鼻水が喉に流れてきて喉に違和感を感じたり、咳が出ることはありませんか?この不快感は後鼻漏という症状で、原因は鼻の病気によって普段より多く鼻水が分泌されるためです。今回は鼻水が喉に流れてくるメカニズムや原因、治療について紹介していきます。

目次

鼻水が喉に流れてくる「後鼻漏」のメカニズム

鼻水が鼻の穴からではなく喉に流れ落ちてくる症状は、後鼻漏(こうびろう)と呼ばれています。鼻水は喉や鼻の粘膜を守るために健康な状態でも分泌されます。そして普段から鼻水の一部は喉に流れ込んでいます。

健康なときに出る鼻水は量も少なく、さらさらとした水のような鼻水なので気づかない間に飲み込んでしまっています。しかし何らかの原因で鼻に炎症が起こると鼻水の分泌が多くなったり、粘り気のある鼻水になったりします。

鼻水の量やタイプが変わって喉に流れ落ちると、喉への刺激となります。その刺激は喉の違和感が出る原因となります。また喉に粘り気のある鼻水が落ちると、口からとなって出てきます。また膿のような鼻水が流れ落ちると口臭の原因にもなります。

後鼻漏の症状が続くと喉の症状だけではなく、鼻と耳を繋ぐ耳管にも炎症が広がり、難聴の症状が出る可能性もあります。

後鼻漏の原因

鼻をティッシュで押さえる女の子
後鼻漏を招く原因は鼻の病気が原因で起こります。鼻水の分泌が多くなったり、粘り気の多い鼻水になったりする疾患には副鼻腔炎アレルギー性鼻炎が挙げられます。

副鼻腔炎

副鼻腔炎蓄膿症とも呼ばれています。副鼻腔(ふくびくう、顔の骨の鼻周辺にみられる4つの空洞)に炎症が起こって粘りのある鼻水が多く分泌され、喉に鼻水が流れ落ちます。

鼻づまり鼻水頭痛においが分からなくなるなどの症状がみられます。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は花粉やハウスダスト、ダニ、化学物質などのアレルギー物質が鼻から入りこんできたときに、異物を体の外へと出そうとする免疫反応が過剰となることで起こります。

鼻水くしゃみ鼻づまりなどの症状がみられます。慢性的に鼻水などの症状が出るため、喉へ鼻水が流れる原因となります。

後鼻漏を和らげるための治療は?

後鼻漏を和らげるためには原因となる鼻の疾患を治療する必要があります。

副鼻腔炎の場合は、副鼻腔の中に溜まった膿や鼻水を吸引する処置や鼻洗浄、細菌をやっつける抗生物質溜まっている鼻水を出しやすくする薬ステロイドの内服吸入治療を行います。

これらの治療でも症状が改善しない場合は手術を行うことがあります。鼻の中にできた鼻茸や炎症が起こっている粘膜を取り除きます。取り除くことで副鼻腔の中に溜まった膿を出しやすくし、新鮮な空気が通りやすくなるように副鼻腔の環境を改善します。

アレルギー性鼻炎では、まずアレルギー反応を起こす元となる物質を特定します。把握することで、極力原因となる物質を体内に入れないようにすることが基本です。

保存療法としては鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状を緩和するための抗アレルギー薬ステロイドなどの薬物療法が挙げられます。また鼻水やくしゃみの発生に関与する下鼻甲介の切除レーザーで焼く手術、下鼻甲介を支配する自律神経を切断する手術療法もあります。

まとめ

咳が出る喉がイガイガするなどの症状は、喉そのものの症状ではなく鼻水が流れ落ちてくることによって起こっていることがあります。鼻水が喉に流れ落ちる原因は鼻の病気のため、改善が必要となります。

アレルギー性鼻炎の場合は、外出時はマスクを着用してアレルギー物質を取り込まず、室内では加湿器を活用して鼻の粘膜を乾燥から防ぎましょう。鼻水の過剰な分泌を抑えることができます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎は放っておくと慢性化して長期間後鼻漏の症状が続いてしまいます。耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を見つけることは大切です。