や丘疹が出現しますが、発疹の型はさまざまで、蕁麻疹のようだったりニキビのようだったり、麻疹と似ていることもあります。
原因となっている薬を飲み続けている限り症状は改善せず、重症化するとスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症(TEN)などに移行し、発熱を伴うだけでなく全身の皮膚が火傷のように壊死し、命に関わることもあります。初期症状として口腔内や陰部の粘膜に現れやすいことを覚えておきましょう。
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデスは、紫外線曝露(紫外線にさらされる)や感染、外傷、薬などさまざまな誘因をきっかけに自己抗体が産生される自己免疫性疾患(膠原病)です。男女比1:9と女性に発症しやすい病気です(難病情報センターより)。
全身症状として発熱、倦怠感、体重減少がみられる他、皮膚症状として両頬とそれをつなぐ鼻の一部に紅斑が生じる蝶形紅斑や、全身にみられる円板状の皮疹、手のひらや足の裏の紅斑などさまざまな発疹が出現します。また、関節痛や腎炎、うつ病や意識障害を伴うこともあります。
皮膚筋炎
同じく女性に発症しやすい自己免疫性疾患で、軽度の発熱、全身倦怠感、頭痛などから始まります。皮膚症状としては、まぶたに紅斑が生じるヘリオトロープ疹、手指の関節の背側に紅斑が生じるゴットロン徴候、上背部の紅斑(ショール・サイン)、肘や膝の伸側に生じる紅斑などがみられます。筋症状としては、筋肉を掴むと痛みが生じる把握痛が特徴的です。この他、肺や消化器、心臓になどにも病気を伴うことがあったり、癌を合併したりすることがあります。
まとめ
発熱と発疹を伴う病気はさまざまで、子供の病気と思われていたものが大人になってから発症することもあります。原因は感染症だけでなく、環境からのなんらかの原因で突然発症する自己免疫性疾患や、病気の治療のために服用した薬が原因となることもあります。
放置すると全身に進行してしまうものや、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼすもの、命に関わるものまでありますので、異変を感じたら早めに皮膚科を受診するようにしましょう。