膵臓」という臓器の名前を聞いただけで、一体どこにある臓器で、何をしている臓器なのか説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか?胃や腸、肝臓などといった臓器と比べるとサイズも小さく、臓器のなかでは「脇役」といったイメージが持たれがちかもしれません。

しかし実際は、膵臓は他の臓器以上の重要な役割を果たしています。ここでは、そんな膵臓についての基礎的な知識を簡単に勉強しなおすことにしましょう。

目次

膵臓ってどこにある臓器?

膵臓のある場所を一言で言い表すと、「みぞおち」ということになります。ちょうど胃の後ろ側(背中側)に位置しており、左右を脾臓十二指腸に挟まれています。周囲には大きな血管(腹部大動脈や上腸間膜動静脈、脾動静脈など)が多数存在しているという点も特徴的です。

どんな形をしているの?

膵臓は左右に細長い形をしています。十二指腸に面する右側の方が比較的幅広く、脾臓に近づくにつれて徐々に細長くなっていきます。この形状から、十二指腸に面する側から順に「頭部」、「体部」、「尾部」という呼び方をすることもあります。魚の形をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。

全体としてはやわらかな質感であり、中心部を左右に膵管と呼ばれる管が通っているのも特徴的です。膵管は膵臓を出た後、胆管と合流して十二指腸に繋がっています

膵臓ってどんな仕事をしているの?

始めに「膵臓は他の臓器以上に重要な役割を果たしている」と説明しました。では、一体膵臓はどのような役割を担っているのでしょうか?

膵臓の役割は大きく、「消化吸収を助ける役割」と「血糖値をコントロールする役割」の二種類に分けることができます。両方とも膵臓にしか果たせない役割であり、私たちの身体機能の維持に必要不可欠であるということができます。両者を一つずつ順番に解説していきましょう。

①消化吸収を助ける役割

膵臓は様々な食物を消化するのに必要な酵素を数多く産生しています。デンプン質を消化するアミラーゼやタンパク質を消化するトリプシン、脂質を消化するリパーゼなどを分泌しています。これらの消化酵素は膵臓の腺房細胞という細胞で作られると、膵管を経由して十二指腸へと放出されます

②血糖値をコントロールする役割

もう一つの非常に重要な働きが、「血糖値をコントロールする働き」です。膵臓は血糖値を調節するホルモンであるグルカゴンインスリンというホルモンを血液中に分泌しています。グルカゴンは血糖値を上昇させ、インスリンは血糖値を低下させます

なお、血糖値を上昇させるホルモンはグルカゴン以外(成長ホルモン副腎皮質ホルモンなど)にも複数ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリン以外に存在しません。したがって、膵臓の機能が低下すると血糖値の異常な上昇が生じることになります(これについては後ほど説明します)。

膵臓に起こる病気って?

実はあまり具体的なイメージが湧かない膵臓という臓器ですが、実際は私たちが日常的に気にしている病気と深くかかわっています。それは「糖尿病」です。糖尿病のなかでもⅠ型というタイプでは膵臓のインスリン分泌機能が障害されることによって血糖値の異常な上昇を示します。また、膵臓に炎症が生じる膵炎(飲酒量が多い方に多くみられる)なども比較的発症頻度の高い病気です。

また、最も恐ろしい病気としては「膵臓がん」が挙げられます。膵臓は身体の比較的深い場所にあるため、がんの自覚症状も出にくいとされています。そのため、知らないうちに癌が進行してしまうケースが多いのです。また、周囲に大きな血管が多いため、がん細胞が血管に浸潤してしまうと容易く他の臓器に転移してしまうのです。

まとめ

このように膵臓は私たちの身体にとってかけがえのない役割を担っています。また、比較的私たちにとっても関係の深い病気が数多く起こる臓器です。これを機会に理解を深められると良いですね。