性交時に痛みを感じたことはありますか?性交経験が少ない場合には、痛みを感じることは少なくありませんが、最近いつもと違って痛みを感じるなと思われた方は要注意です。性交痛が起こる原因の中には、放置しておくと危険な病気が潜んでいることもあります。ここでは、性交痛が起きる原因や病気についてお話ししたいと思います。
性交痛ってなに?
性交痛はセックスの際に性器周辺や下腹部に痛みを感じる状態のことです。挿入時に外陰部や膣が痛む場合や、性交後に下腹部が痛む場合なども性交痛に含まれます。
性交痛の原因は何?
心理的なもの
性交痛の原因として、性交に対する恐怖や嫌悪感、緊張などの心理的なものが原因となる場合があります。
子宮内膜症
本来、子宮の中にしか作られない子宮内膜が卵巣や腸、膀胱などにも発生し、生理周期に合わせて剥がれて出血を起こす病気です。20~30代の女性に発症することが多く、性交痛以外の症状として生理痛がひどい他、生理以外の時にも腰痛や排便痛がみられます。また、不妊症に繋がる恐れの高い疾患でもあります。
性感染症
性交痛を起こす性感染症として、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、膣トリコモナス症、性器ヘルペスなどがあります。
性器クラミジア感染症
症状が進行するまで無症状の場合が多いため、感染に気付かないまま子宮や卵管に感染が進行し、不妊症となるケースがあります。ひどい場合には肝臓にまで感染が進行し、激しい腹痛を起こす場合もあります。クラミジアに罹る人は年々増加しているので、クラミジアと含めた性感染症の検査は定期的に受けたほうが安心といえます。
膣トリコモナス症
トリコモナスという原虫(ゾウリムシやアメーバと同じ)の感染によって外陰部のかゆみや悪臭のあるおりものが出ます。性交以外でも入浴や衣類、便器を介して感染する場合もあります。
性器ヘルペス
外陰部に痛みを伴う水疱と潰瘍ができ、一度感染すると神経節に潜み、免疫力が落ちると症状が再発することを繰り返します。発熱する場合もあります。口にできるヘルペスは1型、性器ヘルペスは2型と別の型ですが、オーラルセックスにより1型が性器に感染して症状が出ることもあります。
膣前庭痛
腟の入り口あたりへの接触・圧迫・刺激により誘発される性交痛です。膣の入り口のみの痛みが特徴で、詳しい原因は分かっていません。心因性の場合もあるとされています。
萎縮性膣炎
閉経後である場合には、女性ホルモンの低下によって膣粘膜が萎縮し、膣の分泌液も少なくなります。そのため、潤い不足や皮膚の伸びの悪さから性交痛を引き起こしたり性交後の出血が起きたりする場合があります。
これらの疾患以外にも性交痛が症状として表れる疾患は存在しますので、自己判断はしないようにしましょう。
まとめ
性交痛は、パートナーとの精神的・身体的相性が原因の場合もあります。このケースでは、パートナーとよく話し合うことが解決に繋がるかもしれません。お互い痛みがなく、快適な状態で性交できるのが1番ですから、改善して欲しいことは伝えてみましょう。
ただし疾患が原因の場合もありますので、性交痛を感じたらまずは婦人科の受診をおすすめします。クラミジア感染のように症状のないものもありますので、性感染症の検査をぜひ受けてみましょう。原因疾患がある場合には、その疾患を治療することで症状が改善されることが期待できるだけでなく、将来の不妊を防止できる場合があります。