予防接種は、大切な子供たちを感染症から守るのに必要不可欠なものになりました。
特に、麻疹や風疹、結核などの感染症に対しては、行政によって積極的なワクチン接種が推進されています。
また、大人になってからも海外赴任などをきっかけとして新たにワクチンの接種に臨むことも少なくないでしょう。ワクチンは感染症の予防に大きな効果を発揮することは事実です。

ただし、同時に注意しなければならないこともあります。
ワクチンは種類にもよりますが、基本的に「毒性を弱めた病原体、または病原体由来の成分」を原料としています。よって、人間の体にとってはあくまで「異物」であり、稀ではありますが様々な悪影響(副反応)を生じることもあります。
ですので、予防接種後は体調の変化について通常よりも注意を払う必要があります。

ここでは、予防接種後に注意すべきことについて説明します。

目次

予防接種後はどんな副反応が起きる?

予防接種は一部(ロタウイルスワクチンなど)を除いて、注射によって実施されます。また、わが国では、注射のなかでも皮下注射という手法で行われることがほとんどです。
これは皮膚と筋肉の間にある皮下組織という部分に針を刺し入れます。この部分に注射成分が残存して吸収が滞ってしまうと、注射した場所に腫れしこり発疹などがみられます。

ただし、この様な反応は基本的には数日以内におさまります
より深刻なのが、注射直後に起こることの多いアナフィラキシーショック(全身血流の悪化や呼吸困難などを伴うアレルギー反応)や高熱けいれんなどです。

またワクチンの種類によっては脳炎神経障害などを引き起こすこともあります。これらは、命に関わることがあるので細心の注意が必要となります。

予防接種を受けた当日には何に気を付ける?

基本的に日本で接種が許可されている予防接種に関しては、大きな副反応が生じることは非常に稀であるとされています。
しかし、稀ではありますが上でも述べたように、非常に激しい副反応が生じることもあります。この反応は、比較的注射をした直後にみられることが多いため、注射を受けた後30分後くらいまでは体調の変化に十分注意し、医療機関と連絡がとれるようにしておくと良いでしょう

また、生活面で注意すべきことですが、接種当日は激しい運動や飲酒は控えるようにします。これは、不用意に病原体に対する抵抗力を下げることによって、ワクチンの副反応が起こることを避けるためです。
入浴は、接種から一時間以上経過していれば問題ありません。ただし、刺激によってアレルギー反応を促進する恐れがあるため、接種部位をこすることは避けましょう

予防接種後、一ヶ月は避けた方が良い手術

抜歯扁桃腺の切除ヘルニアの治療などの急いで行なう必要のない手術はワクチン接種後一か月の間は実施しない方が良いとされています。
手術の予定がある場合などは、医師に相談するようにしましょう。

これってワクチンの副反応?

ワクチン接種を受けたあとに体調の変化を感じた場合は医師の診察を受けるようにしましょう。
副反応のタイプによっては命にかかわることもあるので、対応は早ければ早いほど有効です。
接種を受けた医療機関を受診するのが理想的ですが、難しいようであれば他の医療機関を受診し、「受けた予防接種の種類、受けた時間」をしっかり伝えて治療を受けるようにしましょう。

まとめ

予防接種は感染症の予防に必要不可欠なものです。ただし、他の多くの治療法とは異なり、「病原体に由来する物質を体に取り入れる」という大きな特徴があります。

激しい副反応が生じるワクチンは行政によって早急に市場から取り除かれるように努力されていますが、自身やご家族に副反応が生じる可能性はゼロではありません。
極端に不安になる必要はありませんが、予防接種後に少しでも体調の変化を感じた場合には、医師の診察をきちんと受けるようにしましょう。