予防接種の原理を簡単に説明すると、「感染症のもとになる物質をからだに取り入れ、それに対する免疫反応を引き起こすことで抵抗力をつける」ということになります。
要するに一時的に体にとって負担となる物質を取り込ませることになり、体調によっては予防接種で健康状態が悪化する恐れもあるため、接種が受けられないケースがあります。

特に、乳幼児への予防接種の場合はスケジュールも比較的過密になるため、接種が延期になるのは親御さんにとって悩ましいことでしょう。

ここでは、どの様な体調のときに予防接種が受けられなくなるのかについて説明します。

目次

予防接種を受けられない状態って?

予防接種を実施する際の参考にする目的で、厚生労働省より「予防接種ガイドライン」が発表されています。このなかで「予防接種を受けることが適当でないもの(予防接種不適当者)」として以下の例が挙げられています。

1.明らかな発熱(37.5℃以上)がある

微熱の時は迷うかと思いますが、予防接種ガイドラインでは発熱は37.5℃以上」とされています。それよりも低い場合には、医師に相談の上で接種が可能な場合があります。

2.重篤な急性疾患にかかっている

発熱以外でも、当日に体調不良がある場合は予防接種を受けられないケースがあります。
体温は自宅で確認することができますが、この場合は医師による判断を受ける必要があります。

体調が優れない場合は可能な限り接種を避けることが好ましいですが、どうしてもその日に接種することを希望する場合は医師の診察を受け、判断を仰ぐようにしましょう。

3.予防接種の接種液の成分によって,アナフィラキシーを起こしたことがある

アナフィラキシーとは特定の物質に対する全身性の激しいアレルギー反応のことです。一度起こると、循環不全や呼吸不全で命に関わることもあります。

予防接種によってこのような状態に陥ったことがある場合は、接種前にそのことを医師に必ず伝えるようにしましょう。

4.急性灰白髄炎(ポリオ)、麻しん及び風しんの予防接種では、妊娠している方

妊娠している方はウイルスを弱毒化した生ワクチンの接種ができません。
ポリオ麻疹風疹の予防接種は生ワクチンにあたりますので、接種不可となります。
ただし、ご家族が受けることについては問題ありませんので、予防接種を受けられない妊婦さんの代わりに周囲の方が守りを固めても良いでしょう。

5.その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある

上記以外でも、医師の判断によって予防接種ができないことはあります。

予防接種を受ける際に気をつけなければならない人

さらに、予防接種ガイドラインでは予防接種を受ける際に注意を払わなければならないケースとして以下のものが挙げられています。

  1. 心臓血管系,腎臓疾患,肝臓疾患,血液疾患及び発育障害等の基礎疾患がある
  2. 前回の予防接種で2日以内に発熱がみられた,もしくは全身性発疹等のアレルギーを疑う症状が出たことがある
  3. 過去にけいれんの既往がある
  4. 免疫不全と診断されたことがある

これらに当てはまる場合は、接種の可否を十分に検討してから予防接種を実施することになっています。

また、接種後に体調が悪化しないかをより注意深く観察していく必要があります。

ほとんどの医療機関でこれらに該当するかどうかを接種前に確認されるはずですが、もしチェックを受けなかった場合はしっかりと医師に伝えるようにしましょう。

まとめ

極端に神経質になる必要はありませんが、予防接種には副反応を引き起こす恐れがあるため、接種前にはリスクを十分に検討する必要があります。医師もトラブルが起きないように細心の注意を払っていますが、患者さんの方からも積極的に情報提供をするようにしていけると良いですね。