寒い季節や急に気温が下がった日などに関節痛や神経痛がひどくなる…といった経験はありませんか?気候の変化に伴う痛みに対し、ついつい痛み止めやシップに頼ってしまいがちですが、実は漢方の中にもそのような症状に合ったものが医療用、また市販品として販売されています。

今回は痛みに効く漢方薬の中でも「五積散(ごしゃくさん)」について詳しくお伝えしたいと思います。

目次

「五積散」ってどんなお薬?

五積散(ごしゃくさん)は冷え性の方などに使われる漢方で、冷えによる関節痛や神経痛にもよく用いられており、女性の生理痛などにも使用されています。

漢方はいくつかの生薬が配合されてできているものであり、今回の五積散の中には以下のような生薬が含まれています。

また生薬とは薬効がある自然界の中の植物などを加工したものです。

  • 蒼朮(そうじゅつ)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 当帰(とうき)
  • 半夏(はんげ)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 甘草(かんぞう)
  • 桔梗(ききょう)
  • 枳実(きじつ)
  • 桂皮(けいひ)
  • 厚朴(こうぼく)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 生姜(しょうきょう)
  • 川芎(せんきゅう)
  • 大棗(たいそう)
  • 白芷 (びゃくし)
  • 麻黄(まおう)

五積散は漢方の中でも構成されている生薬の数が多く、故に様々な症状に効くといわれています。上記の生薬を読み上げるだけでも一苦労ですよね。

また、五積散の「五」はどこから来ているのか、疑問に思われる方も多いと思います。「五」とは「気・血・痰・寒・食」の五つの病毒からきています。

  1. :気の流れ
  2. :血液の流れ
  3. :水分の流れ
  4. :冷え
  5. :食生活

「五積」とは、上記の「気・血・痰・寒・食」が滞っている状態のことです。

気力がなかったり、血の流れが悪かったり、水の排出・流れが悪かったり、冷えや偏った食生活による脂肪過多・胃腸負担大になっている状態のことであり、この五つの病毒(病気を起こす毒)を解消するためのものが「五積散」です。

「五積散」の効き目は?

それでは五積散は具体的にどのような症状に効果的なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。五積散の効能効果は以下の様になっています。

いずれも、症状が慢性的で激しくないものに適しています。上記でもお話した通り、たくさんの生薬が含まれている分、効能効果も幅広い症状にわたっていることがわかります。

「五積散」の服用方法

成人の場合1日7.5gを2~3回に分割して食前、または食間に服用します。また年齢や体重、症状などにより量が調節されるため、なるべく医師の指示のもと服用してください。

「五積散」はなぜ寒さで悪化する神経痛・関節痛に効くのか?

ジャケットを着た女性-写真
漢方の世界では「冷え」・「湿気」神経痛や関節痛の原因になると考えられています。

特に冷え性など冷えやすい体質の方などは寒さによって血管が収縮して血の流れが悪くなり、より痛みを感じやすくなります。

そこで五積散によって身体を温めることで冷えを改善し、また水の流れを正常にすることで湿気を改善し、「寒さで悪化する神経痛・関節痛」に効くようになっています。

「五積散」の副作用と、服用時の注意点

慢性的な痛みの場合は漢方を飲み続ける必要があるため、長期で服用しても重大な副作用が少ないということは非常に大きなメリットであるといえます。

五積散の服用によって報告された副作用としては、発疹・胃部不快感・悪心・下痢・不眠・発汗過多などがあげられています。服用する方の体調・体質によっても副作用の出やすさは変わります。

下記のような方は五積散を服用する際に慎重になる必要があります。医師や薬剤師に相談してから服用の有無を決めてください。

  • 著しく体力が衰えている方(副作用が表れやすくなる恐れがあり)
  • 著しく胃腸の虚弱な方(食欲不振・悪心・下痢など生じる恐れがあり)
  • 食欲不振・悪心・嘔吐がある方(左記の症状が悪化する恐れがあり)
  • 汗が出すぎる方(発汗過多、全身脱力感が生じるそれがあり)
  • 基礎疾患をお持ちの方

まとめ

年齢を重ねるとともに慢性的に起こる関節痛・神経痛にお困りの方も多いでしょう。とくに冷えた日などは痛みで何もしたくないといった場合もあるかと思います。

痛み止めやシップなどは服用したそのときは痛みが和らぎ改善されるかもしれませんが、効き目が切れるとまた痛みに苦しむことになります。

漢方は体質改善を目標にしており、痛みの元凶である冷えや湿気を改善して、痛みを和らげてくれます。そのため慢性的につらい思いをしている方は、漢方を一度試してみてはいかがでしょうか?