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医科歯科の取り組み

医科歯科

――医科歯科大学の取り組みについてお聞かせください。

まず、他の病院の歯科医と地域連携を積極的に行うため、医科歯科の医学部から回復期病院に転院する時に、入院中に歯科が関わっていた場合には、口の機能に関する情報も一緒に送るようにしています

転院先の病院に歯科がなくても、口の詳細な情報を全身の情報と一緒に送ることで、医科の様々な職種の方に、口の機能についても継続的な管理が必要ですよ、という情報をきちんとつないでいくことをしています

――歯科がない病院でも、その情報があれば何とかなるものなのでしょうか?

歯科のない病院でも、医科の先生に対して歯科からも情報を提供しておくことで、医科の多職種に、口の継続的な管理が必要なことを理解してもらうことが、とても重要です。さきほども言ったとおり、病状が安定してきた時こそ、歯科の出番が求められるので、医科の先生から地域で訪問歯科などにつないで頂く必要があるのです。

ただ、紙の情報のやりとりだけだと、うまくいかないことも多いので、そこをもう少し顔の見える連携にして、医科と歯科が上手に地域で連携をすることで、患者さんの利益になるような取り組みを進められると良いと思います。

医科歯科は都心型の病院で、様々な地域に患者さんが転院していくので、そのあたりを上手にまとめるのが難しいところです。

――急性期から回復期の転院の時、口の機能に関する情報がうまく伝わらないことがあるとのことでしたが、回復期からさらに自宅に移る時はどうなんでしょう。

同じですね。自宅に歯科医がいるわけではないので、さらに情報が伝わらなくなる可能性は高いと思います。ですので、かかりつけ歯科医を持っておくことがとても大事です。

脳卒中は発症した時点で、その後がだいたい決まっています。
急性期から回復期に行って、回復期から自宅に行く準備、自宅でさらに療養生活が続いていく。

その一連の流れの上流から、きちんと口の機能に関する情報をつなげてあげることが大事です。バトンをうまく渡していくイメージですね。

医科歯科の場合は、歯学部附属病院の摂食嚥下リハビリテーション外来で、口から食べるリハビリに関する訪問診療をやっているので、急性期で見ていた患者さんが、また回復期を経由して自宅に帰ったら、自宅にまた訪問診療に行くこともできるような取り組みも行っています。

――知っているお医者さんでご家族も安心ですね。

そうですね。
急性期の時に患者さんのご家族で心配される方に対しては、「自宅に帰った後、口から食べることで不安なことがあれば、訪問診療や外来で診察やリハビリをすることができますよ」という話もさせて頂いています。

回復期病院にとっても、地域で継続的にリハビリを継続できることが分かっていれば、安心して患者さんを自宅に帰せるのではないでしょうか。

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